2023年4月26日発売
臨床心理士のルビーは、マイアミで幸せな新婚生活を送る30歳。ある日、隣で寝ていた夫が急死。ほどなくして、ひとりの刑事が訪ねてきた。ルビーによる夫殺しを疑っていたのだ。刑事は4人の人物の顔写真を見せながら、ルビーに言った。「この4人には、あなたのすぐ近くで亡くなったという共通点がある」ルビーは断じて夫を殺してなどいなかった。問題はほか3人だ。何しろ、ほかの3人は実際に殺していたのだから。大陪審の審理がはじまり、彼女は連日トップニュースを飾り、サイコパスと呼ばれることにー。2022年ニューヨークタイムズ、ベストスリラー。
南アフリカ出身の母と日本人の父を持つ小学生のイェリコは、学校でも家でも居場所が見つけられない。唯一熱中できたのはドローンレースだったが、トルコの大会で起きた爆弾テロ事件の実行犯として疑いをかけられ、ありとあらゆる個人情報をネット上に曝されてしまうー。日本に居られなくなったイェリコは、母の遠縁を名乗るしかめ面の男・マルグッドと共に世界中を巡る旅に出る。そこで出会ったのは、歌声でドローンを制御する“ミツバチ”の少年少女たちだった。
75歳、両親が遺した鎌倉の家に一人暮らしの晴恵。一人息子の達彦は、大学進学をめぐる意見の食い違いから「死ね、クソババア!」と捨て台詞を残して家を出て以来、ほとんど音信不通。終活を意識し始めた晴恵の元に、55歳になった達彦が突然非の打ちどころのない嫁を捨てて帰ってきた!母と息子のドタバタ、高齢者あるある、そして最後はほろりと泣ける、すべての親子に贈る物語。
1977年10月、ニューヨーク・マンハッタンのバレエシアターで上演された「スカボロウの祭り」最終公演中、生きる伝説のバレリーナ、フランチェスカ・クレスパンが死亡した。二幕と三幕の幕間に、彼女専用の控え室で撲殺されたという。現場は完全な密室。さらに三幕以降も舞台は続き、観客は公演の最後までクレスパンの踊りを観ていたー。
実業家・加右衛門氏へ贋物の置時計を売ってしまった事実を知った井口。 泥棒に転職をした蓮野とともに、その置時計は加右衛門氏が所有する美術館にあるという情報を得、盗むことを計画するがーー? (第1章 加右衛門氏の美術館) 激動の大正時代を泥棒たちが大暴れ! 『絞首商會』『サーカスから来た執達吏』にも繋がる連作短編集。 『方舟』で「週刊文春ミステリーベスト10」「MRC2022」をダブル受賞し話題沸騰の夕木春央、待望の新作!
麻薬取締官の加納良の所在が確認できなくなった。二十年ぶりにアメリカから帰国した双子の弟・将は良の代わりに凶悪な麻薬密売組織に入り込む。目的は良の行方を探すと共に、組織に繋がるスパイをあぶり出すことだ。命がかかる状況下、良のフリをする将にヤクザから警視庁の女性刑事まで接触してくるー。裏切り者は誰なのか?ノンストップアクションエンターテインメント。
天才調香師は、人の欲望を「香り」に変えるーー。 直木賞受賞第一作。『透明な夜の香り』続編! 「君からはいつも強い怒りの匂いがした」 カフェでアルバイトをしていた朝倉満は、客として来店した小川朔に、自身が暮らす洋館で働かないかと勧誘される。朔は人並外れた嗅覚を持つ調香師で、その洋館では依頼人の望む香りをオーダーメイドで作り出す仕事をしていた。 朔のもとには、香りにまつわるさまざまな執着を持った依頼人が訪れる。その欲望に向き合ううちに、やがて朔が満を仕事に誘った本当の理由が分かり……。 香りを文学へと昇華させた、第6回渡辺淳一文学賞受賞作『透明な夜の香り』に続く、ドラマチックな長編小説。 【著者プロフィール】 千早 茜(ちはや・あかね) 1979年北海道生まれ。幼少期をアフリカで過ごす。立命館大学文学部卒業。2008年『魚神』で第21回小説すばる新人賞を受賞し、デビュー。翌年、同作にて第37回泉鏡花文学賞を受賞。13年『あとかた』で第20回島清恋愛文学賞、21年『透明な夜の香り』で第6回渡辺淳一文学賞、23年『しろがねの葉』で第168回直木賞を受賞。著書に、『男ともだち』『わるい食べもの』『神様の暇つぶし』『ひきなみ』など多数。
古きを愛し、新しきを迎え入れる、あるがままに。堀田家の暮らす下町に“日英テレビ”のロケ隊がやってくる!?そして迎える、“大引っ越し大会”。そんな慌ただしい日々に飛び込んでくるのは、かつて閉店したお店の謎や、突然の放火疑惑、思いがけない人生の悩みに、大事な家族のメンバーとの別れ…。巡る時代を共にしてきたご近所の仲間たちと、改めて「LOVE」を分かち合う。人気シリーズ待望の第18弾!
本好きの中年男ヘンクは、離婚して老犬スフルク(ならず者)と暮らすICUのベテラン看護師。ある朝、運河沿いを散歩中、へばってしまった老犬をすばやく介抱してくれた女性がいた。この日は、かわいい姪の17歳の誕生日。元妻の情事の現場に出くわして以来、恋なんていうものとは無縁に生きてきたヘンクだが、けさ出会った同世代の女性にときめいている自分を発見する。戸惑う彼の背中を、姪のローザがどんと押す。離婚、不遇だった兄の死、やり手の弟との不仲、忍び寄る老い…人生の辛苦をさまざまに経験してきた男が、生きるよろこびを取りもどしていくさまをつぶさに描く。2020年、コロナに見舞われたオランダで、多くの人たちを慰め、励ましたベストセラー小説。リブリス文学賞受賞。
俺は転生したんだぞっと。小説を原作としてゲーム化にアニメ化までした『魔導の夜』の世界に、だ。原作の小説こそ途中で飽きてしまったが、ゲーム版はやり込みアニメ版も網羅しているがどうも少し様子がおかしい。そう、俺は転生した。ただしメイン級のキャラクターではなく、ただのモブに。それも本編ストーリーには全く出てこない、もはやモブですらないかもしれないキャラに転生してしまったんだ。両親にも怪しまれないように、ごく普通のモブとしてこの世界を生きようとしてたんだが…。突然、幼稚園で魔物に取り憑かれた同級生の暴走に巻き込まれてしまう!俺でもなんとかなるんじゃないか、と思って戦いを挑むも腕を切られて満身創痍。馬鹿な考えをしたものだ。俺はモブ。明日のニュースで「死んだ幼稚園児」と報道される程度のモブだったのだ。『ジョブを決めてください』ふと、ゲーム開始時に見たことあるメッセージ表示が浮かぶ。生き残るために選んだジョブ『神官』で窮地を脱するが、この選択が意図せずして『魔導の夜』の展開を変えていってしまうのであった。
「ちっくしょぉー!彼女欲しぃー!!」いかつい顔に立派な体躯を持ったがゆえに、中学三年間まったくモテずに過ごしてきた俺。そんな嘆く俺の前に突如現れた謎の女神。「そんなあなたに朗報です!女性にモテモテの人と、人生を交換してみませんか?」突拍子の無い女神の提案に困惑しつつも、入れ替わりを決意する俺。しかし目覚めた先は、男性が極端に少ない世界の日本だったー!?そんな世界で入れ替わった宗谷武人として戸惑いつつ過ごしながらも、この世界で男性は誰でもモテモテ。故に、モテない女性の心が理解できるのは元・非モテの俺のみ。それに気づいた俺は周囲の女性を幸せにしようと心に誓うのだが…書籍化に伴い、新規エピソードも多数追加!
語り手は一匹のヤモリ。アンゴラの首都ルアンダで、フェリックス・ヴェントゥーラの家に棲みつき、彼の生活を観察している。フェリックスは人々の「過去」を新しく作り直す仕事をしている。長年にわたる激しい内戦が終わり、アンゴラには新興の富裕層が生まれつつあるが、すべてを手にしたかに見える彼らに足りないのは由緒正しい家系なのだ。そんな彼らにフェリックスは、偽りの写真や書類を用いて新しい家系図と「過去」を作成して生計を立てている。ある日、フェリックスのもとを身元不詳の外国人が訪ねてくる。口髭を生やし、古臭い服装をしたその男は、「名前も、過去も、すべて書き換えてほしい」と頼み、大金を積む。フェリックスは悩むが、結局、ジョゼ・ブッフマンという新しい名前をはじめ、すべてを完璧に用意する。ブッフマンは大喜びし、以後、足繁く訪ねてくるようになる…。2007年度インディペンデント紙外国語文学賞受賞作。
1970年代と80年代の東京を背景に、女性との関係を主軸に据え、主人公の知的遍歴、読書と研究の体験を重層的に織り交ぜた小説二篇。「聖処女讃歌」は吉行淳之介の『夕暮まで』を、「鷹の台の黄昏」は田山花袋の『蒲団』を彷彿とさせるものがあり、作者森魚名のダンディズム、「やさしさ」、廉直さがよく表れ、欲望を無理やり発動しない、積極的に対象と関わろうとしないナルシシズム、オナニズム、あるいは孤独なエゴイズムと表裏一体となった物語となっている。作中に「窃視」という言葉も自己言及的に使われているように、この2篇は自分史の体裁をとった「孤独な窃視者の夢想」でもある。 鷹の台の黄昏 聖処女讃歌★ヴァージン・ブルース 自分史を仮構する・森魚名論(谷川渥)