2021年12月発売
東京都杉並区。古くからの住宅街の空き家に総勢十人の大家族が越してきた。カリスマ的なオーラを放つ六十代の女性を筆頭に、三人の娘とその連れ合い、そして孫の少女三人という女系家族だ。平安時代から神に仕える仕事をしてきたという一族は、不思議な磁力でたちまち地域の住民たちを取りこんでゆく。隣家に住む榊可南は彼らに警戒心を抱き、そのルーツを探ろうとするが、蔓延し始めた感染症がさらに思わぬ事態を引き起こしてゆくー。
息子を溺愛し、学校や近隣でトラブルを繰り返す母親。家から一歩も出ず、姿を見せない息子。最愛の息子は本当に存在しているのかー歪んだ母性が、やがて世間を震撼させるおぞましい事件を引き起こす。
大学生の玉城聖子が書店で待ち合わせているのは、警視庁の幹部と、座間味くんと呼ばれる中年の会社員の男性。世代も性別もバラバラだが、不可解な話を肴に時折酒を酌み交わす仲だ。浮気性の男が起こした傷害事件、若手起業家と空き巣の争い、猫がもたらした複雑な出会い、キャンプ場で一人テントを広げるスーツの女性、そして聖子の胸に淀む罪悪感…。杯を干すほどに推理は冴え、思いも寄らぬ真相が露わになっていく。酔いにまかせて油断しないで。世界はたった一言で変わるから。
ここは競天馬場。人々はペガサスのレースに熱狂して…-「天翔ける」、力みなぎるエナジードリンク。その力に頼りすぎると…-「Wolf」、やっと進んだ最終面接。でも社長の頭は三つあって!?-「会社の番人」…ヴァンパイアが、ミイラ男が、スライムまで!?古今東西のモンスターたちが現代社会で泣き笑い。どの話から読んでも楽しい全10編!現代ショートショートの旗手が贈る、シリーズ第4弾!
1967年生まれの理夏。アパレル業界に憧れて上京した19歳の頃バイトをしていたパン屋さん「アンゼリカ」が閉店すると聞き、30年ぶりに下北沢を訪れた。古いアパート「コーポ服部」で過ごしたバイト仲間の秋子、元住人・ちはるとの日々は濃く楽しい時間だったが、秋子に恋人ができ、すれ違い、三人はバラバラになってしまった。時を経ても消えることのない罪悪感を抱える理夏に、一通の手紙が届きー下北沢に実在した人気パン店「アンゼリカ」を舞台に、青春の輝きと苦みを知る大人のための物語。
十返舎一九、一世一代の野辺送り。「煙と共に灰左様なら」。お江戸の大火で、命からがら焼け出され、無一文のすっからかん。一九と娘の舞一家、涙と笑いの大騒動の巻。
研ぎ澄まされた「文学」の刃 1993年以降に発表された秀作を厳選! 【収録作品】 聖餐 山からの声 海からの声 空からの声 沢より還る 海にはすべて 青木ヶ原 わが人生の時の生と死 ブラックリング 生死刻々 生き残りの水兵
抉り出される人間の業 想像力と情念の所産。石原文学の軌跡! 【収録作品】 青木ヶ原 完全版 やや暴力的に 僕らは仲が良かった 夢々々 世の中おかしいよ うちのひい祖父さん ワイルドライフ 海の家族 ある失踪 ヤマトタケル伝説 特攻隊巡礼 暴力計画 ーーある奇妙な小説ーー老惨 死者との対話 いつ死なせますか 噂の八話 死線を超えて ハーバーの桟橋での会話
遺書もなく自殺した双子の弟の携帯。同じ顔を持つ兄が顔認証を突破すると、礼文島行きの航空券を見つけた。そこに弟の「死」の答えはあるのかー。マルタ島、台湾、ロンドン、NY、南米、東京、青春小説の名手が紡ぐ「喪失と再生」の物語!
《私たちの心には、“彼女”のかけらがあるから》 女性への暴力や不条理が激しかったころ、美術家として作家として、時代に先駆けて生きたシム・シソン。 ユーモアを忘れずにたくさんの仕事をし、二度結婚して四人の子供を育て、世の評判をものともしなかった人。 そんな〈家長〉にならい、自由に成長してきた子供と孫たちは、彼女の死後十年にあたり、ハワイでたった一度きりのちょっと風変わりな祭祀を行うことにするが…… 『フィフティ・ピープル『保健室のアン・ウニョン先生』のチョン・セランが贈る家族三代の物語。 韓国で16万部を突破した待望の最新長編小説。 ーー20世紀を生き抜いた女性たちに捧げる、21世紀を生きる女性たちからの温かな視線。
異世界『ワーゲン』の勇者として突然召喚されたタカヒロ。しかし、転生特典で貰ったのは『スティール』という他人のモノを盗むスキルだったため、召喚した王様から浅ましいスキルと卑下され、無一文のまま街に放り出されてしまう。やむなく『スティール』で日銭を稼ぎながら稼冒険者稼業を始めるが、異世界の魔物は予想以上に強く、盗んだスキルを多数持っていても全く歯が立たなかった。そこで、強い冒険者奴隷を買いパーティーを作ることを決断、さっそく奴隷商に足を運んだタカヒロは、ある鬼族のメイド少女と運命的な出会いをする。このメイド少女がタカヒロを真の勇者へと導いていく…。
パラオ滞在中に出会った島民の女性をユーモラスに親しみあるまなざしで描いた「マリヤン」、ある南の島に伝わったとされる昔話を題材に描いた「幸福」、そしてタイトルとなった「かめれおん日記」を収録。自身の望まぬ環境と喘息の持病に悩むある教師が、突然生徒から渡されたカメレオンを飼育することになる。その珍奇な小動物の観察から、「自身への呵責と省察」が思索的に展開し、現実と内面の世界を往還する。環境に適応できずに衰弱する「かめれおん」と何とか今の状況から脱却を試みる人間が鮮明に描かれる。
「死の森」を抜け、光の差さない「常闇の城」に輿入れしたアメリア。冷たい目をした美貌の「凶神」に、この結婚に求めるものを問われ、アメリアは声をあげた。「お外に遊びに行っていい?」山育ちの女神アメリアは、結婚相手の「凶神」レイに放置されて自由を謳歌するはずがー。結婚から始まる神様系ラブファンタジー!書き下ろしエピソード・ショートストーリー「茜色の空」収録。
「言えよ、俺としかセックスしたことありません、って」 (わたしたち三年前に別れましたよね!?) おひとり様ライフを満喫する三園亜沙は、 海外事業部のモテ男子・才賀の帰国に顔面蒼白! それというのも、才賀は亜沙にとって 唯一の元カレだったから。 関係は終わったはずなのに、 帰国祝いの飲み会でお持ち帰りされ、 抵抗むなしく熱く激しい愛撫に翻弄される。 三年半も離れていたのに彼は亜沙に執着してきて……!? ハイスペック俺様男子(さらに性欲モンスター)×マイペースお肉大好き女子 振り回して振り回されてのすれ違いLOVE♥
ニューヨーク州北部を人知れず流れる川、ダッチマンズ・クリーク。妻を癌で失ったエイブと、交通事故で家族を一度に亡くしたダンは、釣りに打ち込むことで孤独と喪失感に勘えていた。二人は新たな釣り場としてその川に向かう途中、一九世紀から始まる長い話を聞く。それは、ダッチマンズ・クリークの水源に沈んだ町と、愛する者を失った男たちが謎の“漁り人”と結んだ契約にまつわる、奇怪な物語だった。そして、“漁り人”の伝説は、やはり愛する者を失った二人の釣り人を引き寄せていく…魔の川へと!二〇一六年ブラム・ストーカー賞長編賞受賞作。二一世紀アメリカのホラー界を先導する俊英の代表作、ついに邦訳!
『認知症』患者の予防と治療を目的として開発されたAIドクターロボット…。AIがランギュラリティの域に達しても、認知症患者は老化という不可逆な現実からは逃れられない。それでも症状改善と闘うAIドクターロボットが臨床経験で得た結論とは?
コロナ禍から10年が経過した日本の社会…。バイザーを利用した相互監視システムが構築され、どんな理由であれ、適合できない人々は「アンプラ」と呼ばれた。不適合の人々は“静山泊”に集まり共同生活を送るものの、地域住民による排斥運動に悩まされる。彼ら・彼女らの行く場所はあるのか?