2021年3月12日発売
胃に遺された暗号と迷宮事件、2つの謎に病理医コンビが挑む。「死んだらすぐに遺体を解剖して欲しいー」医師の千早が父の遺言に従い遺体を解剖すると胃の内壁に暗号が見つかった。28年前、連続殺人事件の犯人を追うために父が警察を辞めたことを知った千早は、病理医の友人・紫織と胃に刻まれた暗号を読み解こうとする。時を同じくして28年前の事件と似通った殺人事件が発生。絡み合う謎を、千早と紫織の医師コンビが解き明かす!
バンコクからの帰国子女である高校1年生の漣は、日本の生活に馴染むことができないでいた。ある日高校の渡り廊下で見つけた先輩に、漣の心は一瞬で囚われてしまう。先輩との距離を縮めようとする漣だったが、それは好きになってはいけない人だった。気持ちを抑えることができない漣は、大好きな家族に嘘をつくようになり…。
44歳おじさんズ、夢の舞台に立つ。田中の急速な上達ぶりに刺激され、かつての闘志を取り戻した中井。超攻撃的テニスで全日本と世界を目指す2人の、熱き戦いが始まる!!凸凹ペアが繰り広げる長編テニス小説、ダブルス編。
天然痘、コレラ、インフルエンザー突然襲いくる見えない恐怖。神罰論、環境説、帝国主義、性差別、戦争などと絡み合い、記憶と忘却の狭間で人類社会に大きな禍根を残してきた疫病を描き、コロナ・パンデミック後の世界を考える指針となる七編。
称号だけで実は借金まみれの伯爵家に生まれたヴァイオレット。娘を王家に稼がせたい野心家の母親の画策で、モンテゴヴァの王子ザックの下で働くことに。ザックこそ彼女の初恋の男性、一度きりのキスの相手だった。結局彼に拒絶されたものの、二人の間には炎がくすぶったまま。愛されていなくても、思い出になればそれでいいの…。出張先でついにヴァイオレットはザックと一夜を共にした。けれど妊娠がわかると、ザックは義務だと言って求婚してきた。子供のためだけに結婚するなんて、あまりにも切なすぎるー。
ヴェネツィアでつましい暮らしを送るキアラは、イタリア富豪ヴァルの誘惑に抗えず、なすすべもなく純潔を捧げた。プレイボーイのヴァルが去っていったあと、キアラは気づく。妊娠しているなんて!いっそう生活に困るようになった彼女は、ヴァルの父親である大富豪の庇護を受け、ひそかに娘を産んだ。3年後、ヴァルの父親が闘病の末に逝去し、遺言が開示された。その席でキアラはヴァルと再び顔を合わせ、自分の血を分けた子の存在を知って激高する彼に言い渡された。「娘にはぼくの姓を名乗らせる。きみはぼくと結婚するんだ」
15歳のその日まで、アルティは城に住む幸せな少女だった。だが悲劇的な事故で母を亡くしたことがトラウマとなって以来、人に会うことも、城の外に出ることもできなくなってしまった。10年後ー。城は朽ちかけ、財産も底をついたが、美しい女性に成長したアルティは、世界を知らないままだった。そんなとき、若きイタリア人富豪ルカ・フェランテッリが現れ、城を買い上げたから出ていくように、とアルティに告げたのだ。そんな…わたしはこの城を、出たくても出られないのに。青ざめる彼女にルカは続けた。「いやなら、僕の妻になるんだ」
オリビアの亡き父が創業した会社が、大企業に買収された。父が何より大切にし、将来は弟が継ぐはずだったのに…。オリビアはいてもたってもいられず、先方の社長に会いに行く。マシューは背が高く、はしばみ色の瞳が魅力的な男性だった。「喜んで会社を君に返そうーただし」彼は条件を出した。半年だけ彼の妻になってくれるなら、というのだ。結婚すれば会社は夫婦のものになるから、と。弟を思い、彼女は承諾した。ただし、とこちらも条件をつけて。「結婚しても、決してあなたとベッドはともにしないわ」
子供のころに家族を失い、施設で孤独に育ったゾーイは、ある日元恋人の医師ベンと再会し、熱く切ない一夜を過ごした。だが愛を失う恐怖にとらわれて逃げだしたー2年前と同じように。そして今、目の前にまたベンがいる。今日こそ彼に伝えなければ。自分の生き方についての考え方が変わったことを。この最後のチャンスを、絶対に逃したくはないことを…。「妊娠しているのか、ゾーイ?」ベンの率直な問いを受け、ゾーイは数奇な運命を伝えるための勇気をかきあつめた。「ええ。あなたの子よ。それと、妊娠がわかってから癌が見つかったの。私が死んだときには、この子のことをお願いしてもいいかしら」
旅行会社の重役秘書クレアはホテルを視察するため、さる異国を訪れ、そこで偶然にも、1年前に別居したニックとでくわす。ニックを激しく愛していたクレアは、仕事で命を危険にさらす彼を見ているのがつらくなり、やむにやまれず彼のもとを去ったのだった。どうやらニックも仕事で同じホテルに滞在しているらしく、クレアはなんとか動揺を押し隠し、彼を避けつづけた。だがラウンジにいたとき、ふとした隙を突かれ、たくましいニックの手でダンスフロアへ連れ出されてしまう。彼はクレアの身を抱き寄せながら、その耳元で囁いた。「どんなに君が忘れたいと思っても、君はまだ僕の妻なんだ」
5人きょうだいの長女アニスは、村でも働き者で評判の娘。家は裕福ではないので、おしゃれもできないけれど、家族はみんな仲がよく、日々の生活に満足していた。そんなある日、アニスはハンサムな敏腕実業家ジェイクと出会った。彼は尊大で自信過剰だけれど、いなければいないで寂しい。苛立ちと思慕の間で揺れるアニスの心を、ジェイクがさらにかき乱す。「僕は愛を疑っているが…僕の帰りを待つ妻が欲しい」君はぴったりだと言われ、アニスは思った。なんて心のない求婚なの!人は愛あればこそ結婚するものだと反論する彼女に、ジェイクが言った。「君もいずれ、間違いに気づくよ。ひとまず半年試してみないか?」
会社の屋上で見つけたノートで、謎の人物と文通を楽しんでいた京香。ある日、文通相手の正体が、酔ったはずみで一夜を共にした上司・冬威であることを知ってしまう!彼を知るほどに恋心がどんどん大きくなっていくけれど、一流建築士かつ大企業の御曹司である冬威とは釣り合わないーなのに、彼はここぞとばかりにぐいぐい迫ってきて…!?
「彼女に結婚式を台なしにされてたまるものか」ミラノの大富豪マルコ・ダンジェロの声がサロンの高い天井に響いた。幼なじみの公爵家令嬢との結婚を2カ月後に控えている。ところが、別れた妻のペイトンが幼い双子の娘たちを連れて、突然サンフランシスコからやってきたのだ。ペイトンの目的は、娘たちをマルコに託すことだった。二度と戻らないつもりでいたミラノを再び訪れたのは、医師に残酷な事実を突きつけられたから。ペイトンは亡き母と同じ、不治の病におかされていた…。
体系に劣等感を抱くハリィは四姉妹の長女だが、いまだ独身。すると誕生日に、既婚の妹たちから旅行をプレゼントされた。男性が大勢いる場所に行けば、結婚相手が見つかると言われて。しぶしぶ出発した彼女は、滞在先で出逢った実業家ジェイクに一目で恋するが、そばにはグラマーなブロンド美女がいて、彼に熱い抱擁をして…(『奇跡の花嫁』)。ラプデイは横暴な雇い主の家に住み込み、秘書とは名ばかりのメイドのような仕事をしている。だが花瓶を割ったと濡れ衣を着せられてくびになり、途方に暮れた。頼れる人などいないなか、医師のアンドリューが診療所の受付係として雇ってくれることに。彼女はアンドリューへの想いを募らせるが、なぜか彼はよそよそしくて…(『ドクターの花嫁』)。大学院生のハンナは郊外で生後半年の姪を育てながら、つましく暮らしている。ある日、家の近くで車の事故が起き、怪我人のドミニクを助けたハンナは、一目で恋におちてしまった。ところが後日、偶然目にした経済誌にドミニクの写真を見つけて驚くーなんと彼はフランスの大富豪で、ハンナには縁のない世界に住む人だった!(『天使のとりこ』)。