2022年8月16日発売
第二次世界大戦で最大の激闘、スターリングラード攻防戦を舞台に、物理学者一家をめぐって展開する叙事詩的歴史小説(全三部)。兵士・科学者・農民・捕虜・聖職者・革命家などの架空人物、ヒトラー、スターリン、アイヒマン、独軍・赤軍の将校などの実在人物が混ざりあい、ひとつの時代が圧倒的迫力で文学世界に再現される。戦争・収容所・密告ースターリン体制下、恐怖が社会生活を支配するとき、人間の自由や優しさや善良さとは何なのか。権力のメカニズムとそれに抗う人間のさまざまな運命を描き、ソ連時代に「最も危険」とされた本書は、後代への命がけの伝言である。グロスマン(1905-64)は独ソ戦中、従軍記者として名を馳せ、トレブリンカ絶滅収容所を取材、ホロコーストの実態を世界で最初に報道した。一方で、故郷ウクライナの町で起きた独軍占領下のユダヤ人大虐殺により母を失う。次第にナチとソ連の全体主義体制の本質的類似に気づき、本書を執筆。刊行をめざしたところ、原稿はKGBによってタイプライターのリボンまで没収となる。著者の死後16年、友人が秘匿していた原稿の写しが国外に出、出版された。以来、20世紀の証言、ロシア文学の傑作として欧米各国、日本、中国などで版を重ねる。
ウクライナの町から狩り出され、移送列車でユダヤ人絶滅収容所に到着した人々をガス室が待っている。生存者グループに選別されて列から離れる夫に結婚指輪とパンを手渡す妻。移送列車で出会った少年の母親がわりをするうちに、生き残る可能性を捨てて少年とガス室に向かった女性外科医ー。赤軍記者として解放直後のトレブリンカ収容所を取材したグロスマンは、ナチ占領下のホロコーストの実態を最も知るソヴィエトの人間だった。国家と民族の栄光、一方は革命、他方は第三帝国の名のもとに、スターリニズムとナチズムが鏡像関係にあることを、グロスマンは見抜いていた。イデオロギーの力が死や拷問や収容所と結びつくとき、人々はモラルを失った。ナチの絶滅収容所ガス室施設長は、私が望んだのではない、運命が手をとって導いたのだと語った。普遍的な善の観念はイデオロギーとなって、大きな苦難をもたらす。恐怖と狂気の時代に、善意は無力だった。しかし、ささやかで個人的な、証人のいない善意は、無力だから力をもつ。それは盲目的な無言の愛であり、人間であることの意味である。20世紀の証言が、時空を超えて届く。グロスマンの生涯をかけた哲学的思考が文学に結晶した圧巻の第二部。
1942年11月、スターリングラードのドイツ第六軍を包囲する赤軍の大攻勢は、百時間で決着した。戦争の帰趨を決する戦闘が終わった。反ファシズムの希望、世界の目をくぎ付けにした都市は廃墟になった。その瞬間からスターリンは、ユダヤ人殲滅の剣をヒトラーからもぎとり、やがて国内のユダヤ人にふり降ろす。戦後の自由な暮らしを夢みて戦った国民に、一国社会主義の独裁者はたがをはめ直した。物理学者ヴィクトルは、核反応を数学的に説明する論文を観念論的と批判される。彼は懺悔をしなかった。失職して逮捕される不安に怯えながら、良心を守ったことで心は澄んでいた。ところが突然、スターリンからヴィクトルに電話がかかってくる。状況は一変し、彼は称賛に包まれるが、原子爆弾開発への協力をもはや拒否できない。困難の中で守った自由を、栄誉の後で失う人もいれば、幸せな記憶ゆえに苦難に耐える人もいる。栄光、孤独、絶望と貧窮、ラーゲリと処刑。いかなる運命が待っているにせよ、ひとは人間として生き、人間として死ぬ。この小説は、個人が全体主義の圧力に耐えるのがどれほど困難だったかを描いている。全三部完結。
ファビオラは新年の夜会にアーベルと参加して、夢のような幸福な時間を過ごした。しかし、アーベルの優しさにふれるほどファビオラのトラウマが甦る。この優しさは特別なものではないのだと。アーベルとの曖昧な関係に戸惑いを覚えてしまうファビオラは、悩みながらも王宮仕えの侍女として充実した日々を謳歌していたー。「なぜこんな事をするの!意味がわからないわ」そして悲劇が起きる。アーベルとの仲を逆恨みした令嬢に襲われてしまうのだ。心身ともに傷ついたファビオラは、アーベルとの関係を終わらせようと決意するが…。「私、今すっごく幸せです。幸せ過ぎて、ずっと続いていくか怖いです」これは、傷つきながらも懸命に生きて幸せを掴んだ、普通の女の子の成長譚。
「わたくしとの婚約を破棄してください」ルルーシェは第一王子サザンジールに婚約解消を申し出る。死を避けられない自分を忘れ、新たな王妃との人生を歩んでもらうためにー。「ルルーシェ!俺と結婚してくれっ!!」しかし、サザンジールは婚約解消に応じることはなく、むしろ積極的に迫るように!?「ルルーシェを独り占めできるなんて、最高だね」さらに第二王子ザフィルドまで露骨に誘惑をするようになり、ルルーシェを取り巻く環境は大きく変わっていく。『ねぇ神様。例のお約束の件、覚えていてくれてますか?』『何でも欲しいモノってやつ?もちろん覚えているよ』神様との勝負“美しい死に様”を遂げるため、ルルーシェは全力で100日間を駆け抜ける。「最期までちゃんと見ていてくださいね」そして迎えた人生最後となるダンスパーティの夜、ルルーシェに奇跡が起きる…。
ヒッポリアスと燕麦の収穫に向かったテオ。でも、そこにはなんと「謎の足跡」が…!?調べてみると、なぜか巨大なヤギがいて、さらには、カヤネズミにフクロウまで…!!しかも、彼らはイジェの一族とある「協定」を結んでいたらしくって!?仲間やもふもふと新大陸を楽しく開拓!!夢の辺境快適スローライフ第5弾!!
300年スライムを倒し続けていたら、ついにー聖剣を見にいくことになりました!?「大昔に勇者が取りにきた最強の剣」なんて凄すぎる伝承に興味津々の私たち。賢者ミユの案内で、早速封印されている神殿に向かうのですが…!?他にも、ハルカラと免許を取りに行ったり、サンドラと通信教育を体験してみたり、大スライムからスライムの重大な秘密を聞いたりします!巻末にベルゼブブのドタバタわーきんぐ物語「ヒラ役人やって1500年、魔王の力で大臣にされちゃいました」も収録でお届けです!!
数奇な運命によって日本領となった水無月島。1941年、闘将ハルゼー率いる機動部隊はパールハーバーを出撃。宣戦布告のないまま突如、水無月島を奇襲する。ハワイを狙える日本の重要軍事拠点を奪取すべく、米国は虎視耽々と機会をうかがい続けていたのだ。事態を知った日本軍は、第二航空戦隊を急行させるとともに、要塞化していた水無月島の守備軍へ決死の防衛を命じる。激しい攻防が繰り広げられるなか、ついには米太平洋艦隊の主力戦艦部隊が到着。圧倒的不利な状況を打破すべく、秘策の列車砲で迎え撃つこととなるが、そこに空前絶後の巨砲が轟いて…!?
都内の進学校に通う小夜は、出雲に帰省中、古代にタイムスリップしてしまう。そこは日霊女女王亡き後、動乱の倭国。贈於国の豊受比売(豊夜)は、山門国の女王として立つよう迫られていた。やがて他の国々の思惑も入り乱れ、豊夜の運命は急転していく。旅の末に豊夜が決断する道とは。そして小夜がつかんだ自らの生きる道とは…?勾玉を通して二人の少女の魂が響き合う歴史ファンタジー!