2022年8月22日発売
東京湾を横断するフェリーが発着する小さな港町・金谷を舞台に、約三十年に亘って、紡がれる出会いと別れ、そして奇跡と再生の物語ー。愛する妻、大好きな母を失った血の繋がらない親子。挫折し故郷に戻ったバレリーナと、寄り添う書道講師。映画好きの同級生に恋した女子中学生の一大決心。卒業式間近に親友となった二人の男子高校生。余命宣告を受けた元妻と数十年ぶりに偶然再会した男。彼らを見守るフェリー乗り場の総合案内係・椿屋誠。無機質に見えた彼の心と表情も、人々の出会いと別れに触れ、やがて…。
千真の前に現れた少女は、かつての恋人と同じ姿、そして同じ“夕海”と名乗った。だが彼女は、二年前に死んでいる…。更に、仕事中に遭遇した殺人事件ー密室の中で死んでいたのは、恩師の亡き妻とそっくりな女性だった。彼女たちの正体は?そして、この世界には“何”が起きているのか?灰色のベールが剥がされた時この謎の、真の姿が現れる。
仕事で空を飛んで、この島にやってきた「僕」に人生2度目の決行のときが近づく。無人のはずの北硫黄島に住む人々、戦争の記憶、看守と囚人、6色の風船…人はなぜ飛ぼうとするのかそして飛ぼうとしないのか。書き下ろし「孤島をめぐる本と旅」を収録。
ついに台中が陥落した。300万都市を占拠した人民解放軍に対し、次期総統選を睨む台中市市長は驚きの行動に出ようとしていた。一方、台北市とその周辺では、国土防衛少年烈士団として中高生も動員されたが、そこにはひとりの日本人少年の姿も…。その頃、日本の奄美で、重要な会議が開かれようとしていた。一堂に会したのは、特殊部隊“サイレント・コア”を指揮する土門康平ほか、海上自衛隊第一護衛隊群司令、航空自衛隊総隊司令部班長、陸幕長といった面々。陸海空の力を結集させるその作戦名は“玉山作戦”。決死の進軍が始まるシリーズ第六巻!
昭和一四年八月、ドイツはソ連との不可侵条約を締結し、日本が進めていた独伊との同盟は頓挫する。そこに接近してきたのはドイツと対峙するイギリス、フランスであった。やがて日英仏同盟が締結されるが、大陸を席捲したドイツ軍は英本土へ上陸。首都ロンドンは陥落した。英艦隊は東アジアに逃れ日本に亡命したため、ヒトラーの怒りは日本に波及、英仏政府の要請を受けた連合艦隊は、第一航空艦隊をセイロン島トリンコマリーへ派遣するが、インド洋海面下には牙を研いだ狼の群れが…!
自分の目となり耳となって遠野保の民草の動向を見極め、逐一報告せよ。盛岡藩筆頭家老の密命を受け、御譚調掛として市井の噂話を蒐集する宇夫方祥五郎。座敷童衆に花嫁衣装を着たのっぺらぼう、火を吐く怪鳥、雪女。集まる「ハナシ」は虚実曖昧で荒唐無稽なものばかり。だが、迷家に棲む男と出会い、その裏に、法で裁けぬ悪を祓う小悪党たちが暗躍していたことを知ってしまったことからー。大好評巷説百物語シリーズ!第56回吉川英治文学賞受賞作。
動物公園のオオカミ放餌場で、服を着た若い女性の白骨遺体が見つかった。次々に各地で発見される同様の遺体と、ボイスレコーダーに遺された「レッド・マウンテン・ストーン」という謎めいた言葉。その裏に渦巻く現代社会の闇と因襲とは。弁理士探偵羽生絹シリーズ、ここに開幕。
ロザムンド・ピルチャーの描く、小さな物語の数々。出会いや別れ、日々の中で、時と共に変わりゆく心の動き。何気ない日々の家のことごとや、宝物のような庭…。家族や隣人、友人や恋人との関係を描く、心温まるストーリー。短篇集第三弾。
その夜、会社員の須賀一人が自宅アパートへ帰りつくと、ドアの前に見知らぬ少年が蹲っていた。彼は、一年前に亡くなった、一人の飼い猫のハナだと名乗る。不審に思いながらも突き放すことができず、「ハナ少年」と同居生活を始める一人。祖父母とハナしか知らない記憶をなぜか語る少年は、やがて一人の孤独な生活と心に変化をもたらしていく。しかし一人には孤独に生きる理由があった。それは自分の手が、「消えろ」と願ったものを消す力を持っていることだった。償いの人生を生きる男と、猫だと自称する光り輝く少年の、花々が咲きほこる極彩色の愛の行方はー。