2021年3月発売
『無刑録』とは、刑が無くても犯罪が発生しないような理想の世を求め、芦東山が著した。当時、刑罰は犯罪に対する報復であるとする応報刑論が主流だったが、人間尊重の立場から犯罪者を更生させるための手段だという教育刑論を唱えたもの。江戸時代中期、24年間もの幽閉生活にめげず、刑法思想の根本原理を論じ、己の考えを貫き通した生涯とはー。岩手県一関市が生んだ偉人を描く歴史長編小説。
月曜日、鈴木俊平は『酒肴・花里』に足が向く。浜松名物、モチモチとした食感がたまらないもちがつおの刺身、上品な鱚の天ぷら、浜名湖の鱧は湯引きして梅肉で、鰻は秘伝のタレを使ったかば焼きと白焼きのハーフ&ハーフでいただきます。花店経営者と『酒肴・花里』の仲間が繰り広げる美味しすぎるご当地グルメ小説。
十七歳を迎えた天堂尊は、母親から五歳の頃に“神隠し”に遭った双子の兄の存在を告げられる。夏休みの間、友人の陽太とともに伊勢にある伯母の家で過ごすことになった尊は、伊勢神宮の神々しさに触れるうちに、忘れていた兄の存在を感じ始めるー。
生まれつきの知的障がいを抱えながらも天才陶芸家と称され才能を発揮する19歳の兄・優が、美人女子大生の由利香に恋をした。家族や周囲の人の応援も得て、優は由利香のために世界で一つだけのマグカップを作ることになるが…。知的障がいを持つ兄のあまりに純粋な初恋を妹の目線から瑞々しい感性で描ききる珠玉の物語。
「私ら親子はここしか行くとこがあらへん」わけありのシニア3人が静かに暮らすシェアハウスに、ある日幼子を連れた若い母親が転がり込んできた。にわかに騒がしくなる日々のなかで、それぞれが心に抱える過去と少しずつ向き合っていくー。わけありシニアとわけあり母子、心温まるシェアハウス物語。
母を亡くし、16年間虐げられてきた侯爵令嬢のミレルダ。国で唯一の聖女の判定を受けるも義妹にその地位を乗っ取られ、婚約者であった王太子も奪われてしまう。「婚約破棄?好きにすればいいじゃない。私も好きにするから」-本物の聖女であるミレルダは国に見切りをつけて出ていくことを決意!すると大国のイケメン王太子に保護され、聖女の力で次々と事件を解決する大活躍をして…!?
最奥まで進んだ者を王にするという迷宮『選帝宮』で目覚めた、記憶喪失の青年ピート。彼は喋るペンダントであるハナの言葉で、自身が大魔王を倒す使命を負った勇者であると知るも、記憶喪失を理由に使命を拒否して冒険を始めてしまう。興味の赴くまま、アイテムを集めたり、助けた女の子にエッチな要求をしてみたりとやりたい放題のピート。「こんなの勇者じゃない」と嘆くハナのことは無視して、今日もピートは自由気ままに生きるのであった…。
冒険者のレイン(♂)は、ダンジョンで手に入れたレアアイテムを作動させてしまった代償として女の子の体になってしまう。自らの変貌に戸惑いながらも、とある事情でメンバーが女だけのパーティ“紅天”に加入することになる。そこで待っていたのは…女の子好きのリーダーに、男勝りの戦士、レインに冷たく当たる魔術師と曲者ぞろい。安定志向の強いレインの思惑をよそに、今日も危険なダンジョン探索へと連れ出されるのだった…。
人間の愚かさや醜さを典雅なユーモアで包み込み、怒りを笑いに昇華させるオースティン。初期の作品群、中期の『高慢と偏見』、後期の『エマ』を取りあげ、それぞれの作品における笑いの性質とその変化を明らかにする。
五番区にたどり着き、『赫灼たる猿侯』とついに一戦を交えたアリヒトたち。しかしその戦いの中で、テレジアは操られた探索者と同じ『呪詛侵蝕』を受けてしまう。侵蝕が進めば、彼女もまた猿侯に従属することになる。残された期限はアリヒトたちが五番区に滞在できる一週間。しかも、テレジアを救うためにはただ猿侯を倒すのではなく、『呪詛』を解除してからでなくてはならない。アリヒトはその方法を調べる中で『呪詛喰らい』の力を知りー?
人類圏の東端に位置する“灰の街”。灰が降り続けるこの街で、国家警察特務捜査官・トシヤ(30)は『ヒミコ』という薬物が関わる事件を追っていた。相棒は通称“ネコ”と呼ばれる幼女・ミィ。凸凹コンビが殺人事件調査や潜入捜査をこなしつつー街のちょっと変わったSFグルメを堪能する!?「へいお待ち。電極培養豚の豚骨ラーメンだ」最終戦争後『食の復古主義』が興る未来都市で、殺伐とした事件に挑む年の差バディの、美味しくてすこし哀しい物語。
好きにアイテム製作をするために、家を手に入れようと思い立ったイリヤ。コツコツお金を貯めよう! と奮起して、ポーション作りのついでに悪徳商人を返り討ちにし、ドラゴンが出たと聞けば素材採取に出かけ……!?