2023年4月発売
天才調香師は、人の欲望を「香り」に変えるーー。 直木賞受賞第一作。『透明な夜の香り』続編! 「君からはいつも強い怒りの匂いがした」 カフェでアルバイトをしていた朝倉満は、客として来店した小川朔に、自身が暮らす洋館で働かないかと勧誘される。朔は人並外れた嗅覚を持つ調香師で、その洋館では依頼人の望む香りをオーダーメイドで作り出す仕事をしていた。 朔のもとには、香りにまつわるさまざまな執着を持った依頼人が訪れる。その欲望に向き合ううちに、やがて朔が満を仕事に誘った本当の理由が分かり……。 香りを文学へと昇華させた、第6回渡辺淳一文学賞受賞作『透明な夜の香り』に続く、ドラマチックな長編小説。 【著者プロフィール】 千早 茜(ちはや・あかね) 1979年北海道生まれ。幼少期をアフリカで過ごす。立命館大学文学部卒業。2008年『魚神』で第21回小説すばる新人賞を受賞し、デビュー。翌年、同作にて第37回泉鏡花文学賞を受賞。13年『あとかた』で第20回島清恋愛文学賞、21年『透明な夜の香り』で第6回渡辺淳一文学賞、23年『しろがねの葉』で第168回直木賞を受賞。著書に、『男ともだち』『わるい食べもの』『神様の暇つぶし』『ひきなみ』など多数。
古きを愛し、新しきを迎え入れる、あるがままに。堀田家の暮らす下町に“日英テレビ”のロケ隊がやってくる!?そして迎える、“大引っ越し大会”。そんな慌ただしい日々に飛び込んでくるのは、かつて閉店したお店の謎や、突然の放火疑惑、思いがけない人生の悩みに、大事な家族のメンバーとの別れ…。巡る時代を共にしてきたご近所の仲間たちと、改めて「LOVE」を分かち合う。人気シリーズ待望の第18弾!
コロナ禍の読者に生きるよろこびを伝え、あたたかく励ました、オランダのベストセラー長篇。中年男ヘンクは、離婚して老犬と暮らすICUのベテラン看護師。ある朝、散歩中にへばった老犬を素早く介抱してくれた女性がいた。その名はミア。人生の辛苦を人並みに経験してきたヘンクだが、久々にときめいている自分を発見する。一人の男が生きる喜びを取り戻していく一日をつぶさに描いた愛すべき長篇。リブリス賞受賞作。
ある雨の夜、若い警察官・葉䔥(イエシャオ)の家を、幼馴染の作家の周旋(ジョウシュエン)が訪ねてくる。 周旋は思いつめた様子で、木の小箱を取り出す。ある夜、バスで隣り合わせた血だらけの美しい女性・田園(ティエンユエン)から預かったという。しばらく仕事で上海を留守にしていた周旋が田園を訪ねると、警備員から彼女は心臓発作で亡くなったと告げられた。周旋が自宅に戻ると留守電に彼女のメッセージが入っていた。「あの箱を幽霊旅館に届けて。場所は……」と途中で切れており、発作を起こして電話をかけ、途中で亡くなったと思われた。 周旋は、小箱を届けたいので田園の身元を調べてほしいと葉䔥に頼む。葉䔥が調べてみると、田園は実力と美貌を兼ね備えた伝統演劇の女優で、一時は大変な人気だったが、3年前、公演中に心臓病の発作で倒れ、それ以来ひっそりと暮らしていた。病は悪化し、死を予感して苦しんでいたらしく、精神科にも通院していたことがわかった。 葉䔥の調べで、幽霊旅館は浙江省K市西冷鎮にあることがわかり、周旋は木箱を携えて旅立つ。やがて葉䔥はのもとに、周旋から手紙が届くようになる。幽霊旅館では電気も電話も使えず、近くの集落の郵便ポストから手紙を出すしかないが、旅館で手紙を受け取ることはできないから、一方的に書くことにするというのだ。 そこで語られる幽霊旅館での謎の人々との日々、やがて幽霊騒動が持ち上がり……。幽霊旅館に滞在している人々の事情も正体も二転三転し、誰のいうことが本当なのかわからない。私たち読者は、謎が解けては深まる「藪の中」へと誘われていく! 〈中国のスティーヴン・キング〉と呼ばれる悬疑小说(サスペンス小説)の第一人者にして、累計発行部数1千万部を超える大ベストセラー作家が放つ、巧緻を極めたサスペンスホラー!
俺は転生したんだぞっと。小説を原作としてゲーム化にアニメ化までした『魔導の夜』の世界に、だ。原作の小説こそ途中で飽きてしまったが、ゲーム版はやり込みアニメ版も網羅しているがどうも少し様子がおかしい。そう、俺は転生した。ただしメイン級のキャラクターではなく、ただのモブに。それも本編ストーリーには全く出てこない、もはやモブですらないかもしれないキャラに転生してしまったんだ。両親にも怪しまれないように、ごく普通のモブとしてこの世界を生きようとしてたんだが…。突然、幼稚園で魔物に取り憑かれた同級生の暴走に巻き込まれてしまう!俺でもなんとかなるんじゃないか、と思って戦いを挑むも腕を切られて満身創痍。馬鹿な考えをしたものだ。俺はモブ。明日のニュースで「死んだ幼稚園児」と報道される程度のモブだったのだ。『ジョブを決めてください』ふと、ゲーム開始時に見たことあるメッセージ表示が浮かぶ。生き残るために選んだジョブ『神官』で窮地を脱するが、この選択が意図せずして『魔導の夜』の展開を変えていってしまうのであった。
「ちっくしょぉー! 彼女欲しぃー!!」 いかつい顔に立派な体躯を持ったがゆえに、中学三年間まったくモテずに 過ごしてきた俺。そんな嘆く俺の前に突如現れた謎の女神。 「そんなあなたに朗報です!女性にモテモテの人と、人生を交換してみませんか?」 突拍子の無い女神の提案に困惑しつつも、入れ替わりを決意する俺。 しかし目覚めた先は、男性が極端に少ない世界の日本だったーー!? そんな世界で入れ替わった宗谷武人として戸惑いつつ過ごしながらも、この世界で男性は誰でもモテモテ。故に、モテない女性の心が理解できるのは元・非モテの俺のみ。 それに気づいた武人は周囲の女性を幸せにしようと心に誓うのだが…… 書籍化に伴い、新規エピソードも多数追加!
アンゴラの名手によるめくるめく物語 語り手は一匹のヤモリ。アンゴラの首都ルアンダで、フェリックス・ヴェントゥーラの家に棲みつき、彼の生活を観察している。 フェリックスは、人々の「過去」を新しく作り直すという一風変わった仕事をしている。長年にわたる激しい内戦が終わり、アンゴラには新興の富裕層が生まれつつあるが、すべてを手にしたかに見える彼らに足りないのは由緒正しい家系なのだ。そんな彼らにフェリックスは、偽りの写真や書類を用いて新しい家系図と「過去」を作成して生計を立てている。 ある日、フェリックスのもとを身元不詳の外国人が訪ねてくる。口髭を生やし、古臭い服装をしたその男は、「名前も、過去も、すべて書き換えてほしい」と頼み、大金を積む。フェリックスは悩むが、結局、ジョゼ・ブッフマンという新しい名前をはじめ、すべてを完璧に用意する。彼は大喜びし、以後、足繁く訪ねてくるようになる…… ボルヘス、カフカ、ペソーアを彷彿とさせながら、アンゴラの非情な内戦が残した深い傷痕を、軽妙かつ詩的でミステリアスに綴る。25の言語に翻訳、2007年度インディペンデント紙外国文学賞受賞作。 夜行性の小さな神 家 外国人 声を満載した船 夢 第一番 アルバ ジョゼ・ブッフマンの誕生 夢 第二番 光彩性物質 ヤモリの哲学 幻想 わたしが死ななかった最初の死 夢 第三番 ウィンドチャイム 夢 第四番 エウラリオ、それはわたし 子ども時代に降る雨 生と本とでは 小さな世界 蠍 大臣 厳しい歳月の実り 夢 第五番 実在の人物 あっけない結末 平凡な人生 エドムンド・バラッタ・ドス・レイス 愛、犯罪 ブーゲンビリアの叫び 仮面の男 夢 第六番 フェリックス・ヴェントゥーラ、日記を書きはじめる
1970年代と80年代の東京を背景に、女性との関係を主軸に据え、主人公の知的遍歴、読書と研究の体験を重層的に織り交ぜた小説二篇。「聖処女讃歌」は吉行淳之介の『夕暮まで』を、「鷹の台の黄昏」は田山花袋の『蒲団』を彷彿とさせるものがあり、作者森魚名のダンディズム、「やさしさ」、廉直さがよく表れ、欲望を無理やり発動しない、積極的に対象と関わろうとしないナルシシズム、オナニズム、あるいは孤独なエゴイズムと表裏一体となった物語となっている。作中に「窃視」という言葉も自己言及的に使われているように、この2篇は自分史の体裁をとった「孤独な窃視者の夢想」でもある。 鷹の台の黄昏 聖処女讃歌★ヴァージン・ブルース 自分史を仮構する・森魚名論(谷川渥)
死に取り憑かれた少女たちの誓約(「ミルク・ブラッド・ヒート」)、失った胎児を幻視する母親の安息日(「饗宴」)、教会から追放された女子高生が挑む復讐劇(「天国を失って」)、父の遺灰を捨てるロード・トリップで回帰した記憶(「水よりも濃いもの」)…。ミレニアル世代が描く、女性たちの深き闇と、瑞々しい赦しのとき。ブラック・フェミニズムの新地平。
大沼枕山(文化15年〈1818〉?明治24年〈1891〉)は幕末・明治初期の江戸・東京において活躍 した漢詩人である。枕山は、漢詩人であった大沼竹渓のもとに生まれ、菊池五山ら、江戸の大家のも とで頭角を現し、処女詩集『房山集』を刊行して以降、幕末維新期の漢詩壇を牽引した。 枕山は、とくに小説家の永井荷風との関係から特別な関心を集めてきた詩人である。荷風の外祖父 は儒学者の鷲津毅堂であるが、この毅堂の祖父鷲津松隠と、枕山の父竹渓とは、同じ鷲津幽林を父と する兄弟であった。遠戚でもある枕山に対して、荷風は強い共感を示し、大正13年(1924)に枕山 の半生を描いた「下谷のはなし」を雑誌『女性』に連載、後にこれを増補改稿し、『下谷叢話』(春陽 堂、大正15年〈1926〉)や『改訂 下谷叢話』(冨山房、昭和14〈1939〉年)などの作品を発表し た。荷風に取り上げられたことにより、枕山は、漢文学研究者からだけではなく、近代文学研究者か らも注目される存在となり、様々な考察が重ねられてきた。 この枕山には、研究対象として、もう一つ興味深い特徴がある。それは、彼の生涯をたどるための 資料がきわめて多いという点である。著名な文人であった枕山の手になる稿本や書幅、書翰は各所に 残るが、とくに、枕山の娘嘉年とその夫鶴林、彼らの娘婿である楠荘三郎をはじめとする枕山の遺族 によって、大量の資料の整理と保存が行なわれてきた。近年、枕山の玄孫である大沼千早氏より、こ うした大沼家に伝えられてきた資料のうち、枕山・鶴林宛の書翰などが国立国会図書館に、また、枕 山・鶴林・楠荘三郎の三代にわたる書籍、稿本、書幅、印などが二松学舎大学に寄贈された。これに より、枕山と彼の子孫については、その動向が、より詳細に分かるようになった。 本書は、大沼枕山の漢詩や永井荷風の『下谷叢話』、さらには大沼家の状況や彼らを取り巻く文化 や社会の動きについて考察した論考十篇と、二松学舎大学に寄贈された資料の目録によって構成され ている。枕山の漢詩はどのように評価し得るのか、新たな資料は、枕山や大沼家の理解に何をもたら すのか、近年の大正期の文学研究を踏まえた場合、『下谷叢話』はどのように読み解くことができるの か、本書は、これらの問題に対して新たな知見を示し、従来の枕山研究や、漢文と近代との関係をめ ぐる認識に、更新をもたらそうとするものである。
アダマースの第三王子として成長したシュタールは、ある日突然、前世の記憶が蘇った。自分が転生者であることを自覚すると同時に、ここが乙女ゲームの世界であることにも気付く。もし自分の記憶の通りなら、第三王子は完全なモブキャラであり、重要な役割はなにもない。その意味では気楽だが、チート能力もなく、特別なイベントもない人生が確定していることになる。せめて王族として幸福な道を歩もうかと思った矢先、ゲームの中でも重要な鍵となる女性と接触することに。それは悪役令嬢として破滅に向かう美女プラタだった。しかも彼女は、自分も転生者であるというではないか。プラタから破滅回避への協力を頼まれたシュタールは、その美貌に負け、悪役令嬢三姉妹を救うべく行動を開始する。ゲーム自体の知識を持つ次女プラタとともに、気高き姉であるフリソスや、小悪魔な妹クプルムをなんとか導いていこうとするシュタール。しかし、ゲームそのままの性格である姉妹たちは、なかなか思い通りには動かない。その解決策としてなんと、姉妹たちの快楽堕ちをプラタに提案されたシュタールだったが…。
冴えない毎日の末に事故死した元OLのリンネ。しかしポンコツだった前世から一変、今度の人生は規格外な魔力を授かる。転生後は大魔導士に弟子入りしたリンネだったが、マイペースに魔法を極めているうちに100年が経過! しびれを切らした師匠から「旅に出ろ!」と放り出されたリンネは、どうせならと第二の人生を楽しむことを決意。しかし100年の間に世間では魔法は衰退していたようで…!?
前世で一切悪事を働かず、まっすぐに生きたことを評価され魔法世界に転生したトキヤ。目が覚めると、毛むくじゃらで角が生えた、見たことのない獣ー聖獣に抱きかかえられていた。「-まさか『神樹』から、人間が生まれてくるとは!」ここが聖獣の里だと認識したトキヤは、優しい聖獣たちに囲まれ、にぎやかで平和な日々を過ごす。そんなある日、里を統べるオサの寿命が近いことがわかり、後継者として指名されるトキヤ。「僕よりもっと強い魔法を使える聖獣も、僕よりずっと賢い聖獣もいるのに…」突然のことに困惑するトキヤだが、まずは外の世界を知るため仲良しの聖獣、シラユキとユージーンとともに旅に出ることに…!?旅の途中で神様からもらった時間魔法で発明品を作ったり、冒険者ギルドで依頼をこなして大活躍したり、さらには街の平和を守ったり!?強くて優しい聖獣たちとののんびり異世界旅、いざスタート!
「ちまちまと道具作りしかできないヤツは要らねぇ」ある日突然、パーティーのリーダーからクビ宣告を受けた付与術師のリュージ。そっちがその気なら遠慮なく、と作った魔石をすべて回収してさっさとパーティーを脱退することに。たまたま同じ日に一方的にパーティーを解消され、途方に暮れていた錬金術師のエルフ・レーネ。同じ境遇の二人は、「辺境の港町で一緒に工房を開いて、凄いものを作ろう!」とすぐに意気投合して…!?義妹・ミノリとスズが追いかけてきたり、魔石の力で大量の野菜が採れちゃったり、ひょんなことから知り合った王女と魔獣を倒したりと、新天地でのにぎやかな生活を楽しむリュージたち。一方、リュージの作った魔石がなくなったことで無能となった元パーティーは何やら不穏な動きを見せていて…!?天才付与術師の気まま(?)な辺境ライフ、はじまります!
旦那様が領主を務めていた辺境の地へ家族3人で訪れたナコ。領民たちは若返った旦那様の絶世の美丈夫ぶりに大興奮。旦那様を熱狂的に崇拝する強火同担拒否勢もいて「旦那様にはわたしだけ! 異論は認めん!」と警戒態勢に。しかしそんな矢先、エリオットに特殊能力が発現! 緊張が走る中、その扱いをめぐってナコは初めて旦那様と喧嘩をしてしまい!?
家族から虐げられ厄介者扱いされてきたリーズに、突然美貌の第四王子・ノランとの縁談が持ち上がる。彼はリーズに一目惚れし、結婚するために王子の称号まで捨てたというがーーノラン様だなんてお会いしたこともないんですけど!? こうなったら結婚話の裏を探ってやる! そう意気込むも、彼の優しさを知るにつれ心引かれていく。そんなとき、彼が抱えている重大な秘密を知ってしまい!?
私は、最愛の娘を凌辱した挙げ句に殺した犯人をー許せなかった。少年法に守られて、極刑にもならずに、今ものうのうと生きている、あの鬼畜、あの悪魔。娘のいない人生など、何の価値もなかった。私自身は、どうなってもよかった。だから包丁を握りしめ、メッタ刺しにして殺してやったのだ…、罪にふさわしい罰を与えてやったのだ…!しかし、我に返った私は復讐の決行を決意した瞬間まで引き戻されていた。何度殺しても、何度殺しても、時計は先に進まないー。
俺の名はグラン。 前世の記憶を持ったまま"勇者"となって転生したが、手持ちのスキルはどれも器用貧乏なBクラス冒険者だった。 しかし、どうもこの世は平和な世界のようなので、思い切って辺境でスローライフを始めることにした。 チート? 俺TUEEE? そんなものはない! そんな事より美味い飯が食いたい。