2021年4月22日発売
【2022年 本屋大賞ノミネート】 【第165回直木賞候補作】 【第9回静岡書店大賞受賞】 【キノベス!2022 第4位】 最終話に仕掛けられた一話目への伏線。 気付いた瞬間、心を揺さぶる、鳥肌モノの衝撃が襲う!! 読売新聞、日経新聞、本の雑誌……各紙書評で絶賛の声続々! 「驚きの完成度!」--瀧井朝世さん(『スモールワールズ』公式HP書評より) 「BL界の鬼才恐るべし」--北上次郎さん(日本経済新聞 5月6日書評より) 夫婦円満を装う主婦と、家庭に恵まれない少年。「秘密」を抱えて出戻ってきた姉とふたたび暮らす高校生の弟。初孫の誕生に喜ぶ祖母と娘家族。人知れず手紙を交わしつづける男と女。向き合うことができなかった父と子。大切なことを言えないまま別れてしまった先輩と後輩。誰かの悲しみに寄り添いながら、愛おしい喜怒哀楽を描き尽くす連作集。
殺人未遂事件の容疑者にされた青年・隠館厄介。いつも通り忘却探偵・掟上今日子に事件解決を依頼するも、その最中、今日子さんが狙撃されてしまう。一命を取り留めた彼女だったが、最速の推理力を喪失する。犯人を追う厄介の前に現れたのは、忘却探偵の過去を知る人物だったー。忘却探偵の秘密が明かされる、必読のエピソード解禁!
夏休み、お金がなくて暇を持て余している大学生達に風変わりなアルバイトが持ちかけられた。スポンサーは売れっ子心理コンサルタント。彼は「純粋な悪」を研究課題にしており、アルバイトは実験の協力だという。集まった大学生達のスマホには、自分達とはなんの関わりもなく幸せに暮らしている家族を破滅させるスイッチのアプリがインストールされる。スイッチ押しても押さなくても1ヵ月後に100万円が手に入り、押すメリットはない。「誰も押すわけがない」皆がそう思っていた。しかし……。
天正六年(一五七八年)、東播磨。織田信長配下の羽柴筑前守秀吉は、「鷹乃城」と呼ばれる青野城を囲み、軍師竹中半兵衛、黒田官兵衛と策を練っている。一方、江戸・南町奉行所同心・瀬波新九郎は、殺しの下手人を追っているさなかに崖から転落、意識を失う。目覚めたところは、戦国の暗雲たちこめる見知らぬ城下ー。ひょんなことから秀吉勢に囲まれる青野城に密書を届けることとなった新九郎は、城内に留め置かれることに。すると、本丸の一室にいた重臣の一人が殺害されているのが見つかった。下手人捜しを頼まれた新九郎が探索の果てにたどり着いた真相とは…。驚愕のラストが待つ!江戸情緒に戦国の密室ミステリー、そして、淡いロマンスまで盛り込まれた贅沢な一冊!
ある出来事により、刑事課から交番勤務へ異動となった巡査部長の貴衣子。栗谷交番でペアを組むのは、警察官になったばかりの里志だ。里志は自分の歓迎会を欠席したり、「上司の口が臭い」と配置換えを願い出たりと、つかみどころがない。ある日ふたりは、別荘地の保養所で、東南アジア系男性の他殺体を見つける。被害者は近所の通称アジアンアパートに住む技能実習生で、犯人も動機も不明。そんな中、里志が不穏な動きを見せる。貴衣子は里志が事件に関わっているのではと疑念を抱き…。
北海道で独り暮らしをするおもちさん、83歳。夫は施設に入り、娘は東京から日に二度電話をくれる。実は持病が悪化して、家族がおもちさんの生活のすべてを決めていくことに。不安と苛立ちと寂しさと、懐かしさと後悔とほんのちょっとの幸せと、揺れては消える老境の心情が、静かに切々と迫ってくる。ベストセラー『平場の月』の著者が、ひとりの老女の内面に寄り添う、新たな代表作。
日本を訪れたドイツ軍人とある“侍”が熾烈な戦いを繰りひろげる「一九三九年の帝国ホテル」。北の大地で使命を負った女性たちの矜持と運命を活写する「レディ・フォックス」。芸に打ちこむあまり加速度的に心身を崩壊させる漫才師を描いた「終末芸人」など、洋の東西を問わず、昭和、平成、令和の百年をつらぬいて生き抜くひとびと=「われら」の人生模様を、『宝島』で直木賞を受賞した真藤順丈が凄まじい熱量で描きだす作品集。
〈ボウエン・コレクション2〉全3巻 第1回配本! 20世紀英国文壇を代表する作家エリザベス・ボウエン。 1920-30年代という戦間期の不安と焦燥を背景に、 ボウエンならではの気配と示唆に浮かぶ男女の機微ーー。 本邦初訳の初期小説三冊を集成した待望のコレクション。 イタリア・リヴィエラ海岸のホテルはホリデー客でにぎわっている。医者になりたいシドニー・ウォレンは受験の疲れを癒しに、束の間ここにきている。彼女は倦怠感を漂わせる未亡人ミセス・カーに心惹かれる。ミセス・カーには20歳の息子ロナルドがいて、ドイツからここにやってくるという。ミルトン牧師、ロレンス三姉妹、第一次大戦の後遺症に悩む青年アメリングをまじえ恋がもちあがり……。イギリスの風習喜劇の雰囲気と1920年代戦間期の不安な心理を、地中海の陽光まぶしいひと夏に鮮やかに浮かび上がらせたボウエンの手腕、長篇デビュー作。 豊崎由美氏推薦! 「ボウエンは会話だけでなく、描写によってそこで何が起きているのかを示す。登場人物の行動、いる場所、そばにある物、聞こえている音、すべての描写を総動員させて、ボウエンは登場人物の発する言葉の背後にある気持ちや意味、それが発せられた理由となる過去を匂わせる。 だから、一行たりとも読み飛ばせない。丁寧に文章を追っていく読者だけが、ボウエンがそこここに仕掛けている小説の技巧に舌を巻き、物語全体の絵柄が浮かび上がってきた時の喜びを得ることができるのだ」(パンフレットより抜粋) 太田良子(訳者) 「エリザベス・ボウエンは1899年にアイルランドのダブリンで生まれ、1973年にイングランドのロンドンで死去した。文字どおり20世紀と共に生きたボウエンは、二つの祖国を持ち、300年間イングランドの植民地だったアイルランドの宿命的な独立戦争、世界を荒廃させた二度の世界大戦に関わって創作活動の根底に置き、長篇小説10篇と短篇小説約100篇を書いた。今回の〈ボウエン・コレクション2〉に入った『ホテル』は彼女の初めての長編小説で、先行の〈ボウエン・コレクション〉の『エヴァ・トラウト』はボウエンが完成させた最後の小説であり、ボウエンの小説全10冊が国内ですべて刊行されることになった。ボウエンの作品は21世紀の今、文学や歴史や世界観の新しい潮流を検証する意味であらためて評価が進む一方、ボウエンは緑の国アイルランドのホスピタリティと、美しい庭園を持つ荘園屋敷を受け継ぐイングランドの文化を愛して作品に籠め、移り替わる自然を、春夏秋冬、忘れられない美しいシーンにして数多く描き出している。白いモスリンのドレスの少女、断髪にして短いスカートでロンドンを闊歩する女は、それぞれに時代を表わし、ヒロインが運転するダイムラーやジャガーは、時代の先端を行く高級車である。小説や短篇のヒロインを通してフィクションが見せる広い世界の可能性を切り開いた点から見ても、エリザベス・ボウエンは他の追随を許さぬ作家である」(パンフレットより)
海と山に囲まれた餅湯温泉。団体旅行客で賑わっていたかつての面影はとうにない。のどかでさびれた町に暮らす高校2年生の怜は、複雑な家庭の事情、迫りくる進路選択、自由奔放な友人たちに振りまわされ、悩み多き日々を送っている。そんななか、餅湯博物館から縄文式土器が盗まれたとのニュースが…。モヤモヤした日常を吹き飛ばす青春群像小説!
「私、あなたの娘です」 四十歳独身の大守良行の家に、突然中学生の少女・都築日向実が訪ねてきた。 良行は十五年前、かつての恋人・都築街子に頼まれ、精子提供をした事を思い出す。 交通事故でこの世を去った街子の遺言によって、良行は日向実と暮らすことになるが……。 親子とは何か、家族とは何かを問いかける長編家族小説。
幽霊の世話をする人々、女性だけの村、姿が透明になる犬……。 とても不思議なのに、どこか懐かしい光景。 日本のどこかに、こんな場所がまだあるのかも、と思えてくる。 豊かな発想から物語を紡ぎ出す、新しい語り部の誕生だ! 松永美穂(翻訳家/早稲田大教授) 「ことばと」掲載の表題作を含む4編を収録。 <あらすじ> 大学の友人サクマの帰省に同行したぼくは、そこで幽霊と暮らす奇妙な村人たちと出会う…「幽霊番」。女性だけの村で育った卯月と、「騙されちゃ、だめよ」と云い、突然いなくなってしまったハルカ。サナさんの秘密の儀式を偶然目撃した卯月は、自分の知らない世界があることに気づいてしまう…「レースの村」。夫との関係はいつも少しずれていると感じる杏子はバイト先の店長とのふとしたはずみで起こった出来事により…「空まわりの観覧車」。透明になった犬の夢二、病気がちで寝たきりの姉綾子とともに過ごす日々はあの雪の日のように儚い…「透明になった犬の話」。綻びのできたレースのように繊細で不可思議な世界を紡ぎだす四編の物語。 幽霊番 レースの村 空まわりの観覧車 透明になった犬の話