2021年発売
この理不尽な日常を生き抜けるのか?強烈な自殺衝動による突然死が蔓延する2033年の日本。原因である「タナトス」は、なぜか日本にだけやってくる。そんな中、生きる意味と実感を求めて、状況に抗う18歳の高校生チャンキに見えてきたものは?コロナ禍を経験した私たちに必読の書!気鋭の映像作家による長編小説。新潮社版に大幅加筆!
『オリヴァー·トゥイスト』や『二都物語』など,今なお世界中の多くの人に親しまれ,映画・演劇・ミュージカルとしても知られる作品群を生み出した英国ヴィクトリア朝時代の国民的作家チャールズ・ディケンズの個人訳による本邦初の全集。「書簡集1 1820-39年」に続く第2回配本。
どんなに大切な時間も、やがて忘れ去られてしまうーー この小説の語り手はその運命に本気で抗おうとする。「惑星X」の存在を信じ続けた天文学者と同じ、狂気と紙一重の切実さで。 モザイクのように繫がる過去と未来、現実と虚構が、日本を越え、アメリカも越えて、遠く太陽系の果てに新しい地平をつくる。 ーー滝口悠生(小説家) 人の記憶で引き起こされる哀しみとは、どの既婚男性にも永年のネルーダの少女がいて、その娘は妻ではなく、愛人でもないということ。でも、絶えず男の現実の神経に働きかける。 青春に舞い戻ることはできないが、記憶ならば可能だ。でも、記憶の中のネルーダの少女は冥王星のように遠くにある。既婚男性の背後にはネルーダの少女がいて、もちろんネルーダの背後にもネルーダの少年が永遠にいる。わたしたちは皆、失ったネルーダを捜すのだ… ーー甘耀明(小説家) 物語はわたしを奇妙な空間の中で散歩させる。その多くは日常生活の中でのシーンだ。コンビニや大通り、部屋、病院で、ライトブルーの光が、町中の無表情なビルの小窓に差している。でも、はっきりとしているのは、読んでいる最中に、零下二百度の孤独がわたしを浸食、太陽系の遠く外れにある緑色の冥王星にいるような気分にさせることーーわたしはそこに行ったことがないけれども。 ーー伊格言(小説家) 文学キャンプ出身の「七年級」作家・黄崇凱、日本で初めての単行本。台湾における尊厳死問題を示唆した長編デビュー作。 病院で母を介護する青年と、妻や娘と暮らす小説家志望の高校教師。青年の夢に出てくる男の姿は高校教師である「俺」の日常とまったく同じで、高校教師が小説で描き出す青年は現実の「俺」と少しも変わらない。二人の「俺」は現実の日常や夢のなか、小説のなかで、母の病室と実家とを行き来し、ネルーダの少女とデートする……。この現実は夢なのか、虚構なのか。今では最愛の母は遠く離れ、太陽系から外された冥王星よりもさらに遠いところをさまよっている。
上野発の夜行列車・寝台特急「北斗星」がつなぐ8つの短編小説。 青く美しいこの列車は、僕をもう一つの世界へ運んでくれる。 ・週末のサラリーマン ・美唄市の夫婦 ・上京する新社会人 ・名古屋の新婚さん ・おばさんの集団 ・少年と父 ・早期退職をしたおじさん ・酪農家の跡取り
第67回江戸川乱歩賞受賞作! 「事件が面白い」「登場人物が魅力的」「警察の描写がリアル」と選考委員が称賛! 博士号を持ちながら30歳で北海道警察の警察官となった沢村依理子。 ある日、5年前に未解決となっていた誘拐事件の被害者、島崎陽菜の遺体が発見される。 犯人と思われた男はすでに死亡……まさか共犯者が……? 捜査本部が設置されるも、再び未解決のまま解散。 しばらくのち、5年前の誘拐事件の捜査資料が漏洩する。なんと沢村は漏洩犯としての疑いをかけられることに。 果たして沢村の運命は、そして一連の事件の真相とは。 組織に翻弄されながらも正義を追い求める沢村。 警察官として、ひとりの女性として葛藤し成長していくーー。
泥棒一族、警察家族、探偵一家、全ファミリー集合! 今回、Lの一族がいただくのは、あなたの心です。 Lの一族の娘・三雲華の夫・和馬はホテルのバーで張り込み中、突如意識を失った。 目を覚ますとスイートルームにいて、浴室には女の死体。 そのころ華の元に、「娘を返してほしければ10億円を用意しろ」との脅迫電話がはいる。 二つの事件は交錯しながら、やがてLの一族の秘密が明らかにーー。 これで本当におしまい? 映画とは異なるもう一つの「ルパンの娘」シリーズ最高傑作! 家族を決めるのは、血ではなく愛。
『このミステリーがすごい!』大賞 大賞受賞作&シリーズ累計48万部突破、『元彼の遺言状』続編! 彼女が転職するたび、その企業は必ず倒産するーー 婚活に励むぶりっ子弁護士・美馬玉子と、高飛車な弁護士・剣持麗子がタッグを組み、謎の連続殺「法人」事件に挑む! (あらすじ) 山田川村・津々井法律事務所に勤める美馬玉子。事務所の一年先輩である剣持麗子に苦手意識をもちながらも、 ボス弁護士・津々井の差配で麗子とコンビを組むことになってしまう。 二人は、「会社を倒産に導く女」と内部通報されたゴーラム商会経理部・近藤まりあの身辺調査を行なうことになった。 ブランド品に身を包み、身の丈にあわない生活をSNSに投稿している近藤は、会社の金を横領しているのではないか? しかしその手口とは? ところが調査を進める中、ゴーラム商会のリストラ勧告で使われてきた「首切り部屋」で、本当に死体を発見することになった彼女たちは、予想外の事件に巻き込まれて……。
「もっと完璧な大人になると思ってた」 韓国で共感相次ぐ、不完璧・肯定本! 「もっと完璧な大人になると思ってた」 「このままで大丈夫?」 今の自分に不安な人に贈る、 心が前向きになる等身大の 大人のリアル。 自分なりに、前向きに、 時々後ろを向いて生きていこう。 ☆「私だけじゃなかった!」「勇気をもらった!」 共感レビュー、続出中! ☆毎日にある「でこぼこ」をとらえた言葉とイラストに、 みんな完璧じゃない、不完璧でOKと 心が軽くなる人が相次いでいます。 【本書より】 30歳だからって 突然大人になるわけじゃなかったーー。 30歳になって、前より笑うことが 減ったような気がするけど、 まったく笑わないってわけじゃない。 テレビドラマでも観ながら、 この世で一番楽な姿勢で ビールを一口飲めば、それ以上の幸せはない。 見方によっては、30歳には30歳なりの魅力があると思う。 PART1 30歳の仕事 私の血管はカフェインであふれている PART2 30歳の日常 数字が変わったからって、変わるものはなにもない PART3 30歳の恋愛 そろそろ上手になってもいいのに PART4 30歳の関係 慣れようとしてるところだけど
象は、大勢に拍手され、見物され、あっという間に忘れられるんです。 それが人生というものです。 ノーベル賞作家サラマーゴが最晩年に遺した、史実に基づく愛と皮肉なユーモアに満ちた作品。 1551年、ポルトガル国王はオーストリア大公の婚儀への祝いとして象を贈ることを決める。象遣いのスブッロは、重大な任務を受け象のソロモンの肩に乗ってリスボンを出発する。 嵐の地中海を渡り、冬のアルプスを越え、行く先々で出会う人々に驚きを与えながら、彼らはウィーンまでひたすら歩く。 時おり作家自身も顔をのぞかせて語られる、波乱万丈で壮大な旅。 「ささやかで不条理な奇跡の連続、諦念と温かさに満ちた深い知慮が引き起こす小さな笑い」 (アーシュラ・K・ル=グウィン) 「サラマーゴが、その人生の終わりに近くで書いた、愛嬌たっぷりの作品。『象の旅』は皮肉たっぷりで共感を豊かに誘う語りの中に、人間の本質についてのウィットに富んだ思索と、人間の尊厳を侮辱する権力者への揶揄を定期的に挟み込んでくる」(ロサンゼルス・タイムズ) 「サラマーゴは(……)この奇妙ながらも読み進めずにはいられない物語を紡いだ。サラマーゴがシュールで魅力的な散文の巨匠としてこれからも人々の記憶にのこるのはなぜか、この物語が完ぺきな例である」(GQ)
平和で穏やかな街に事件が起きた。小学四年生女児が殺され、川に捨てられる。捜査が難航する中、いきなり犯人が自首してくる。自首してきたのは近所に住む中学二年生の少年だった。19歳で執筆した衝撃の長編処女作!
『新・三好長慶伝』の続編。戦国期の阿波に、こんなすごい武将がいた!織田信長を最も怖れさせた知将、篠原長房。その鮮烈一途、波瀾の生涯を描いた感動長編。三好長慶シリーズ第二弾!
貧困と虐待の連鎖ーー。母親という牢獄から脱け出した少年は、女たちへの憎悪を加速させた。ジャンルを超えて文芸界をリードする著者の新たな傑作予定調和を打ち砕く圧倒的リアリズム!小学校にも通わせてもらえず、日々の食事もままならない生活を送る優真。母親の亜紀は刹那的な欲望しか満たそうとせず、同棲相手の男に媚びるばかりだ。そんな最悪な環境のなか、優真が虐待を受けているのではないかと手を差し伸べるコンビニ店主が現れるーー。ネグレクトによって家族からの愛を受けぬまま思春期を迎えた少年の魂は、どこへ向かうのか。その乾いた心の在りようを物語に昇華させた傑作長編小説。
編集者・月子は担当の恋愛小説家・夢宮宇多との恋と仕事に悩んでいた。そんな折、恋愛小説のベストセラー作家・星寛人が自宅マンションの屋上で死体となって発見される。しかも、死亡推定時刻に屋上は施錠されているという密室状態で、真夏であるにもかかわらず死因は凍死だという。犯人はどうやって星を殺害したのか? ネットでは「犯人は雪の女王」との噂が囁かれる一方で、SNSには彼が期せずして「最高傑作」と言い残した新作短編の一部が連投される謎の現象も発生する。星の内縁の妻・長崎愛璃と月子の友人・浜岡有希が意味深な会話をしている現場を目撃し、彼女らが共犯者である可能性を疑う月子に、夢宮からメールが届く。〈雪の女王の正体はわかったかな?〉--殺人事件の犯人は誰なのか? 「最高傑作」とされる短編の本当の作者は誰なのか?「アナと雪の女王」のベースとなったアンデルセンの「雪の女王」の読み解きから、夢宮は真の犯人を突き止めていく。
妻の依頼は、浮気調査だった。夫は、数多くのヒットソングを生み出した作詞家。華やかな業界だが、彼自身は人づき合いをしない。そのため彼に関する情報は少なかった。豪邸に妻と息子と暮らし、敷地内には実姉の家もあった。苦労の多かった子供時代、生活を支えた姉を大切にしていて、周辺では「姉が恋人」と噂されていた。探偵による監視が始まった。浮気の兆候はない。だが妻は、調査の続行を希望。そして監視下に置かれた屋敷で、死体が発見される。
国家試験に合格し、視能訓練士の資格を手にしたにもかかわらず、野宮恭一の就職先は決まらなかった。 後がない状態で面接を受けたのは、北見眼科医院という街の小さな眼科医院。 人の良い院長に拾われた恭一は、凄腕の視能訓練士・広瀬真織、マッチョな男性看護師・剛田剣、カメラが趣味の女性看護師・丘本真衣らと、視機能を守るために働きはじめる。 精緻な機能を持つ「目」を巡る、心温まる連作短編集。 『線は、僕を描く』で第59回メフィスト賞を受賞しデビュー。 同作でブランチBOOK大賞2019受賞、2020年本屋大賞第3位に選出された作者のデビュー後第1作。 第1話 盲目の海に浮かぶ孤島 第2話 瞳の中の月 第3話 夜の虹 第4話 面影の輝度 第5話 光への瞬目
この者は、神か、悪魔かーー。 気鋭の著者が、医療の在り方、命の意味を問う感動巨編。 大学病院で、手術支援ロボット「ミカエル」を推進する心臓外科医・西條。そこへ、ドイツ帰りの天才医師・真木が現れ、西條の目の前で「ミカエル」を用いない手術を、とてつもない速さで完遂する。 あるとき、難病の少年の治療方針をめぐって、二人は対立。 「ミカエル」を用いた最先端医療か、従来の術式による開胸手術か。 そんな中、西條を慕っていた若手医師が、自らの命を絶った。 大学病院の闇を暴こうとする記者は、「ミカエルは人を救う天使じゃない。偽物だ」と西條に迫る。 天才心臓外科医の正義と葛藤を描く。