2020年9月11日発売
実力を認められてもデビューもできていない純文学小説家志望の芹生研二。かつて文芸サークルの仲間だった川島が、あっという間に売れっ子作家になった様をみて芹生は焦燥にかられる。そんなある日、芹生は川島から小説の推敲を依頼された。「この俺が川島の手伝いだと?」悩みながらも芹生は守るべき家族のためにプライドを捨て、表現手法の異なる川島に手を貸すことにする。そうして生まれた純文学とエンターテインメントが融合した稀代の作品『オーパス』は、世間で大きな論議を巻き起こすが…。
生活習慣病に悩む者に立ち直るきっかけを与えてくれる場として、密かに口コミで噂が広がる「健康道場」。今日もそんな“迷える子羊”たちを導くために、喝を入れる和尚の声が響き渡る。暴飲暴食をやめられず急性心筋梗塞で死にかけた水口、脳梗塞で高次機能障害になった山部、スイーツが大好きな糖尿病患者の姫、ニコチン依存症で肺ガンを患う古田…。不思議な力を持つ和尚のもとに集う彼らは、内なる欲望を絶って健康を取り戻すことができるのか?
大男の依頼は、恋人デイジー捜し。ギターの弾き語りがうまいという。同じ頃、“新宿”で暮馬芽以戸という若者がギターで人気を博していた。秋せつらはなぜか彼を大男に会わせようとする。男性の芽以戸がデイジーなのか?四〇〇年以上前に、スイスで生まれた巨人モンパルナスは、恋人を求めて旅を続けながら殺人を繰り返し、二〇〇年前に惨殺した一家には、不老不死の秘密を記す文書があった…。神出鬼没の医師ランケン、スイス特務員、人を喰らう子供たちも出現、捜索は難航した!人気超伝奇書下ろし最新作!
人生の選択肢はひとつじゃない。それぞれが選ぶ道とはー?千葉香澄は、転職エージェントに勤める四十歳のキャリアアドバイザー。「転職した先輩からすすめられて」「営業以外ならなんでも」「勤め先が倒産して」「あこがれの会社に再挑戦したい」…さまざまなきっかけで転職を考えている人々に相応しい求人を、ちょっぴり頭の固いAI「ソフィア」を活用しながら紹介するのが仕事だ。ときには悩みを打ち明けられたり、あらためて再考を促したりもする。十人十色の仕事観や人生模様にふれるうち、自分自身の仕事や人生も見つめ直すことにー。
夢は大きく、ダービー制覇!家族経営の零細牧場「あかり野牧場」で生まれた一頭の馬は、「北の大地に灯りがともれば」と、キタノアカリと名付けられた。中央競馬デビュー以来、圧倒的着差をつけて連勝し、いよいよG1に挑む。広大な町の狭いコミュニティーは、アカリの話題で持ちきりだった。大牧場が席捲するG1戦線で、世代7000頭超の頂点に立つことなどできるのか?牧場を営む家族、馬産地の仲間たち、崖っぷちの騎手…多くの想いを背に乗せて、希望の灯りがターフを駆ける。一頭の馬が人の心を揺り動かし、夢舞台へと駆り立てる。
その日、ミリーは女優の姉に言われて身代わりを引き受けていた。貧乏だの無学だのとばかにされても、唯一の肉親は助けたかった。しかし次の瞬間ミリーは気を失い、目覚めたときには病院にいた。そばには、見知らぬハンサムな長身の男性がいるだけだ。なんとミリーは事故に遭い、1年以上も眠ったままだったという。さらには頭を打って記憶を失っているが、目の前のイタリア富豪ロレンツォと結婚している、と言われて衝撃を受ける。本当なの?でもこの人は私の回復を願う一方で、ひどく冷たい。それはなぜ?妻なら愛されたい、そう望んではいけないの…。邦題はTwitter投票により決定!大スター作家の記憶喪失もの。記憶が戻れば、二人の結婚は壊れてしまう。偽物の妻が夫に抱いた愛は、しょせん偽物なのか?
ヨーロッパ有数の富豪マシューは出席していたパーティで、白いレースのドレスをまとった女性を見かけ、無性に惹かれた。だが、世間から“獣”と噂されている自分が、あれほど無垢な輝きを放っている女性に近づいてはだめだ!ところが気づけばマシューは彼女のそばに行き、話しかけていた。初恋を失ったマリアは絶望の淵に沈んでいた。そんな折、力強い体と官能的な唇を持つ男性がそばに現れ、われ知らず尋ねてしまう。「キスをするのってどんな気分?」3カ月後、彼のオフィスで妊娠を報告することになるとも知らず。マシューはマリアの妊娠を知るやいなや結婚を申し出る。でも、それは子どものためだけの愛のない結婚で…。リン・グレアムの愛弟子の便宜結婚物語。『幻の乙女と仮面の花婿』の関連作。
ロンドンの小学校教師エリーは、亡父の借金返済のため昼夜働き、美しい妹とは対照的に堅実に生きてきた。ある日、公園で迷子の男の子を見つけ、家まで送っていくと、ブロンズ色の肌と、夜の闇のような漆黒の瞳を持つ男性の姿が。なんてゴージャスなの!それに罪深いほどセクシーだわ。親戚の少年の世話に手を焼くそのスペインの放蕩富豪ルカに、突然、破格の報酬で住み込みのベビーシッターの職を提示され、彼女は承諾した。“この人は危険よ”と囁く心の声に蓋をして。だがその後、遭遇した彼の元恋人にでたらめな情報を流されて恋人同士と誤解され、ルカの別荘に身を隠すことになって…。美しい妹の陰でひっそり人生を歩んできたヒロインの前に、夢のように舞い降りた魅惑の男性。愛には興味がないと明言する彼に惹かれまいとするけれど、氷のように冷たい億万長者だと思っていた彼は実は…。ピュアなヒロイン像が光る感動作!
シャナはその夜、パーティ会場に足を踏み入れたとたん、ある男性の視線を感じた。また彼だわ。リック・ダルモントー浅黒い肌に黒い瞳、長めの黒髪。スペイン人の血を引く、セクシーなプレイボーイで有名な敏腕実業家だ。先日、甘くハスキーな声色で話しかけてきてからというもの、シャナへの執心を隠そうともせず、行く先々に現れる。マティーニのグラスを渡す刹那、彼はシャナの細い指に触れた。「これが君に触れる唯一の方法だから」シャナはびくりとした。そんな誘惑をはねつけた翌日、兄の会社が買収されたと知るーあろうことかリックに!即座にシャナは退職願を出すが…。まるで獲物を前にした野獣のようなヒーローのペースに乗せられまいとするヒロイン…。“年の差”“オフィス”の二大人気テーマも絡めた、夢の逸作。
あれからもう、7年がたつ。ミーナはあの夏、交通事故に遭った。頭に大怪我をし、2年ものあいだ入院してつらいリハビリに耐え、記憶を一部失ったままとはいえ、ようやく普通に暮らせるようになった。今は生まれ故郷で自然保護の仕事をしている。そんなとき、近くでリゾート開発の計画が持ちあがった。開発会社のオーナーである大富豪のガイと仕事で会うことになり、彼を前にしたとたん、ミーナの全身に雷のような衝撃が走った。そばに近づくだけで体が反応し、胸が高鳴り、手に汗がにじむ。この男性には、以前会ったことがあるような…。もしかしてこれは、失ったあの夏の記憶の一部なの?
親友の結婚式に招待されたキャサリンは南欧に降り立ち、まばゆいばかりの日差しに輝く花々と、風格のある屋敷に魅了された。そして、親友の兄で、ポンタレグレ伯爵の称号を持つエドゥアード。たびたび話に聞いていた“伝説の人”は、セクシーな男性だった。だが彼はキャサリンを見た瞬間、その黒い瞳と微笑を凍りつかせた。なんでも、少年時代の初恋の人に、彼女がそっくりなのだというー23年前、報われない恋に絶望して命を絶った女性に。憂いを秘めたエドゥアードを知るほどに惹かれるキャサリンだったが、同時に胸が締めつけられるような苦しさに悶えた。なぜなら、彼の心はまだ、亡き初恋の人に囚われているのだから…。ヒロインが愛に臆病なのには、もう一つ理由があった。未婚の母に育てられ、父親が誰かもわからない自分と、ふさわしい家柄の地元の娘と結婚すべき伯爵とでは、あまりにも釣り合わないと気に病んでいて…。ベテラン作家の名作。
小さな村の牧師の娘マーシーは、よその家で家事や雑用を手伝って弟の学資を稼いでいたが、両親亡きあと、ロンドンで清掃員をしていた。ある日、偶然見つけた住み込み家政婦の求人に応募して採用されるが、雇い主は、プレイボーイと名高いイタリア富豪のアンドレア。男性に不慣れで地味なマーシーは、魅力的な彼に心乱されつつもその気持ちを押し隠して、懸命に仕事に励んでいた。ある日、アンドレアの会社が作るCMへの出演が決まり、マーシーは驚いた。彼の会社は宝石などの高級品の広告しか手がけないと聞いているから。だが撮影日に台本を渡されたとたん、マーシーは屈辱のあまり震えた。不格好な妻でも、この商品でハンサムな夫の胃袋をつかめる、ですって?しょせん私は、醜いさなぎのまま。美しい蝶には決してなれない。密かに想いを寄せるアンドレアが家政婦の自分をどう見ていたのか、まざまざと思い知らされたマーシーの気持ちが切なくて…。こんな雇用関係の二人が、どのように恋を成就させるのか?華麗なる変身物語。
「君に会いたい」7年ぶりの電話の声に、アンの心臓が一瞬止まった。理由も告げず突然いなくなったのに、どういうこと?今や一流文化人となったサディの真意を知るため、アンは彼に会うが、本心を聞き出せぬまま再び誘惑の罠に…。やがて身ごもったアンは幸せを味わうが、なぜかサディはまた一方的に彼女を置き去りにした!(『最後のおおいなる情熱』)。6年前の冬、19歳のクレアは、父の死を嘆く実業家のジャックを慰めたい一心で夜を共にした。肌を重ねる喜びを初めて知ったクレアに対し、彼は翌朝、小切手を差し出したー僕には妻がいる、と。そしてクレアはあとになって妊娠に気づいたのだった。今、離婚したジャックと思いがけず再会し、息子の存在を知られてしまい…(『愛と呼ばないで』)。ヴァネッサは去年、兄に大反対され、大富豪ニコラスとの恋をあきらめた。そのうえ、余命いくばくもない父が緊急手術で輸血を必要とした際、血液型から自分が実の娘ではないことを知ってしまった。心が千々に乱れる中、偶然の再会を機に始めたニコラスとのひと夏の密会が慰めとなる。でもまさか、彼の子を宿してしまうなんて!(『ひと夏の関係』)離れていても、つながりを感じたかった…。珠玉のシークレットベビー・アンソロジー。
子供の頃に両親を事故で亡くしたカトリーナは、伯母に引き取られて田舎のコテージでつましく暮らしてきた。女学校を卒業したものの、経済事情が許さずに大学進学を断念し、24歳の今になるまで外で働いたこともなく、家事手伝いをする毎日だ。そんなある日、最愛の伯母が白血病であることがわかり、ハンサムな専門医のグレンヴィル教授に診てもらうことになった。先日、カトリーナがバイクにはねられたときも教授に助けられた。でも彼が親切なのは、恵まれたエリート階級の施しでしかないわ。反発心を覚えていたカトリーナだったが、伯母の病が不治のものと思いやり深く丁寧に説明してくれた教授を信頼し、好意さえ感じ始め…。伯母が心配で思わず涙を落とすカトリーナに、見捨てられた幼い少女の面影を見たグレンヴィルは、ただ黙ってそっと彼女に寄り添ってやるのだった。