2020年2月発売
100年もの間続いた、朝鮮の天主教迫害。 その時代に生きた人々の欲望と絶望、そして希望 1800年代、天災による飢餓や疫病が蔓延していた頃、朝鮮王朝による天主教(ローマ・カトリック)信徒への迫害は凄惨を極めていた。 拷問で殺された三兄弟の生き残りで黒山(フクサン)島に流刑となった学者、無学ながら教えに惹かれる馬子、汁飯屋の寡婦、元宮女、船頭、黒島の少年、背教者…… 埋もれていた史実にこだわり、膨大な資料をもとに虚構を織り交ぜながら、人間たちの切実な生の営みを描く。 韓国を代表する作家、金薫による歴史小説の真骨頂。 ためし読みはこちらから ソンビ 使行 馬路利 船頭 手を包んだ布 朴チャドル 島 六本指 白い海 鈴三つ カニの足 監獄 それぞれの行く道 白い桔梗 アミの塩辛屋 馬夫 土の餅 トビウオ サバ ここで 讖言 水踰里 お兄ちゃん 黄嗣京 主教 航路 密偵 家作り 土窟 四人の女 草むらの虫の音 玆山 銀貨 潜伏 絹の文字 吐いた言葉 刑場 鶏の声 著者あとがき 参考文献 年代記 訳者あとがき
この本は、驚きの連続で展開する「SF戦国ライトノベル」です。 縄文の時代のような理想の世の中を創ろうと、語り合い、ひそかに約束を交わした「信長」「秀吉」「家康」の3人。戦がなく、身分に差もなく、誰もが笑い、楽しく暮らせる世の中。 ここに描かれているのは、天下を統一し、そんな世の中を実現するため、知恵と勇気を振り絞り、自分たちの手で歴史を創り上げていく武将たちの姿です。 原作「新・日本列島から日本人が消える日」の中から、戦国時代を切り取り、奇妙な行動で「うつけ」と呼ばれた信長の幼い頃からストーリーは始まります。 宇宙人の化身の猫「さくや」に見守られ、天下統一とその後世の中の筋書きを描く信長、織田家に人質として預けられた家康との温かい交流と友情、天下統一に動き出してから家臣となった秀吉の目を見張る働き。 そして、信長の正室「濃姫」、妹の「お市の方」、秀吉の思い人「ねね」など、潔く美しい生き方をする戦国の女性たち……。笑いあり涙ありの息もつかせぬストーリー展開をお楽しみください。 上巻は、天下をほぼ手中に収めた信長が打った大芝居「本能寺の変」まで。本能寺の変は、「日本史の謎」あるいは「永遠のミステリー」と言われています。では、その真実を知る宇宙人「さくや」は、どんなことを語ったのでしょうか……。 プロローグ 第一章 吉報師 第二章 信長 第三章 道三 第四章 濃姫 第五章 竹千代 第六章 鬼の誕生 第七章 道三の死 第八章 桶狭間の戦い 第九章 清州同盟 第十章 お市と浅井長政 第十一章 ルイス・フロイス 第十二章 本願寺勢力 第十三章 羽柴秀吉 第十四章 明智光秀
女が会わずに愛し始めた男は?(「いつか愛した」)。大学生の俺のちょっと変わった家族の物語(「だんらんなの?」)。内気で真面目なストーカーのR18(「狩人の朝」)。自信家の男を待っていたのは?(「狩人の夜」)。火葬場でのもう一つの物語(「熱風」)。娘をかどわかされたご新造と飴売りの男の愛(「藍の香」)。6つの短編小説のテーマは愛。恋愛、青春、R18、ホラー、時代小説、…多彩な展開、達意の文章ー短編小説の醍醐味を堪能!
超期待の新人 現役女子大生作家、衝撃デビュー! 第61回メフィスト賞受賞作 アイドルの炎上、ファンの暴走、ネット民の情報拡散ーー 今読むべきSNS狂騒曲(ミステリー)! アイドルグループ「となりの☆SiSTERs」、僕の推しは青山柚莉愛(あおやまゆりあ)。 その柚莉愛が動画生配信中に血を吐いて倒れた。 マジか! 大丈夫なのか? でも翌日、プロモーションのためのドッキリだったってネタばらしが……。 本気で心配した僕らを馬鹿にしやがって。ありえない、許さない! SNSで柚莉愛を壊してやる! <各界より絶賛のコメント続々> 中森明夫さん(作家/アイドル評論家) 「アイドルと小説は、だますことが使命である。 だまされた! 驚いた! 魅せられた!」 橋本愛奈さん(元アイドルグループ「チャオ ベッラ チンクエッティ」) 「本音と建前。ネット社会。誰しもが抱いたことのある悪の部分が描かれている。 最後の後味の悪さに、もう一度読み返したくなりました。」 三島政幸さん(啓文社西条店) 「アイドル好きの書店員として断言しよう。 これは今までに読んだ「アイドル小説」の中で最もリアリティに溢れた作品だ。」 宗岡敦子さん(紀伊國屋書店福岡本店) 「あまりの面白さに時が経つことも忘れるくらい没頭して読み続けてしまいました!」
軍縮条約の期限後、帝国海軍の軍備拡張計画の目玉は新型戦艦であった。そして新型戦艦の建造と同時に、水中を20ノットで潜航する新型高速潜水艦と潜水母艦の建造も決定された。連合艦隊は真珠湾攻撃に成功。昭和17年1月、新型潜水艦・伊201型と共にボルネオ島沖で初陣を迎えた戦艦大和は英戦艦を沈める。米豪を遮断するため、ポートモレスビー封鎖を目論む連合艦隊は伊号第201潜水艦の活躍もあり、米空母ヨークタウンを撃沈した。反撃を期す米軍は、フレッチャー艦隊に日本軍の一大拠点ラバウルへの奇襲攻撃を命じる…。
戦後フランスを代表する作家ロマン・ガリ(一九一四ー八〇)が、自殺する直前に遺した最後の長篇小説(原著一九八〇年刊)。稀代の凧揚げ名人を叔父にもつ主人公の少年リュドは、ポーランド人の令嬢リラに恋をするが、対ナチス戦によって2人は引き裂かれる。リラへの思いを募らせるリュドは、凧がふたたび自由に空を舞う日を取り戻すためにレジスタンスへと身を投じるが、それはフランス=善/ナチス=悪という図式が崩壊してゆく過程でもあった…。日本でも再評価著しい作者の遺作。
都会人の日常生活の裏側を描いた名作短編集 自らを「瑣事観察者」と称する神吉拓郎が、都会の日常生活の裏側ーー〈私生活〉に潜むちょっとしたドラマを、歯切れのいい文章で活写した短編集。 ある真面目な銀行マンが、夜には別の一面を垣間見せる「つぎの急行」、平凡なサラリーマンが、会社のカネの横領を企む「警戒水位」、ダッチワイフに入れあげる初老の男に訪れた悲劇を描く「小夜子」、真面目だと思っていた家政婦が衝撃的な素顔を見せる「もう一人の女」など、17のエピソードを収録。 一つひとつの作品は短いが、それぞれに違った余韻をもたらす名作で、第90回直木賞に輝いた。
懐かしい本と、孫娘がある幸せを噛みしめる デイモン・ラニアン『ブッチの子守唄』、ツルゲーネフ『ページンの野』、チェーホフ『少年たち』、トルストイ『ふたりのおじいさん』など、著者の心に残った珠玉の短編を紹介する「読書日記」の体裁をとりつつ、著者夫婦が暮らす「山の上の家」にやってくる孫娘らとの平穏な日々を綴った心温まるエッセイ。 近所に暮らす〈清水さん〉が季節ごとに届けてくれるエイヴォン、バレンシア、ソニアといったバラや水仙、ヒヤシンスなどの花々が、淡々とした日常にさり気ないアクセントを与えている。 『鉛筆印のトレーナー』『さくらんぼジャム』と続く「フーちゃん三部作」の第一弾。
大砂漠の民の血を引くマハーン。炎を操る不思議な力をもつシャン。周囲から拒絶された孤独な二人の少年は、固い友情で結ばれていた。だが、砂漠の国ナルマーンにおける正当な王の復興を目指す男たちとの出会いが、二人の運命を変えた。マハーンこそが、凶王サルジーンに滅ぼされたナルマーン王家の末裔がだというのだ。果たして少年たちは、凶王を討ち果たすことができるのか? 『青の王』『白の王』に続くナルマーン年代記第三弾。
王党派貴族を祖父にもつ青年マリユス。社会主義に感化され恵まれた身分を捨てた彼は、公園で毎日出会う未知の少女コゼットに惹かれていく。運命の大転機となる出会い。(全5巻)
スターリンがムッソリーニが、ヒトラーが台頭しつつあった頃、イギリス内陸の古い屋敷で上演される野外劇に集った人々──迫り来る戦争の気配と時代の気分を捉えた遺作の新訳。
大学の卒業を迎えた富士は、絶望の渦中にいた。五人兄弟の真ん中として育ち、金銭的には何不自由なく育ってきた富士。卒業後は、親の企業に就職し、そこの社員と結婚して静かな暮らしをするはずだったのにー。許婚に婚約を破棄され、地元に戻るのも恥ずかしく、就職先もないまま東京に残った彼女は、ひょんなことから弱小劇団の運営にかかわることに。そこは社会からはみだした者たちが集うところ。劇団員になれば、ボロアパートの家賃は無料でいいとの甘言にひかれた富士だが、そこで自分が「真ん中っ子」としてつちかってきた、「カオスを整理する能力」を発揮することになるー。劇薬青春小説!
学生時代に杉本の「親友」だった、粗暴で自己中的な男、三浦。病に臥せる三浦を、杉本は十二年ぶりに病院に見舞う。そこから再び始まった二人の奇妙な関係は、不本意な同居生活まで発展する。これはいったい、友情か、愛情か、執着 か……。傑作BL『箱の中』の作者が、執拗かつ理不尽な同性同士の愛を描く。 カバーイラスト:丹地陽子
第1回「日本おいしい小説大賞」受賞作! 「幸福な食卓」なんて、私にはきっと一生訪れないーーーー。 自分の容貌に強烈なコンプレックスを抱く28歳の日向桐子は、人目に触れぬよう外では常にマスクと眼鏡を身につけて暮らしている。勤務先である、「優しい料理」のサービスに力を入れる単身高齢者向けマンション『みぎわ荘』でも、職場の人間関係をうまく築くことができない。もう辞めよう、そう思っていた桐子の前に現れたのは、『みぎわ荘』最上階の住人で、72歳の不良老人・匙田譲治だった。小粋な江戸弁で話す匙田に連れてこられた「居酒屋やぶへび」で、大雑把ながら手際よくつくられた温かい料理と、悩み多き人生を懸命に生きる心優しい人々との対話を通じ、桐子の心は少しずつほぐされてゆき……。 44歳差の恋、はじまる!? おいしい料理シーンが散りばめれられた、心温まる恋味小説! 本当の自分でいられる場所を見失っているあなたへ。温かくてほっと安らぐ、極上の「おいしい小説」はいかがですか? 【編集担当からのおすすめ情報】 第1回日本おいしい小説大賞、圧倒的満票の受賞作!! 山本一力氏、柏井壽氏、小山薫堂氏絶賛! 待望の書籍化!!
19世紀末ロンドンの殺人鬼が〈新宿〉に! 切り裂きジャック復活!? 秋せつら最大最厄の危機! 超人気シリーズ最新作書下ろし! 「喉は真一文字に切り裂かれ、腹は……」海の彼方のもうひとつの魔都を模した〈世紀末倫敦通り〉で、女子学生惨殺事件が連続した。大型の刃物と思しき凶器と犠牲者の有様は、伝説的殺人鬼の名を記憶に上らせ、人々を震撼させたーー。〈新宿〉にあの“切り裂きジャック”が甦ったのか!? 美貌の人捜し屋秋せつらが真相を追う眼前で、なぜか警官が、やくざたちが、突如として刃物を手に殺人衝動に駆られる! 街を覆うがごとき巨大な殺意に、女ナイフ遣いちどり、破戒僧鋼海とともに立ち向かう、せつらの命運は?
不器用で勉強もできない自分に劣等感をもつ中学生の辻聖一。親友の孝二やその母との交流の中で、在日韓国・朝鮮人への差別を知り、時代や社会のことを教えられる。高校生になり、体育祭の仮装行列をめぐり騒動が起きる……。1960年代前半の大阪生野区を舞台に、何のために生きるかを求め、成長する青年を描く長編。
鋼と火だけを相手に、人生の大半を過ごしてきた鍛冶職人の前に現れたのは、澄んだ瞳をした12歳の少年だった。 少年は、鍛冶屋になりたいから、仕事を見学させてほしいと言う。年老いた職人は少年のその純粋でひたむきな姿に心が動き見学を許した。 少年は、毎日訪れるようになり、職人も鍛冶のことを話してやり、二人は心を通わせていった。 職人は、少年が鍛冶屋になりたいというのは、子どもの気まぐれだと思っていた。 後日、少年の母親が訪れた。要件は、少年が中学校にいかずに鍛冶職人の修行をしたいと言い出したので断ってくれということだった。 しかたなく承諾した職人だったが、自分は口べたなので、少年に話して説得できる自信がなかった。話せば話すほど、少年は自分に裏切られたと思うに違いない。 職人は考えた末、自分が親方から聞いたことを、当時と同じように山へ出かけて、少年に話してみることにした。 山を歩きながら、彼は鍛冶がいかに素晴らしい仕事であるかを少年に話した。 それは、説得とはまったく逆の話だったが……。 年老いた鍛冶職人は少年を、いかに育てたのか? 子育てとは。人育てとは? 伊集院 静が贈る珠玉の短編小説!