2023年3月発売
魔術師エインズは、銀雪騎士団の騎士ソフィアと王都キルクの南西部スラムで魔法使いの養成所を探していた。魔術学院の入学試験で目にした知識や技量を、庶民の子供がどこで身に着けたのかを知るためだ。街は荒れており、足を踏み入れて早々、ボロ切れを纏う幼い少女に遭遇。無尽蔵に魔力を生み出す“聖遺物”と化した母親の形見を、暴漢らから取り戻して欲しいと助けを乞われることに。だが、彼の答えは彼女を真の欲望と向き合わせるものだったー。「君はドブネズミであり続けるのかい?教えてあげなよ、世界に君の“力”を」純粋すぎる一挙一動が、国内勢力の均衡を崩してゆく。のんきな魔神の魔術探究ファンタジー第2巻!書き下ろし番外編収録!
きっと誰もが、この物語の中にいる。福島県から上京し、三軒茶屋でひとり暮らしをはじめた大学生・森谷未明。ある日、思い切って本屋「twililight」に入ったことから、未明の生活は変わっていく。友達と出会い、夜の街を歩き、初めてお酒を飲む。そして、恋をする。twililightの屋上から眺める夕暮れに染まる三軒茶屋、未明は何を探し、何を見つけるのか。
第二次大戦のさなか、アメリカの州境に火星からロケットが飛来、科学者や技師らからなるチームが火星人との意思疎通を試みるが…『金星応答なし』に先立つ、レムの本当のデビュー作『火星からの来訪者』、広島への原爆投下を主題にした、世界でもっとも早い文学作品の一つ「ヒロシマの男」など、いずれも本邦初訳となるレム20歳代の頃の作品集。
大学院生ザカリーが図書館で出会った、著者名の記されていない本。そこには誰も知るはずのない、彼の少年時代の不思議な体験が記されていた。本の秘密を追う彼は、謎の男に導かれて魔法の扉をくぐり、どことも知れない地下に広がる“星のない海”の岸辺にある、物語で満ちた迷宮にたどりつく…めくるめく物語の魅力を巡る傑作本格ファンタジー。ドラゴン賞ファンタジー長編部門受賞作。
個々人の持つスキルやステータスを調整する能力「スキルメンテ」を持つフィーグ。戦闘に直接関係しないスキルのため、役に立たないと勇者パーティを追放されてしまう。行き場をなくしたフィーグは、剣士の少女・リリアのスキルメンテをきっかけに新たな能力“改造”を手に入れた。リリアの能力が飛躍的に向上したのをきっかけに、訳ありな仲間たちの能力を改造していく!
「オールタイム・ベストSF」(SFマガジン700号記念企画)国内短篇部門第1位津原泰水の最高傑作短篇を宇野亞喜良が奇跡のヴィジュアル化。Toshiya Kameiによる英訳(初訳)収録。
全編手紙や文集などから構成。「僕」と「先輩」の10年以上にわたり紡いだラブレター。小説投稿サイトステキブンゲイ発信企画。中村航、いぬじゅん、中村優一など101人がリレー形式で紡いだ小説が、待望の書籍化!若者の心を突き刺す青春小説にして往復書簡式小説の金字塔、誕生。
気候変動の影響を世界でもっとも受けている国々のひとつ、マーシャル諸島。若き活動家が、母であり娘でもある自らの生、常に「大国」に翻弄されてきた祖国の歴史、刻々と国土をむしばむ温暖化などをテーマに創りあげた28篇。
「いつか」なんて待たずに、すぐ会いに行けばよかったー。娘に結婚を許してやれなかった父、バレンタインチョコを渡せなかった女、離婚した両親に笑顔を見せたい少年、名前のない子供を抱いた妻…未来に向かって歩みだすために、過去に戻る4人の勇気の物語。
2進法の世界で生きるコンピュータ言語ネイティブの「チュ・サンウ」の日常に、同じ大学でグラフィックデザインを学ぶ感覚で生きる先輩「チャン・ジェヨン」がウイルスのように侵入してきた。サンウは人生を狂わすセマンティックエラー(文法的には正しくとも機能しないコンピュータ構文)を正すことができるのか…。2進法のサンウの視点と総天然色のジェヨンの視点が織りなす、コミカルラブコメディ!
日本で初めて拳銃を所持した職業はー郵便集配人だった!!明治のポストマンが遭遇する、汚職事件、ピストル強盗、人身売買…歴史上の人物も次々に登場し、混沌とした時代の光と闇を活写する!
陽明学を究めた学者でもあり、大坂町奉行の敏腕与力でもあった大塩平八郎は、家族、門人たちをも巻き込んで、命を懸けた世直しに挑む。立場にあぐらをかき、豪商と結託して私腹を肥やす上役ども。立身出世に目がくらみ、悪事に立ち向かえない同僚、同輩。世のため人のためにならぬ御託ばかりを並べる学者たち。この男は、すべての不正を許さない!
ローズはとても賢く、特別なゴリラだ。言葉を理解し人間と「会話」ができる。やがて「声」も手に入れた。これからもっと楽しい生活が始まる。そんな時だった。人間の子供を助けるために、という理由で、夫ゴリラが、突然、射殺される。許せないー。そしてローズは、人間に戦いを挑む。力ではなく、知恵と勇気を武器に。法廷で。第64回メフィスト賞満場一致の受賞作。
高校生の木島道歩は、尿路結石で入院していた病院で16歳の誕生日を迎えた。またみんなに馬鹿にされる…。そんな木島に同じ年頃の少女が声をかけてきた。「ねえ、君にお願いがあるんだ」-。不治の病とたたかう綿野、親のプレッシャーで暴走する矢野、ワケアリイケメンの斎藤ら、不遇の高校生たちが「生きる証」を打ち立てようと、嘲笑と裏切りを突き抜けて進んでいく。第11回ポプラ社小説新人賞受賞作。
記憶を失ったまま、薔薇の花畑で目覚めた少女。視界の先には白い小城ーそこは、物語に登場するキャラクターたちが暮らす、“物語管理局”。自分の正体を突き止めるため、少女は「王子」と呼ばれる少年と「マッチ売りの少女」「裸の王様」など物語の世界へと飛び込むが…?読者から募集した物語をカンザキイオリが楽曲化し、「それを世界と言うんだね」(歌・花譜)を綾崎隼が小説にした傑作!!
イルミネーションに飾られた小さなサーカステントにキッチンカー、お腹がぐうと鳴るいい香り。それらに出会ったあなたは運がいい。そこは期間限定で現れる幻のビストロ「つくし」。猫を思わせるギャルソンとシロクマのようなシェフが、あなただけのために作るスペシャリテで迎えてくれる場所だ。キッチンカーの赴くままに旅をする「つくし」だが、きまって芸術のある場所に現れる。ピアノの演奏が聞こえる野外劇場、絵画が飾られたマルシェ、映画が上映されている砂浜、能楽堂がある広場…。