小説むすび | 2023年10月26日発売

2023年10月26日発売

私労働小説 ザ・シット・ジョブ私労働小説 ザ・シット・ジョブ

「あたしのシットはあたしが決める」 ベビーシッター、工場の夜間作業員にホステス、社食のまかない、HIV病棟のボランティア等。「底辺託児所」の保育士となるまでに経た数々の「他者のケアをする仕事」を軸に描く、著者初の自伝的小説にして労働文学の新境地。 「自分を愛するってことは、絶えざる闘いなんだよ」 シット・ジョブ(くそみたいに報われない仕事)。店員、作業員、配達員にケアワーカーなどの「当事者」が自分たちの仕事を自虐的に指す言葉だ。 他者のケアを担う者ほど低く扱われる現代社会。自分自身が人間として低い者になっていく感覚があると、人は自分を愛せなくなってしまう。人はパンだけで生きるものではない。だが、薔薇よりもパンなのだ。 数多のシット・ジョブを経験してきた著者が、ソウルを時に燃やし、時に傷つけ、時に再生させた「私労働」の日々、魂の階級闘争を稀代の筆力で綴った連作短編集。 ■声を出さずに泣く階級の子どもがいる。 ■水商売では年齢と美醜で判断されて、失礼な言葉や態度を許容することでお金を貰う。失礼を売り、失礼を買う。失礼は金になるのだ。 ■何かを感じたり、ムカついたりする主体性のある存在として認識しない者は、相手の賃金だけでなく、人間としての主体性さえ搾取している。 ■革命とは転覆ではなく、これまでとは逆方向に回転させることなのかもしれない。 【目次】 第一話 一九八五年の夏、あたしたちはハタチだった 第二話 ぼったくられブルース 第三話 売って、洗って、回す 第四話 スタッフ・ルーム 第五話 ソウルによくない仕事 第六話 パンとケアと薔薇 あとがき ※本書は「小説 野性時代」2021年4月号、22年1月・5月・9月号、23年1月・5月号に掲載された作品を書籍化したものです 第一話 一九八五年の夏、あたしたちはハタチだった 第二話 ぼったくられブルース 第三話 売って、洗って、回す 第四話 スタッフ・ルーム 第五話 ソウルによくない仕事 第六話 パンとケアと薔薇 あとがき

ずっとそこにいるつもり?ずっとそこにいるつもり?

出版社

集英社

発売日

2023年10月26日 発売

念願だった映画の宣伝会社に転職した弥生。そんななか、夫から切り出された「ある提案」を受け入れられず、忙しさにかまけて決意を先延ばしにしていた。だが、その日は確実に迫っていて……(「あなたのママじゃない」)。優良メーカーに内定が決まった大学生の健生。サークルで知り合った恋人未満の彼女から同棲を仄めかされるが、うやむやにしていた。そんなある日、アパートに帰宅すると、かつて池袋で暮らしていた美空が現れーー(「BE MY BABY」)。初対面なのに物怖じせず、屈託のない転校生の美月を前に、副担任の杏子の心は騒めいた。懸念されることの一つは、クラスの中心的人物で問題児である莉愛の虐めの標的になることだったが……(「まだあの場所にいる」)。ほか全5話。閉塞的な現実を背負う人たちの、さまざまな葛藤の中で現れた「気づき」とは。 【著者略歴】 古矢永塔子(こやなが・とうこ) 1982年青森県生まれ。弘前大学人文学部卒業。高知市在住。小説投稿サイト「エブリスタ」にて執筆活動を行い、「恋に生死は問いません。」を改題した『あの日から、君とクラゲの骨を探してる。』でデビュー。2019年「七度笑えば、恋の味」で第1回日本おいしい小説大賞を受賞。他の著書に『今夜、ぬか漬けスナックで』がある。

人類の深奥に秘められた記憶人類の深奥に秘められた記憶

【ゴンクール賞受賞作】 なぜ人間は、作家は、“書く”のか。根源ともいえる欲望の迷宮を恐ろしいほどの気迫で綴る、衝撃の傑作小説! セネガル出身、パリに暮らす駆け出しの作家ジェガーヌには、気になる同郷の作家がいた。 1938年、デビュー作『人でなしの迷宮』でセンセーションを巻き起こし、「黒いランボー」とまで呼ばれた作家T・C・エリマン。しかしその直後、作品は回収騒ぎとなり、版元の出版社も廃業、ほぼ忘れ去られた存在となっていた。 そんなある日『人でなしの迷宮』を奇跡的に手に入れ、内容に感銘を受けたジェガーヌは、エリマン自身について調べはじめる。 様々な人の口から導き出されるエリマンの姿とは。時代の潮流に翻弄される黒人作家の懊悩、そして作家にとって “書く”という宿命は一体何なのか。 フランスで60万部を突破、40か国で版権が取得された、2021年ゴンクール賞受賞の傑作。 [著者プロフィール] モアメド・ムブガル・サール Mohamed Mbougar Sarr 1990年セネガルのダカールに生まれ、パリの社会科学高等研究院(EHESS)で学ぶ。現在はフランスのボーヴェ在住。 2014年に中篇小説『La Cale(直訳:船倉)』でステファヌ・エセル賞を受賞し、2015年『Terre ceinte(直訳:包囲された土地)』で長篇デビュー、アマドゥ・クルマ文学賞とメティス小説大賞を受賞した。2017年『Silence du choeur(直訳:コーラスの沈黙)』でサン=マロ市主催の世界文学賞を受賞。2021年、4作目にあたる本書はフランスの4大文学賞(ゴンクール賞、ルノードー賞、フェミナ賞、メディシス賞)すべてにノミネートされ、ゴンクール賞を受賞した。 邦訳作品に『純粋な人間たち』(平野暁人訳、英治出版、2022年。原書は2018年)がある。 [訳者プロフィール] 野崎歓(のざき・かん) 1959年新潟県生まれ。フランス文学者、翻訳家、エッセイスト。放送大学教養学部教授、東京大学名誉教授。2006年に『赤ちゃん教育』(青土社)で講談社エッセイ賞、2011年に『異邦の香りーーネルヴァル『東方紀行』論』(講談社)で読売文学賞、2019年に『水の匂いがするようだーー井伏鱒二のほうへ』(集英社)で角川財団学芸賞受賞。ほか『無垢の歌ーー大江健三郎と子供たちの物語』(生きのびるブックス)など著書多数。 訳書に、ジャン=フィリップ・トゥーサン『浴室』『カメラ』『ためらい』(以上集英社文庫)、サン=テグジュペリ『ちいさな王子』、スタンダール『赤と黒』(以上光文社古典新訳文庫)、ボリス・ヴィアン『北京の秋』(河出書房新社)、ミシェル・ウエルベック『素粒子』『地図と領土』(以上ちくま文庫)、同『滅ぼす』(共訳、河出書房新社)など多数。

神に愛されていた神に愛されていた

小説を書くことに翻弄される二人の女。 どうしようもなく背負ってしまう因果。 無傷ではいられないのに、 それでも私は書き続けるのだ、 という覚悟。 そのすべてを封じ込めた物語を チレンさんは書いてしまった。 ーーーー窪美澄(作家)  彼女は己の何もかもを削ぎ落しながら、 美しく繊細な物語を紡ぐ。 そうして生まれた作品は眩いばかりの光を放ち、 同時に深い闇を孕む。 この作品は、まさしく木爾チレンそのものだ。      ーーーー町田そのこ(作家) 窪美澄さん、町田そのこさんも激賞!! 一気読み必至!! 2023年の大本命!! 最旬にして俊豪・木爾チレンの真骨頂、 深き心の闇に愛憎蠢くヒューマンミステリー!! 女にだけわかる、狂気。 過剰な嫉妬は、やがて強大な殺意へ…。 若くして小説家デビューを果たし、その美貌と才能で一躍人気作家となった東山冴理。 しかし冴理は人気絶頂のさなか、突然、筆を断ったーー。 やがて三十年の時が経ち、冴理のもとに、ひとりの女性編集者が執筆依頼に訪れる。 「私には書く権利がないの」そう断る冴理に、 「それは三十年前ーー白川天音先生が亡くなったことに関係があるのでしょうか」編集者は問う。 「あなたは、誰かを殺したいと思うほどの絶望を味わったことってあるかしら」 ーーそして、この時を待っていたというように、冴理は語り始める。 高校文芸部の後輩、白川天音が「天才小説家」として目の前に現れてから、 全ての運命の歯車が狂ってしまった過去と、その真実を……。 希望と絶望、 羨望と嫉妬…… これは、ふたりの女性作家が、才能を強く信じて生きた物語。 すべてを読み終えたあと、 あなたはタイトルに託された“切ない意味”を知り、 ぎゅっと、胸を締め付けられる。 ヒット作『みんな蛍を殺したかった』の俊英女性作家による、 1年ぶりの書き下ろし長編小説。 満を持して、待望の最高傑作、降臨!!

動物哲学物語 確かなリスの不確かさ動物哲学物語 確かなリスの不確かさ

動物の生態に哲学のひとさじ。 映画化された世界的ベストセラー『あん』のドリアン助川、構想50年の渾身作! 動物の叫びが心を揺さぶり、涙が止まらない21の物語。 哲学の入門書よりやさしく、感動的なストーリー。 どんぐりの落下と発芽から「ここに在る」ことを問うリスの青年。 衰弱した弟との「間柄」から、ニワトリを襲うキツネのお姉さん。 洞窟から光の世界へ飛び出し、「存在の本質」を探すコウモリの男子。 土を掘ってミミズを食べる毎日で、「限界状況」に陥ったモグラのおじさん。 日本や南米の生き物が見た「世界」とは? ベストセラー『あん』の作家が描いたのは、動物の生態に哲学のひとさじを加えた物語21篇。 その中で動物のつぶやき、ため息、嘆き、叫びに出遭ったとき、私たち人間の心は揺れ動き、涙があふれ、明日を「生きる」意味や理由が見えてくる! ●私たちの心に突き刺さる動物たちのつぶやき サル「ボスになんかなるものじゃない。なんでこんなに苦しいんだ」 アリクイ「心は進化しないのですか?」 ナマケモノ「彼女と僕は同じ世界を見ているのだろうか」 ジャガー「私たちを苦しめるのは、思い出だよ」 バク「ママ、なんで僕のここはこんなに大きくなるの?」 ペンギン「天よ、いったいどうして、僕らにこんな苦しみを与えるのですか?」 ●巻頭スペシャル口絵 多和田葉子の小説の装画・挿画で知られる溝上幾久子による、動物たちの銅版画作品をカラー掲載。 【目次】 第1話 クマ少年と眼差し 第2話 キツネのお姉さん 第3話 確かなリスの不確かさ 第4話 ボスも木から落ちる 第5話 一本角の選択 第6話 コウモリの倒置君 第7話 クジラのお母さん 第8話 モグラの限界状況 第9話 ウリ坊の恥 第10話 絶滅危惧種 第11話 スローな微笑み 第12話 最後の思い出 第13話 バクの茫漠たる夢 第14話 転がる小さな禅僧 第15話 ペロリン君の進化 第16話 おじさんにできること 第17話 ピクーニャとコンドル 第18話 イグアナ会議 第19話 ゾウガメの時間 第20話 飛べない理由 第21話 対話する鳥(あとがきに代えて) 【著者略歴】 ドリアン助川(どりあん・すけがわ) 作家、歌手。明治学院大学国際学部教授。1962年、東京生まれ。早稲田大学第一文学部哲学科を卒業後、1990年にバンド「叫ぶ詩人の会」を結成。解散後、執筆活動を開始。2013年出版の小説『あん』(ポプラ社)は映画化に加え、22言語に翻訳され、フランスの「DOMITYS文学賞」「読者による文庫本大賞」の二冠に。『線量計と奥の細道』(集英社、日本エッセイスト・クラブ賞受賞)、『新宿の猫』(ポプラ社)、『水辺のブッダ』(小学館)など著書多数。

山からはじまる異世界ライフは意外と快適だった〜不思議なもふもふたちと古の錬金術でスローライフを満喫中〜山からはじまる異世界ライフは意外と快適だった〜不思議なもふもふたちと古の錬金術でスローライフを満喫中〜

ポンコツ女神の手違いで前世を終え、異世界の山の中に転生したレン。お詫びに授けられた【錬金術】と【鑑定】のスキルを試しに使ってみると、想像したとおりに物を作り出せることが発覚! 山の中で出会った不思議なでかもふたちと力を合わせて温泉づくりや魔石の採取、山の素材を使った異世界グルメなど悠々自適な山暮らしを満喫する。 そんなある日、女神から追加で山と街を行き来できる【転移ポイント】を授かったレンは、早速街へ行ってみることに。そこで出会った獣人の少女と魔導具屋を営むことになったり、街を襲う犯罪組織をサクッと倒したり、激レア素材をゲットしたり…と、気が付けばチート級錬金術で大活躍してしまうレン。 さらに、錬金術ははるか昔に失われたはずの技術だということが発覚して…!? 唯一無二のスキルではじめる不思議なもふもふたちとの異世界スローライフ、いざ開幕!

天才錬金術師は異世界のすみっこで暮らしたい〜悠々自適な辺境アトリエ生活〜天才錬金術師は異世界のすみっこで暮らしたい〜悠々自適な辺境アトリエ生活〜

著者

らる鳥

発売日

2023年10月26日 発売

前世の記憶を持ち、錬金術師が統治する国に生まれたルービット。自身も錬金術師としてずば抜けた才能がありながらも、しがらみに囚われず気楽に生きたかったルービットは、人類圏の最端にアトリエを構えることに。レア素材を採取したり、ポーションやアイテムを作ったり、その傍らに釣りを楽しんだり…と気ままな辺境生活を満喫する。そんなある日、恩師からの紹介である少女が「錬金術師として生きていく術を教えてほしい」と訪ねてくる。一方、ルービットがこっそりと研究を重ね、大切に育ててきたホムンクルス・ヴィールが順調に成長し、とうとう外に出られるように。一人だったアトリエ生活は一気に賑やかになり…!?時には街の平和を守ったり、領主の目にとまってしまったり…異世界の片隅でひっそり暮らすはずが、優秀すぎて意図せず大活躍!?規格外の錬金術師と相棒のホムンクルスが送る悠々自適な辺境ライフ、スタート!

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