小説むすび | 2022年発売

2022年発売

八月の母八月の母

出版社

KADOKAWA

発売日

2022年4月4日 発売

『イノセント・デイズ』を今一度書く。そして「超える」がテーマでした。僕自身はその確信を得ていますーー早見和真 長い間歪み続けた愛や母性の歴史、地層のように積み重なる闇に確かな兆しを探し続けた。神が人を嘲笑い続けてきたのか。人が神を嘲笑い続けてきたのか。神なるものへの幻想と呪縛を解き放つ祈りとその熱に、心が深く確かに蠢いた。--池松壮亮(俳優) 容赦などまるでない。「母」にこだわる作家が、母という絶対性に対峙した。確かなものなど何ひとつない世の中で、早見和真は正しい光を見つけようとしている。その試みには、当然異様な熱が帯びる。--石井裕也(映画監督) 私も命を繋いでいく役目を担うのだろうか。微かな光と絶望に怯えながら、夢中で読み進めた。どうしようもない日々に、早見さんはいつだって、隣で一緒に座り込んでくれるんだ。--長濱ねる(タレント) ラストに現れるヒロインの強い覚悟と意思の力に、私たちは元気づけられる。辛く暗く苦しい話だが、そういう発見があるかぎり、小説はまだまだ捨てたものではない。 --北上次郎氏(書評家)(「カドブン」書評より抜粋) 彼女たちは、蟻地獄の中で、必死にもがいていた。 愛媛県伊予市。越智エリカは海に面したこの街から「いつか必ず出ていきたい」と願っていた。しかしその機会が訪れようとするたび、スナックを経営する母・美智子が目の前に立ち塞がった。そして、自らも予期せず最愛の娘を授かるが──。うだるような暑さだった八月。あの日、あの団地の一室で何が起きたのか。執着、嫉妬、怒り、焦り……。人間の内に秘められた負の感情が一気にむき出しになっていく。強烈な愛と憎しみで結ばれた母と娘の長く狂おしい物語。ここにあるのは、かつて見たことのない絶望か、希望か──。 目次  プロローグ 第一部 伊予市にて  1977年8月  1988年8月  1992年8月  2000年8月 第二部団地にて  2012年6月  2012年10月  2013年1月  2013年4月  2013年6月  2013年7月  2013年8月 エピローグ

ゴールドサンセットゴールドサンセット

著者

白尾悠

出版社

小学館

発売日

2022年4月5日 発売

人生の黄昏を希望に変える温もり溢れる一冊 女子中学生、40代独身女性、定年退職後の男性、認知症の男性、ゲイの青年、妻と姑、老優……。人生十色、生きづらさを抱え、悩み傷つきながらもそれぞれが小さな希望を掬い取って行くさまを丁寧に描く感涙小説。 第一幕 ひろった光ーーー同級生がいじめにより自殺。その事実に傷つきもがく少女が出逢う、隣部屋の老優。その奇妙な行動の果てには。 第二幕 金の水に泳ぐーーー真面目に頑張って生きてきた40代独身女性。求職と婚活に戸惑いながら、人生を、自分を見つめ直して得た答えは。 第三幕 ゴールデンガールズーーー定年後の男性。自分がかつてパワハラ、セクハラをしていた女性に偶然出逢うが……。痛快なラスト。 第四幕 なつかしい夕映えーーー老人の家を訪れる二人の若い男。その正体は一体?そして、珠玉の思い出とは。 第五幕 黄金色の名前ーーーかつて女性の誰もが抱いていたつらさと葛藤を、女性ならではの目線で描ききる。 幕間 登場人物達が織りなす、出会いと絆。 終幕 ゴールド・ライト 老優の心に去来する悔恨に満ちた人生。そして戻らない深い愛。それでも生ききる強さ。 人生が、歳を重ねることが愛おしくなる作品です。 【編集担当からのおすすめ情報】 この小説は、昨年惜しまれながら解散した、さいたまゴールド・シアターから着想を得ました。とかくこの世は住みにくい。優しく真面目な人ほど生きづらい毎日。そんな誰しもが共感する登場人物達の思いや、古典演劇から引用した人生フレーズが心に刺さります。どこかにきっと、あなたが共感し、そして救われる言葉が、エピソードがあるはずです。そして、誰にでも訪れる「老い」や「死にゆくこと」。そこに想いをはせるきっかけにもなるはずです。老いることは悲しいことではない。どんな人生も、かけがえのないその人の人生。読後にはきっと、生きる勇気を与えてくれる、そんな一冊です。

人類対自然人類対自然

配偶者を亡くし自活できない男女が、収容先で再婚に向けて奇妙な再教育を受ける「前に進む」。大洪水のなか水没をかろうじて逃げた自宅で、助けを乞う人々を追い返して生き延びてきた男が、ある男をボディガードがわかりに唯一受け入れたところ…「最後の日々の過ごしかた」。会議中に襲来した怪物から逃げまどいパニックに陥ったエリート役員たちが、死を前にして思い至ったのは…「やつが来る」。友人と出かけたボートが遭難し、来る気配のない救助を待つ男が、長年の友情が幻想だったと突きつけられる表題作。特異な生殖能力を持つため、あらゆる女に追い求められる“みんなの男”が、落ち着いた関係を望みはじめたとたん…「おたずね者」。抽選で“不要”と認定された子どもたちが繰り広げる、一瞬も気を抜けない苛酷な生存競争を描く傑作「不要の森」など。不条理な絶望の淵で生き残りをかけてもがく人々の孤独とかすかな希望を、無尽の想像力で巧みに描く、ダークでシュール、可笑しくて哀しい鮮烈な12篇。

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