2023年10月発売
何かが始まる予感を胸に東京を離れ、海辺の町・葉山で暮らしはじめたフードスタイリスト、志田エリ31歳。大都市と郊外、何かに追いかけられるような時間と、手を動かし、ものを作るささやかな生活…自分の価値観とともに海辺に暮らす人々と出会い、少しずつ解放され自分の時間を生きはじめた女性の姿を描く、すがすがしい短編。20年以上の時を経て、なおこころに響く海辺のフォークロア。
初老の介護士・三谷孝は、対人関係能力、調整力、空間認識力、記憶力に極めて秀でており、誰もが匙を投げた認知症患者の心を次々と開いてきた。ギフテッドであり、内閣情報調査室に協力する顔を持つ三谷に惹かれたのが、ハーバード大卒のIT起業家・大河内牟禮で、二人の交流が始まる。大河内が経営するベンチャー企業は、牟禮の母・尾上鈴子がオーナーを務める東輝グループの傘下にある。尾上一族との軛を断ち切り、グローバル企業を立ち上げたい牟禮の前に、莫大な富を持ち90歳をこえてなお采配をふるう鈴子が立ちはだかる。牟禮をサポートする三谷も、金と欲に塗れた人間たちの抗争に巻き込まれてゆく。
今日はアマの『ダホメ王国最後のアマゾン』がナショナル・シアターで上演される初日。黒人として女性として日々受ける差別に立ち向かってきたアマが、50代になってついに栄光をつかんだのだ。記念すべき今宵、家族や友人たちがここに集う。演劇界を共に生き抜いてきた戦友、母の希望とは異なるがしっかりした自分の意見を持つ娘をはじめ、いまだ不遇をかこつ者、努力して社会的成功を手にしたエリートなど、背景も様々な12人の女性が、それぞれの人生を振り返っていく。子ども時代のレイプ、小さな町での差別、子どもを抱え必死に働いてきたこと、エリートとなった娘との不仲、実の両親を知らないことなど、みな人知れず心に傷を抱えている。大切なのは共にいること。人生、捨てたもんじゃない。笑って泣かせ心揺さぶる真実の物語。2019年度ブッカー賞受賞作。
作家とはだれか、物語とはなにか、事実と虚構、記憶、女性、戦争、越境、ナショナリティ…文学をめぐる冒険、その愛とアイロニー。ロシア・アヴァンギャルド研究者としても知られるクロアチア語作家の長篇、待望の翻訳。ピリニャークの日本滞在記を糸口に、あらゆる文学的主題が縦横に語られるオートフィクション。
大逆転後宮とりかえ伝、第四幕「お忍び城下町」編!「今、雛宮内で、入れ替わりを解消してはならぬ」-『鑽仰礼』が一段落した後、玲琳は堯明にそう告げられた。慧月が『道術』使いだと、決して周囲に気づかれてはいけない。万全を期して、城外で入れ替わりの解消をすることに決めた玲琳たちは、城下町で落ち合う約束を交わし、バラバラに雛宮を発つのだが…。初めての屋台に目を輝かせる玲琳と、お目付け役の莉莉&堯明。仲良く(?)お土産選びをする慧月と景彰と、なぜか酒で潰しあおうとする冬雪と景行。そんな中、辰宇は市場で、王都を観光していた雲嵐に声をかけられてー。誘拐、窃盗、乱闘騒ぎ…目の前で起こるトラブルを、彼らが見過ごせるわけもなく!?果たして無事に、全員約束の時間に集まることができるのか?大騒動の第七巻!
コン・ジンソルはFMラジオ局で働く構成作家、31歳。改編にともない、番組の新ディレクターとなったイ・ゴンと仕事をすることに。局内での評判は悪くないが、初顔合わせの段階からペースを狂わされ、人付き合いの苦手な彼女は当惑する…。丁寧な情景描写、人物の内面を繊細に描く文体で「ゆっくり大切に読みたい本」と韓国で評されるイ・ドウの処女作、ついに刊行。
被災地を巡るダークツアーを企画するヨナは、収益の低いツアーを査定するよう命じられ、ベトナム沖の島に向かう。滞在中ヨナはひき逃げ事件を目撃してしまい、謎の一味に加わるよう脅される。彼らは、新たなダークツアーを「捏造」しようとしていた。パスポートを失くして出国できないヨナは、滞在許可証を入手するため仕方なく計画に加わる。やがてツアーの全貌が明らかになり、「捏造」の恐るべき真実が発覚するが、もう計画から抜け出すことはできなくなっていて…。ダークツーリズムの闇を描く韓国ミステリ。
大学進学を機に群馬から上京したばかりの門田暖平は一人、新品のこたつを亀の甲羅のように背負い佇んでいた。配送料が払えず自力で下宿に持ち帰ろうと思ったが、帰宅ラッシュで電車に乗り込むことができない…。途方に暮れる暖平の前に、一台のバンが止まる。乗っていたのは、入学式の日、構内で落語を演っていた落語研究会の部長・忽那碧だった。落研に誘われるが、金もなく、コミュニケーションにも自信がなく、四年間バイト中心で過ごすつもりだと語る暖平。だが、「必要なのは扇子一本。あとは座布団さえあればどこでもできる」という碧の言葉に背中を押され、暖平の人生が大きく動き出すー。
12月の北海道。中学2年の少女・沙耶は、自分を日常的に虐待する両親が、明日の晩、海で自分の殺害を計画していることを知っていた。ところが下校途中、「児童相談所の職員」を名乗る男・渡辺の車に乗せられ、そのまま誘拐・監禁される。監禁下のやりとりで男にやさしさを感じ、あることから彼女は、男が、じつは「本当の父親」ではないかと疑い始める。一方、男は身代金2000万円が目的の営利誘拐であるとの犯行声明を北海道警察に送りつけ、粛々と計画を進める。渡辺とは一体、誰で、何が目的なのか?
お嬢様を傷つけたこと、後悔させてあげる。華麗で痛快な大逆転ファンタジー、開幕!王女でありながら、強大すぎる能力を持つため身分を隠して生きるアナスタシア。自らを救ってくれた令嬢・セーラに侍女として仕えながら幸せな日々を過ごしていたが、ある日アナスタシアを悲劇が襲う。セーラが隣国の嫁ぎ先で虐げられ、婚約破棄されボロボロになって帰ってきたのだ。いても立ってもいられず隣国に乗り込み、セーラに対する酷い所業を調べ上げたアナスタシアはある決意をして…。可愛い可愛い私のお嬢様。それを傷つけたんですものーもちろん、破滅を迎える覚悟はできていますよね?華麗なる報復譚、開幕!
「紫眼は破滅を招く」そう伝わる国で紫眼に生まれた伯爵令嬢のアリーシャ。幼い頃から虐げられ、婚約者からも搾取された挙句に婚約破棄され捨てられたアリーシャに、結納金目当ての父は新しい嫁ぎ先を見つけてくる。しかし、そこは冷酷無慈悲な氷帝と名高い辺境伯・レオハルトのもとで…!?「あくまでもこれは仮婚約だ」出会って早々、正式な婚約ではないと強調するレオハルトに、今度もまた捨てられるのかとため息をつくアリーシャ。しかしいざ婚約者生活が始まってみると、冷酷なはずのレオハルトからなぜか優しく溺愛される日々。さらに、魔力がないはずのアリーシャにある力があることが判明してー!?愛を知らない虐げられ冷嬢×クールな冷徹氷帝の異世界ラブストーリー。
癒しの力である神聖力が低いことで、王女でありながら虐げられてきたフィリア。ある日、和平を結ぶため義妹の身代わりに半ば人質として隣国へ嫁ぐことに。相手は冷酷無慈悲と噂される皇帝・カイゼル。自分の無能っぷりを心配したフィリアは自ら離婚を切り出すも、カイゼルから返ってきたのは「君と別れるつもりは一切ない」というものでー!?実は魔力過多により体が結晶化する問題を抱えていたカイゼル。神聖力が低く、それを癒せないフィリアは彼のためどうにか身を引こうとするも、その後もカイゼルは離婚を拒否!さらに、冷酷だったはずの彼からいつのまにか甘く迫られて…!?身代わりの「役立たず」なので、想定外の溺愛は困りますっ(汗)無能王女×冷酷皇帝の異世界シンデレラストーリー。
元アラサーOLのアイリスは乙女ゲームの悪役令嬢に転生してしまう。婚約者である王太子に婚約破棄され破滅エンドを迎えるーはずが、なぜか今では同僚であり実は第二王子だったラースに重い重い愛を向けられる日々を送るように。そんな中、アイリスの憧れの作家・ルーベンがアイリスの働く魔獣研究所を訪れる。熱心に仕事をするアイリスにルーベンは急接近!それを見てラースの独占欲も溢れ出てしまい…!?「アイリスの全部を俺のものにしたくてたまらない」これまで以上に執拗なラースの愛に、アイリスは翻弄されるばかりで…。紳士なフリした執愛王子×婚約破棄された悪役令嬢遠慮なしの溺愛に拒否権はない!?こじらせ甘々ラブファンタジー、さら加速中!