小説むすび | 2021年9月2日発売

2021年9月2日発売

僕は婚約破棄なんてしませんからね3僕は婚約破棄なんてしませんからね3

僕こと、ラステール王国第一王子、シン・ミッドランドはお嫁さんのセレアを守るために日夜襲い掛かるゲームのイベントってやつと闘っています。「シン君は、やっぱり、私の王子様です!」そう言いながら追いかけてくるゲームのヒロイン、リンスさんは、相変わらずだけれど、ピカールたち攻略対象組のメンバーともだんだん親しくなってきました。そういえば、ゲームのマスコットキャラクターだという黒猫が現れたり、弟のレンが入学してきたりもありましたね…。だけどそんな中、僕らは目いっぱい、学園生活を満喫しました!そしてついに卒業パーティー、断罪イベントの日!僕は緊張して震えるセレアの手をぎゅっと握りました。そんな時ー「この場で、継承権を放棄すると宣言してもらおう」僕たちを断罪したのは、えええぇ、君ですか!?でも、なんの問題もないよね!僕たちには今まで築き上げてきた「絆」が、こんなにもたくさんあるんだから!十歳から始まる王子と悪役令嬢の物語、堂々完結!!

女王の日と雨鬼の国女王の日と雨鬼の国

出版社

創土社

発売日

2021年9月2日 発売

雨の中には鬼が棲んでいる。古代の賢者が書き遺した言葉は正しかった。 〈区外〉のあちこちで、小学生の子供たちが行方不明になったのは、全て雨降りしきる日であった。 そんな冬の午後、銀座通りを歩いていた通行人の前に、近くのビルから女が落ちて来た。 即死したはずの女は、手をかざした通行人に、上の子供を助けてと言い遺してこと切れる。 怯える少年の前に、雨の中から黒い影が近づき、連れ去ろうとしたとき、通行人が立ち塞がる。 六階分の壁を蛇のように這い登って来たのだ。 「うぬらは“雨鬼”か? ならば忘れはすまい、女王ミスティの名を」 奇怪なる死闘の果てに“雨鬼”たちは逃亡し、ミスティは姿を消した。 敵の正体はわかっていた。彼女の生きていた太古ーー“雨鬼”たちは人間を誘拐し、 気力を失った廃人にして帰還させたのだ。すべての子供たちを。 子供が明日への希望を失った世界は滅びるしかない。それこそが異世界の魔物たちの目的であった。 少年を庇ったミスティも〈区長〉との約束によってトラブルを起こせぬ“安らぎの日々”が続き、苦戦が連続する。 彼女に味方する〈区民〉は老妖術使いと彼が生み出した泥人間(ゴーレム)、そしてドクター・メフィストのみ。 だが、やがて、ミスティがその力を存分にふるえるただ一日ーー“女王の日”がやって来た!

ユドルフォ城の怪奇 上ユドルフォ城の怪奇 上

愛する両親を喪い、悲しみに暮れる乙女エミリーは、叔母の夫である尊大な男モントーニの手に落ちて、イタリア山中の不気味な古城に幽閉されてしまうーー刊行から二二七年を経て、今なお世界中で読み継がれるゴシック小説の源流。イギリス文学史上に不朽の名作として屹立する異形の超大作、待望の本邦初訳!「あれだ」何時間ぶりかで口を開いたモントーニが言った。「あれがユドルフォ城だ」 エミリーはモントーニが領有するとされている城を見つめ、暗い畏怖の念をおぼえた。というのも、今は夕陽に照らし出されてはいるが、その雄麗なゴシック様式や崩れかけた鈍色の石の城壁は何とも陰鬱で荘厳な雰囲気を醸し出していたからだ。彼女が見つめていると、城壁に当たっていた陽が薄れてゆき、暗い紫の色合いが残されることになった。山肌に薄靄が立ち昇ってゆくと、その色合いはさらに濃さを増して広がっていったが、一方、上部の銃眼胸壁は依然として夕陽に輝いていた。やがてその銃眼からも光は薄れてゆき、城全体が夕暮れ時の厳かな薄闇に包まれていった。人気もなく、ひっそりと壮麗に佇む城はこの場一帯の君主の如き様相を漂わせ、その孤独な支配に闖入せんとする者を威嚇しているかのごとき趣であった。夕闇が深まってゆくにつれその姿形も朧になり、不気味さを増していった。(本書より)

ユドルフォ城の怪奇 下ユドルフォ城の怪奇 下

悪漢の魔の手を逃れ、故国フランスに辿り着いたエミリーは、かつて結婚を誓ったヴァランクールと痛切な再会を果たす。彼が犯した罪とはなにかーー刊行から二二七年を経て、今なお世界中で読み継がれるゴシック小説の源流。イギリス文学史上に不朽の名作として屹立する異形の超大作、待望の本邦初訳! どれほど彼女がモントーニの悪辣さに苦しめられたかを聞くにつれ、憐れみと憤りの感情が交互に彼の心を支配することになった。彼女はモントーニの行為を語るにあたり、その罪深さを誇張するというよりは、むしろ控えめに話したのであったが、それでも、それを聴いていたヴァランクールは、一度ならず椅子から立ち上がり、その場から歩み去っていった。それは、怒りというよりは、自責の念に駆られてのことのようであった。「わたしの苦しみはもう終わったのです」彼女は言った。「だって、モントーニの暴虐から逃れることができたのですから。そして貴方も元気そうだしーーどうぞ悲しそうなお顔はなさらないでくださいまし」 ヴァランクールは前にもまして動揺した。「エミリー、僕は貴女にふさわしい人間ではない」彼は言った。「ふさわしい人間ではないのです……」(本書より)

骨を引き上げろ骨を引き上げろ

全米図書賞受賞作! 子を宿した15 歳の少女エシュと、南部の過酷な社会環境に立ち向かうその家族たち、仲間たち。そして彼らの運命を一変させる、あの巨大ハリケーンの襲来。フォークナーの再来との呼び声も高い、現代アメリカ文学最重要の作家による神話のごとき傑作。 「登場人物の内なるパッションとメキシコ湾で刻々と勢力を増す自然の脅威が絡まり合い、廃品と鶏に囲まれて暮らす貧しき人々のまっすぐな生き様の中に、古典悲劇にも通じる愛と執着と絶望がいっさいの気取りを排した形で浮かび上がる」--「ワシントン・ポスト」 「カトリーナによりもたらされた破壊と、すべてを洗い流された海辺の街の原初の風景について、本書は水没したニューオーリンズの映像よりもはるかに多くを教えてくれる」--「ニューヨーカー」 「ウォードの堂々たる語りには、フォークナーを想起させるものがある。今日的な若者言葉と神話的な呪文のリズムの間を自由に行き来し、パッションの発露を怖れない。苛烈な物語のほぼ全編に、パッションが満ちあふれている」--「パリ・レビュー」 一日目 裸電球の下での出産 二日目 隠された卵 三日目 土の中の病原菌 四日目 盗む価値 五日目 骨を引き上げろ 六日目 確かな手 七日目 闘う犬と闘う男たち 八日目 思い知らせる 九日目 ハリケーン日食 十日目 無限の目の中で 十一日目 カトリーナ 十二日目 生きている  謝辞  カテゴリー5のハリケーンを生き延びて  ジェスミン・ウォードとの質疑応答  訳者あとがき

オリオンと林檎オリオンと林檎

2019年6月にスタートした韓国文学の源流シリーズは今回、短編選をスタートします。朝鮮文学時代から今の韓国現代文学に続く、古典的作品から現代まで、その時代を代表する短編の名作をセレクトし、韓国文学の源流を俯瞰できる10巻です。現代韓国文学に親しみ始めた読者が、遡って古い時代の文学も読めるようにしたいと考えています。 短編10巻、各巻は6〜10編の各時代の主要作品を網羅します。 各巻には小説が書かれた時代がわかるような解説とその時代の地図、簡単な文学史年表が入ります。よりいっそう、韓国文学に親しんでいただければ幸いです。 日本植民地時代の1930年代韓国は、プロレタリア文学とモダニズム文学との相克の時代。揺れ動く時代を背景に、若い男女の交友関係を軸に、社会運動にのめり込んでゆかざるを得ない暗い時代が描かれる。実りのない恋愛を通して強く自立した生き方を模索する愛と葛藤の日々が、読むものの心に深く響いてくる。 2021年8月上旬全国書店にて発売。

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