2022年6月24日発売
錬金術師として修業中の私が森で拾ったのは記憶をなくした男の子。ちょっと甘えられつつも一緒にのんびり暮らすことに…。え!?この子に呪いがかけられてる!?呪いを解いてみたら正体は皇帝陛下!ぐいぐい迫られ困ります!?錬金術でスローライフも胸きゅん展開も。美味しいところ取りラブファンタジー。
34歳、ライターの文美子。夫との関係は冷え切り、娘はかわいいが保育園で問題行動を起こしていた。ある日、文美子はママ友から、女性がお金を出して若い男性を「狩る」という「お茶会」に誘われる。乗り気でなかった文美子だが、そこで舞台俳優の夏生と出会い、彼の誠実さに惹かれていく。夫の愛人の来訪、半グレからの脅迫、変貌していくママ友。様々な出来事が降りかかる中、ふたりの関係は引き返せないところまで来てしまい…。心揺さぶる恋愛小説。
「君は満洲という白紙の地図に、夢を書きこむ」 日本からの密偵に帯同し、通訳として満洲に渡った細川。ロシアの鉄道網拡大のために派遣された神父クラスニコフ。叔父にだまされ不毛の土地へと移住した孫悟空。地図に描かれた存在しない島を探し、海を渡った須野……。奉天の東にある〈李家鎮〉へと呼び寄せられた男たち。「燃える土」をめぐり、殺戮の半世紀を生きる。 ひとつの都市が現われ、そして消えた。 日露戦争前夜から第2次大戦までの半世紀、満洲の名もない都市で繰り広げられる知略と殺戮。日本SF界の新星が放つ、歴史×空想小説。 【著者紹介】 小川哲(おがわ・さとし) 1986年千葉県生まれ。東京大学大学院総合文化研究科博士課程退学。2015年に『ユートロニカのこちら側』で第3回ハヤカワSFコンテスト〈大賞〉を受賞しデビュー。『ゲームの王国』(2017年)が第三八回日本SF大賞、第31回山本周五郎賞を受賞。『嘘と正典』(2019年)で第162回直木三十五賞候補となる。
1961年4月12日、人類で初めて宇宙へ行ったユーリー・ガガーリン。その偉業は国を挙げて讃えられ、多くの人々に影響を与えた。着陸したヴォストーク号を発見した農家の女性。ガガーリンの大ファンの男性。フランスのジャーナリスト。最愛の妻…。強大な国家を背負い7年後に事故死した英雄と、彼に人生を変えられた人々の悲喜こもごもを描く、連作短編小説集。
パチンコ業界紙の記者・工藤武夫の元に届いた一本の電話。相手は自身を「N」と名乗り、業界を席巻する違法の台、通称「裏ロム」の告発をしたいという。しかし、待ち合わせの場に「N」は現れず、そこには、散乱したパチンコ玉の上で揺れる無惨な姿があるのみであった。
厳しく当たり縛り付ける母と同調する父、無関心な兄達。味方をしてくれる人間は誰もいなかった。自分の人生に意味を見出せず死を望んだ時、誰かの声が聞こえてきた。懸命に生きる彼女の人生が少しずつ動き始めるー。絶望の中で藻掻く青少年に贈る、精神的自立と安寧のための物語。
ダンスは壊滅的に下手、流行のドレスや装飾品には興味なし、お茶会で気のきいた会話もできないーレティは母の悩みの種だった。そんな彼女は、誰にも言えない秘密の二重生活を送っている。男性に扮し、医師として村の人々の命を日々救っていたのだ。そんなレティのもとに、診てほしい妊婦がいるという手紙が届いた。患者の兄は、レティの初恋の人アンソニー卿だった。医師を続けたいなら、淑女の私を知る彼に会うのは危険すぎる。男装を見破られたら、家族までとんでもない醜聞に巻き込んでしまう。でも、苦しむアンソニー卿の妹を見捨てるわけにはいかない。それに何より、彼に会いたい気持ちを抑えておけなくて…。
天涯孤独のケイトは名家に生まれながら困窮を極め、働きに出るよりほか、もう生きるすべはなかった。ある日、亡き母の名づけ親だという年老いた伯爵夫人が訪ねてきて、みすぼらしいケイトを見るや、孫息子ジャックの邸へ連れていった。社交界一の美貌を誇るジャックは戦傷を負い、今は隠遁生活を送っている。私が連れてこられた理由はわからない。でもここで仕事が見つかれば…。そう願ってケイトが床を磨いていると、そこにジャックが現れた。「ふざけるんじゃない!勝手に私の屋敷の床を磨くとは、何事だ!」怒りの声をあげたジャックは彼女の手をつかみ、じっと見つめた。ブラシの赤い跡がついた掌を恥じ、ケイトは思わず手を引いたがー
6年前、サマンサは王子にして外科医のハリドと恋に落ちた。突然、花嫁としてふさわしくないと、彼がサマンサを切り捨てるまでは。彼女はずっと異性関係の派手な母と、服役中の兄に苦しめられてきた。そんな育ちのわたしが、王子の配偶者としてふさわしいわけがない。しかしそのハリドから、自分の祖国で一緒に働いてくれないか、という依頼が飛びこんできて、サマンサの心は揺れた。恐れていたとおり、再会するなり彼女の目はハリドに釘づけになった。その堂々とした姿は相変わらずで、いかにも王族らしい。サマンサの胸は締めつけられた。だから、わたしは分不相応だったのだ。頭ではわかっている。でもなぜか、ときめく胸はわかってくれない…。
“ママが死んでしまってそばにいないから手術はこわいけど、手術でぼくの頭痛をなくして、パパをまた幸せにしたい”病の少年の手紙を読んで、慈善財団で働くギャビは胸がつまった。少しでも支えになりたい一心で幼い少年を訪ねると、そこは世界的な富豪一族の当主ルカ・ベレッティーニの家だった。父親のルカは不在だったが、ギャビは少年と祖母に迎えられ、病をしばし忘れられるよう、楽しい時を過ごした。ただ、この子の手紙のことはルカには秘密よと祖母に釘を刺されるーいつも不幸せそうだと子供に思われていると知れば傷つくから、と。だが翌日、少年と同じ黒髪碧眼のルカが、突然ギャビの職場に現れた!
幼いころに母を亡くした17歳のミシェルは、あと数カ月で高校を卒業するというとき、悲劇に襲われた。医師だった父が治療のかいなく病死し、意地悪で自分勝手な継母との地獄のような暮らしが始まったのだ。生きる希望を失った彼女は、走る車の前へ衝動的に身を投げ出した。そのとき、間一髪のところを救ったのは、謎めいた隣人ガブリエルーミシェルが密かに想いを寄せていた天使のように美しい男性だった。事情を知ったガブリエルは彼女の後見人となり、自宅へ呼び寄せた。やがてミシェルは募る想いを抑えきれなくなって愛を告白するが、ガブリエルに冷たく突き放される。「君はまだ子供だ」と言って。
手術を受けた母の面倒を見るため帰郷したクリスティは、主治医がドミニク・サビッジと知り、動揺した。8年前の夏、クリスティはませた友人に教えられるがまま、幼い頃から憧れていたドミニクに純潔を捧げようとした。だが残酷なまでに拒絶され、逃げるように故郷を去ったのだった。いったいどんな顔をして彼に会えばいいの…?往診の日、いたたまれずドミニクを避けようと外に出た彼女は、ちょうど降り出した雪に足をすべらせて転んでしまう。そのとき、すっと手を差しだしたのはほかならぬ、ドミニクだったーかつて胸を躍らせ心惹かれた、あの呪縛するような雰囲気そのままの。
ジェナはけっして叶うことのない片想いをしていた。親友が嫁いだミルス王国の国王のハンサムな弟、ドミトリ王子。彼は5歳も年下で、歴代の恋人は美女ばかり。そして何より、彼女は病気のため妊娠を望めないのだ。だが奇跡が起きた。突然ドミトリからディナーに誘われ、熱い誘惑に溺れて、ジェナは彼にすべてを捧げてしまう。翌朝、彼は一夜だけでは飽き足りないと、さらりと提案した。「結婚する気はないが、割りきった関係を続けないか?」切なすぎる。でも、そばにいられるなら…。ジェナは心を決めた。
ゲイレンが帰ってきた。19年ぶりに。ルーラの勤め先のリゾートホテルで行われる、親友の結婚式に出席予定だ。彼は今や大企業の経営者。親の言いなりに結婚した私には、幸せなど無縁だったー5年前、暴力的な夫を亡くして以来、ひっそりと生きてきた。ゲイレンに再び会ってしまった今、ルーラの胸には昔の彼との幸福な日々が次々よみがえってくる。折しもゲイレンは産休中の秘書の代理を探しており、なんとルーラは彼の臨時秘書となることになってー?!
家族を失い、天涯孤独となったルーシーは、両親の遺した会社が売却されそうだと知って驚いた。先導しているのは筆頭株主のロレンツォ・ツァネッリ。じつは昔、彼の弟とルーシーの兄は親友同士だったが、登山中の事故で兄だけが生き残り、彼の弟が亡くなったことを、ロレンツォは今でも恨んでいるのだ。でも、会社を守るにはロレンツォに懇願するしかない…。覚悟を決めて出向いたルーシーを嘲ると、彼は怒りもあらわにいきなりキスを奪った。いったいどういうこと?愛人になることが条件だと非情にも告げられ、彼女は凍りついた。
父を訪ねてきたニックに会ったとき、リーはひと目で恋をした。こんなすてきな人のためなら死んでもいいとさえ父に言い、17歳のリーはニックと結婚式を挙げた。だが、結婚初夜からずっと彼はリーに指一本触れようとしない。もう5年も、リーは砂を噛むような空疎な日々を送ってきた。ニックと別れる決心を固めた矢先、彼女は恐ろしい事実を知る。父がニックの家族の重大な秘密を握り、脅迫して、彼に結婚を承諾させたのだという。夫は、別れたくても私と別れるわけにはいかないのだ!