小説むすび | 2020年11月30日発売

2020年11月30日発売

うつせみうつせみ

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2020年11月30日 発売

洒脱にして剣呑、静謐にして囂囂たる、“僕”と“おじさん”と“おじいさん”の夢幻の如き日々は、どこに辿り着くのか。 ランボー、アルトー、ジュネ、ヴィアンの翻訳者が満を持して放つ、破格の書き下ろし長編小説!  僕の家にはおじいさんとおじさんがいて、僕がお世話になっているところや知り合いのお店なんかにとつぜん出没しては、わざと迷惑をかけたりして僕に恥をかかせるのだが、どこかに忠実な間諜がいて、そいつが連絡でもしているみたいに絶妙のタイミングで現れるので、よけいに腹が立って仕方がない。あっちは二人だから、いつもこちらは多勢に無勢みたいな気がするし、彼らはむやみに嵩高いのだ。いつか手押しリヤカーに二人を乗せて夜のメリケン波止場から暗い海に突き落としてやろうと思っている。(…)確かなことは、僕がいつまでたっても三人のなかで一番年下だということだし、何を隠そう、この劣等感をぬぐうことができず、自分でも情けなくなることがある。子供の頃から、僕はできるだけ早く歳をとりたかった。さすがにいきなり皺だらけのじじいになるのは嫌だったけれど、いつまでたっても子供モドキでいることに耐えられなかった。(本書より) 第一章 日誌 第二章 廃址

【POD】続 えにし:三十歳からの十年【POD】続 えにし:三十歳からの十年

著者

上杉辰

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2020年11月30日 発売

[商品について] ー泥まみれの魂が求めるものとはー 前科のある自分を人の道に戻してくれた「大将」の死を乗り越え、託された想いを受け継ぐ決意を胸に新たな人生を歩み始めた野村光夫は、新居を構え、生涯の伴侶を得て、家族の温もりの中で幸せな生活を送っていた。しかし、突如として起きた妻の両親の事故死によって、運命の歯車は再び狂いはじめる。妻の入院、不倫、忍び寄る病魔・・・欲に溺れ道を外れた光夫が自らの死期を悟り取った行動とはーー。 前作「えにし」に続き、人の弱さ、生きることの難しさを描いた、苦悩と終わりの物語。 [目次] まえがき 心機一転 人生山あり谷あり 新生活とその先 人生の危機 病院生活スタート 懲りない欲望 手術日 追い出される 家族のもとへ 最後の親子旅行 最後の安らぎ 生き恥 あとがき [出版社からのコメント] 純粋な気持ちでまっすぐに生きていこうとしても、心の中に潜む欲や驕りは気づかないうちに大きくなっていることがあります。本作を通じて、生きることの難しさや自分の心を蝕んでいるかもしれない様々なものを見つめ直すきっかけを持っていただければ嬉しく思います。 【著者プロフィール】 上杉 辰(うえすぎ・しん) (本名:穐山和壽) 静岡県沼津市出身

『トム・ソーヤーの冒険』の世界『トム・ソーヤーの冒険』の世界

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背後にアメリカの歴史そのものが横たわっている 『トム・ソーヤーの冒険』を精読する! 各章の「あらすじ」を整理しながら鍵となるテーマを順に読解しつつ、 独立宣言から100年後に出版されたこの作品の影響やアダプテーションにも迫る。 表面上の少年たちの海賊ごっこや宝探しの冒険を精読すれば、 過去や現在のアメリカ社会を考える上での手がかりを与えてくれる…… さあ、アメリカ文学の正典(キャノン)への冒険へ!  【目次】 はじめに 平凡な田舎での非凡な冒険=世界一のいたずらっ子/平凡人トムの物語/本書の構成と内容/注意点 第一章 キャラクターと背景 1 キャラクターたち/2 舞台背景 第二章 『トム・ソーヤーの冒険』(一八七六)の物語を読む  章題について ◉まえがき ◉第1章「トムと家族関係」   ◉第2章「塀塗りの計略」 ◉第3章「ベッキーと出会う」 ◉第4章「日曜学校の騒動」 ◉第5章「噛みつき虫と犬」 ◉第6章「遅刻とベッキー」 ◉第7章「ダニ遊びと失恋」 ◉第8章「海賊になろう」 ◉第9章「墓地での殺人」 ◉第10章「沈黙の誓い」 ◉第11章「良心に悩む」 ◉第12章「ネコと民間療法」 ◉第13章「海賊たちの船出」 ◉第14章「楽しいキャンプ生活」 ◉第15章「そっと家に帰る」 ◉第16章「はじめてのタバコ」 ◉第17章「自分の葬式に出席する」 ◉第18章「夢の話」 ◉第19章「木の皮の手紙」 ◉第20章「身代わりとなる」 ◉第21章「トム、学芸発表会で失敗する」 ◉第22章「トム、はしかにかかる」 ◉第23章「トム、裁判で証言する」 ◉第24章「インジャン・ジョーの恐怖」 ◉第25章「トム、宝探しの夢を語る」 ◉第26章「幽霊屋敷に隠された宝」 ◉第27章「追跡」 ◉第28章「インジャン・ジョーの根城」 ◉第29章「未亡人を助けるハック」 ◉第30章「洞窟で迷子になる」 ◉第31章「迷路としての洞窟」洞窟探検/ ◉第32章「洞窟の外へ」脱出した二人/アリアドネの糸 ◉第33章「インジャン・ジョーの最期」詩的正義がおこなわれる/良いインディアンは死んだインディアン ◉第34章「金貨の山」芝居がかった話 ◉第35章「ハック、盗賊の一味となる」投機と投資/コスモポリタンとしてのハック/紳士盗賊トムの一味 ◉おわりに 第三章 トム・ソーヤーの行方 1 『トム・ソーヤーの冒険』の全体像=前半と後半の対比/曜日の秩序/失われたものを発見する  2 トムとハックの関係=トムか、ハックか/ヘミングウェイの宣託=選択/二つの作品の友情の違い/贋金と偽物/『トム・ソーヤーの冒険』との関連 3 影響とアダプテーション=ミシシッピ川とトムの成長/田舎町と脱出願望/キングにとってのトム・ソーヤー/映画のなかのトム・ソーヤー/宮崎アニメのトム・ソーヤー おわりに 小さな市民トマス・ソーヤー

僕は李箱から文学を学んだ僕は李箱から文学を学んだ

誰からも聞かれていないし、 誰にも話していないけれど、 誰かに話したい作家たちの話 “韓国の芥川賞”とも称され、韓国で最も権威ある文学賞「李箱文学賞」。 その大賞を受賞した作家は、受賞所感とともに「文学的自叙伝」を発表する習わしがある。 どんな本を読んできたのか、どのようにして小説を書き始めたのか、どんなふうに作品を書いてきたのかーー。 歴代の受賞者23名による文学的自伝エッセイ集。 日本語版特別収録 2005年(第29回)大賞受賞 ハン・ガンの文学的自伝「記憶の日向」 著者(掲載順) ユン・イヒョン、ソン・ホンギュ、ク・ヒョソ、キム・ギョンウク、 キム・スム、ピョン・ヘヨン、キム・エラン、キム・ヨンハ、 コン・ジヨン、パク・ミンギュ、キム・ヨンス、クォン・ヨソン、 キョン・ギョンニン、キョン・ミギョン、ハン・ガン、 クォン・ジエ、シン・ギョンスク、パク・サンウ、キム・ジウォン、 ユン・デニョン、ユン・フミョン、チェ・ユン、チェ・スチョル 翻訳者(掲載順) 古川綾子、橋本智保、関谷敦子、五十嵐真希、岡裕美、姜信子、 吉川凪、蓮池薫、斎藤真理子、呉永雅、生田美保、きむ ふな、 カン・バンファ、吉原育子、李聖和 まえがきより 李箱文学賞受賞作を発表した後に楽しみにしていることが一つある。 大賞受賞作家が書く学的自叙伝」を読むことだ。 この作品を書いた作家はどのようにして小説を書き始めたのか、どんな考えを持っているのか、どんな本を読んできたのか、どういうふうにして作品を書いているのかなど、作家に対する好奇心をふくらませてそれらの文章を読んでいる。 そして、私は毎回「受賞所感」だけでなく、作家自身の心のうちを率直かつありのままにさらけ出した「文学的自叙伝」に感動する。 一人の作家について知るつもりが、一人の人間についてさまざまな発見をすることになるからだ。 李箱文学賞とは 朝鮮を代表するモダニスト作家で詩人の李箱(イ・サン)の文学的功績を称え、文学思想社が1977 年に設立した韓国で最も権威ある文学賞。 日本の芥川賞に相当するとされ、前年の1月から12月までに文芸誌などで発表された中編もしくは短編の純文学作品が審査の対象となる。 これまでの最年少受賞者は、キム・エラン(当時33 歳)で、受賞作の「沈黙の未来」は『外は夏』(古川綾子訳、亜紀書房)に収録されている。最高齢受賞者はク・ヒョソ(当時59 歳)。 親子で受賞したケースもあり、ハン・ガンとハン・スンウォン、イ・ジェハとユン・イヒョ…

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