2022年8月29日発売
金と欲にまみれる街・東黒留。違法ドラッグの斡旋をする大学生の想は、小さな映画館で、希と運命的な出会いを果たす。彼女の夢、希望、そして苦悩に気づいたとき、想の中で何かが変わっていくのだが…七夕伝説の残る彼女の故郷で、奇跡は起こるのか?そして、悲劇の先にたどり着いた答えとは?楽曲「独白」と響き合う、奇跡と再生の物語。
見失った自分と向き合い 変容を遂げる再生の物語 ニューヨークで暮らす作家のニコールは、仕事も家庭生活もスランプに陥っている。閉塞感のなか、現実だと思っているいまの暮らしは夢なのではないかと思いつめ、かつて現実と非現実が交錯する経験をしたテルアビブのホテルに飛ぶ。ひょんなことから”イスラエルでのカフカの第二の人生”にまつわる仕事を依頼され、夢と現実が交錯する体験をすることに。一方、同じくニューヨークで弁護士として成功してきたエプスティーンは、高齢の両親を相次いで亡くしたことから、盤石なはずの人生にふと疑問を感じるようになる。仕事にも趣味にも精力を注ぎ人生を謳歌するうちに、なにか大事なものを見落としてきたのではないか? 彼はすべてを捨て、生まれ故郷テルアビブへと旅立つ。 自分探しなど、若者の専売特許と言うなかれ。長く生きてきた大人だからこそ、人生の分かれ道で選択を重ねていくうちに、自分自身を見失ってしまうこともある。本書後半、それぞれの自身と向き合う荘厳な砂漠の場面は、何かが昇華されるような爽快感がある。喪失と変容をめぐる瞑想を、深い洞察と挑戦的構成で描く大人の自分探し。柴田元幸氏推薦!
「ずっとそんなふうに自分を苦しめたままでいることはできないよ──」 生きることへの深い洞察とリアリズムの融合した英国小説の真髄、新訳で登場。 【作品のあらすじ】 19世紀、大英帝国として栄華を極める前夜のイギリス田園地帯。製粉と酒造を生業とするタリヴァー家で、個性豊かな少女マギーは父と母、そして誰よりも愛する兄トムと暮らしていた。しかし穏やかで牧歌的な生活は、裁判敗訴をきっかけにした父の死により一変してしまう。父の怨敵に激烈な復讐心を燃やす兄。マギーは宿敵の息子フィリップから激しく純粋な恋情を向けられ、その心に応えたいと願いながらも、しかし兄との絆を断ち切ることはできない。追い打ちをかけるようにマギーの心は、いとこルーシーと婚約寸前の恋人スティーヴンとの狂おしい愛に揺れ動く。人として生きるのなら過去の絆を断ち切るわけにはいかない──少女マギーの葛藤が英国社会の日常を背景に辿られ、当時の知性と現実を描き出す英国小説の傑作。
架空の王国ピスエルガに仕えるラウラ・デ・ナジアンジは疲倦宮ユーセフ親王と恋仲だった。宮中ではさまざまな悪謀が渦巻き、ゴシップが囁かれる。そこにユーセフとエルジー姫の結婚の話が持ち上がってくると同時にユーセフの女ったらしぶりも明らかとなり、ラウラは遊ばれていただけであることがはっきりする。裏切られたと感じたローラは、宮廷から身を引き、修道院へ向かうことになるが…。
SFを、もっと。生きたまま襟巻きになるキツネ、世界を再創造する検閲、時を駆ける寿司、オレンジ様を育てる気球ドローン…知らない世界を旅してみたら、心がちょっと軽くなる。ウェブで開催された「かぐやSFコンテスト」から生まれたSFアンソロジー、クラウドファンディングを成功させて始動!
ナポレオンとの政治的対立から追放されながら、個人の自由と寛容を重んじ、政治的リベラリズムを貫き通したスタール夫人ーー奴隷制度廃止宣言の翌年に刊行された、三角貿易の拠点セネガル、アンティル諸島、ル・アーヴルを舞台にした三人のヒロインたちによる「愛と死」の理想を描く中編小説集。本邦初訳。
明治の初頭、名士が集った百物語会。 時を越えた呪怨の連鎖! ===== 異能の絵師・河鍋暁斎が、絵筆と妖刀で魔に挑む! ===== 「百の結びとなります。 今宵の最後語りは、あえて話には素人の絵師の 月岡芳年師匠にお願いしてあります」-- 三遊亭円朝に仮名垣魯文、山岡鉄舟、岩崎弥之助、月岡芳年…… 名士ばかりが集った百物語会に現れた怪異とは? そして、猫の妖怪、新選組と妖刀、この世を揺るがす龍ーー 「何ということだ、私は破壊と殺戮の為だけに生きて、いや生かされていた」 ===== 絵師・河鍋暁斎を軸に、妖怪の潜む幕末&明治の時代を活写した 《百鬼夢幻》連作シリーズ ◎既刊 『百鬼夢幻〜河鍋暁斎 妖怪日誌』 ===== 序 始の譚 消えない怨火 弐の譚 見えない猫 参の譚 秘仏の尊顔 幕間の譚 妖刀奇譚 肆の譚前語り 肆の譚 震える男 終の譚 不滅の運命 あとがき