小説むすび | 2020年7月17日発売

2020年7月17日発売

ミック・エイヴォリーのアンダーパンツミック・エイヴォリーのアンダーパンツ

発売日

2020年7月17日 発売

『最高の任務』で第162回芥川賞候補となった現代文学の新星、乗代雄介がデビュー前から15年以上にわたって書き継いできたブログを著者自選・全面改稿のうえ書籍化。  総数約600編に及ぶ掌編創作群より67編を精選した『創作』、先人たちの言葉を供に、芸術と文学をめぐる思索の旅路を行く長編エッセイ『ワインディング・ノート』に書き下ろし小説『虫麻呂雑記』(140枚)を併録。 ◆推薦の言葉 『ミック・エイヴォリーのアンダーパンツ』は下品極まりないものから唐突にピュアな青春ものまで、どのエチュードも強烈なビートを発しているが、「のりしろ」なる書き手は、少なくとも自分の想像上ではいつも真顔だった。己の技術を誇示したいのでもなく、誰かとつながろうとしているのでもない。ただ“書かずにはおれない”人。本で読める日をずっと待っていました。  高城晶平(cero) ◆『創作』 総数約600に及ぶ掌編「創作」より66編を著者みずから精選! デビュー以前から書き続けられた、文章による打ち壊し(ラッダイト)の記録。 ◆『ワインディング・ノート』 太宰治、サリンジャー、いがらしみきお、手塚治虫、宮沢賢治、カフカ、細野晴臣、スタインベック、村上春樹、cero、キェルケゴール……先人たちの言葉を供に、芸術と文学をめぐる思索の旅路を行く長編エッセイ。 ◆『虫麻呂雑記』 私は書こうとしている。野間文芸新人賞を受けるまでの半年間のこと、偶然出会ったデリヘル嬢を連れて万葉歌人・高橋虫麻呂の足跡をたどる小旅行、移ろう時間と風景、孤独と見ることについてーー。書きおろし中編(140枚)。

土星の環[新装版]土星の環[新装版]

何世紀もの破壊の爪痕をめぐる  イギリス南東のサフォーク州の海岸線や内陸にひっそりとある町々をめぐる徒歩の旅。荒涼とした風景に思索がよびさまされ、過去の事跡からつぎつぎに連想の糸がたぐられていく。アフリカから戻ったコンラッドが寄港した保養地、中国皇帝が乗るはずだった列車が走行していた鉄橋……そして本書の同伴者となる17世紀の医師、トマス・ブラウンをはじめとした、魂の近親者である古今の人々との出会い。  〈私〉という旅人は、どこか別世界からやってきた人のように、破片を拾い上げ、想起によって忘れ去られた廃墟の姿を甦らせる。人間の営みを、人間によって引き起こされる破壊と惨禍を、その存在の移ろいやすさとともに見つめようとする眼。歴史を見つめるその眼差しは、そこに巻き込まれた個々の人間の生、その苦痛に注がれている。  「作中入れ替わり立ち替わり現われる奇妙なエピソードは、それぞれ独自の奇怪さを有していて、印象としては、すべてが次第にひとつに収斂していくのではなく、何もかもがいつまでも横滑りしていく感がある。」柴田元幸氏による解説「この世にとうとう慣れることができなかった人たちのための」より引用。

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