2021年7月9日発売
母の再婚を知ってスーザンの胸に湧いた喜びは、相手がスローンの父親とわかるなり、ショックに代わった。シドニー随一の富豪スローンとは結婚の約束をしていたが、名家の彼に私は釣り合わないと、別れを告げたばかりだった。だが何も知らない母から、二人で式に来て、と頼まれてしまう。スローンは言った。僕らは親の幸せに水を差すべきじゃない。結婚式が終わるまでは、恋人同士のふりをしていよう、と。彼の目が意味ありげに光り、その意味を知る体が反射的に震えた。何を企んでいるの…?私たちの関係は、もう終わったのに。
幼い頃に父を、学校を卒業してまもなく母を亡くしたシルヴィ。今、ヴィラを改装したホテルでウエディングプランナーの仕事を得て、ようやく安らげる居場所を見つけたような気分を味わっていた。特に、経営者であるイタリア富豪エンツォのパリ出張に同行し、彼に純潔を捧げた夜は夢のようだった。密かな想いが実ったのだから。だが2週間後、シルヴィはエンツォの態度に戸惑っていた。彼はよそよそしいだけでなく、ホテルを閉める意向を示したのだ!家も仕事も恋も失う三重苦にさらされたシルヴィに、さらなる試練がー落馬事故で病院へ担ぎ込まれ、立ち会ったエンツォとともに、医師から驚きの一言を告げられた。「赤ちゃんの様子を診てみましょう」。
とびきりハンサムでセクシーな社長ガイの秘書を務めるサマンサ。胸に秘めたボスへの切ない想いがいつか報われる日を夢見てきたが、彼はサマンサとは正反対な女性との戯れの恋にうつつを抜かしてばかり。見向きもされないことに耐えきれず、ついに彼女は退職を願い出た。その数日後、父親の入院騒ぎに動揺したガイに、妙なことを命じられる。「結婚する気はないが、僕の子供を産んでくれる女性を探してほしい」サマンサは満面にガイへの愛をにじませたが、彼が気づく様子はない。もう!でも、もしこのチャンスを逃したら、一生後悔するわ!彼は愛や結婚を申し出ているのではないけれど、それでも…。勇気を振り絞ると、サマンサは言った。「だったら…私ではどう?」
家族旅行の帰りに通ったオランダで、セーラの継父の運転する車が排水溝に落ち、両親が入院することに。ほぼ無傷だが泥だらけのみっともない姿で待合室にいたセーラは、担当医のリトリクを見て息をのんだ。なんてハンサムな人…。すると驚くことに、物憂げな瞳の彼が言った。「お金も服もないなら、僕の家にいらっしゃい」(『プロポーズは慎重に』)。「僕と婚約してほしい」長年の親友で医師のマークから突然頼まれ、ホリーの心臓はどきんとした。同僚の女性に迫られて困っているようだけれど、婚約者の“ふり”なんてできるわけがない。これまで知らず知らず心の奥に閉じ込めてきたマークへの想いが頭をもたげてしまうから。しかし、ノーとも言えず、引き受けることに…(『永遠の一秒』)。ある嵐の晩、ジャッキーの家に、別居中の夫で医師のネイトが現れた。今や実業家の顔も持つ億万長者だが、車の故障で大雨の中を歩いてきたため高熱を出していた。やむなく家に入れ、看病することにしたジャッキーは、彼の美しい寝顔に見とれた。しかし、目を覚ました彼が要求したのは、ビジネスのための期間限定の復縁でー(『億万長者の忘れもの』)。
ロンドンの病院で主任看護師を務めるマギーは、恋に奥手な24歳。あるとき、オランダから著名な専門医パウルが講演に訪れた。長身で鷲のような風格漂う30代半ばの彼に、看護師たちは色めき立ち、遅れて講堂に入ったマギーもまた、壇上の彼と目が合い、強く惹かれる。講演のあと、主任室に戻ったマギーを追うように現れたパウルに、「僕のことを覚えておいてほしい」と言われ、唇を奪われた。それからというもの、マギーは気づけばパウルのことを考えていたが、すでに帰国したであろう彼とどうなるわけもなく…。そんなとき、マギーが非番の日に書かれた看護ノートを目にし、驚いた。なんと、パウルの母親が病に倒れ、この病院に運び込まれたというのだ!
その男は、約束の12時を過ぎてから、ジュリアの前に悠然と現れた。彼女の疎遠の父が遺言を託した相手ーイタリア大富豪のランド。父は愛人の存在を公言して母を苦しめ、ジュリアが赤ん坊のとき離婚した。どれだけ貧しかろうと、父の遺産など受け取りたくはなかったけれど、乳がんを患った母のために、なんとしても治療費を工面したい…。最愛の母を助けたい一心で、ランドに連絡をとり、こうして会いに来たが、彼の圧倒的な男らしさと人目を引く顔立ちに、彼女は思わず息をのんだ。しかし、一方のランドは瞳に軽蔑の色を浮かべ、ジュリアに言い放った。「きみは亡くなった父親のことさえ気にしない女だ」彼は私を、見舞いにも来ずに遺産は受け取る悪女と思っているんだわ!
元E級冒険者のエクス19歳。才能の全てを“効果時間延長”に特化した異才の魔導師は、5年間、年中無休で奴隷のように働く毎日を過ごしてきた。ついに過労で倒れてしまい、玄関先で目を覚ましたある日、ようやく自分の心と向き合う。「こんな仕事、辞めてやるっ!」冒険者を辞めたエクスは、もう働かないことを宣言。これまでエクスの効果時間が異常に長い初級魔法の恩恵を享受してきた連中は、彼の代わりなど誰もいないことに気づいて慌てふためくが、もう遅い。脅してきても、すがりついてきても、ニッコリ笑って全部お断り。「僕はもう、ぜーったい働きません!」働かない宣言わした初級魔導師の新しい生活が、今はじまる!
学生枠による護衛依頼を無事に完了し、港町で花祭りを楽しんだ冒険者パーティー「希望の光」の一行は、天気に恵まれたこともあり、海岸で遊ぶことに。 少し離れた岩場で、海人のナギに連絡をとると、以前よりも話すことが上手になっていた。 ナギにラキとタクトを紹介したところ、海人の里に招待されるユータたち。 そこで目にしたものはーー 海人の里を冒険する、ユータのもふもふ異世界ファンタジー、第八弾!
「アリス貴様とは婚約破棄する!」そんな声と共に前世の記憶を思い出した騎士団長の息子エクス。夜会の会場にて今まさに王子の婚約破棄が行われているその状況で、彼は前世の乙女ゲームにて全く同じ展開があったことを思い出す。あきらかに冤罪なのに、悪役令嬢を責める王子と他の攻略対象。そして、こっそりと不敵に微笑むヒロインを見たとき、彼は決意した。大好きな悪役令嬢を救って自分のものにしようと。これは乙女ゲームの攻略対象の一人、騎士団長の息子に転生した主人公が悪役令嬢を溺愛していく甘いだけの物語。