小説むすび | 2023年6月2日発売

2023年6月2日発売

濁る瞳で何を願う3 ハイセルク戦記濁る瞳で何を願う3 ハイセルク戦記

出版社

講談社

発売日

2023年6月2日 発売

ハイセルク帝国の滅亡ー。戦友も、故郷も、祖国である帝国すらも失った転生者・ウォルムは失意に沈んでいた。夜となく昼となく酒場に入り浸り、ただただ酒気と紫煙に溺れる日々。無為な時を過ごす一方で、大鬼王の魔眼を移植した拒否反応によりウォルムの身体は着実に蝕まれていた。闘争の末に濁った瞳は遠くない未来に光を失う。当座の治療費を獲得するため、ウォルムは忌み嫌う戦争に傭兵として参加することを決意する。そこで隣国の争いに再起を図る帝国の残滓も参戦するという噂を掴む。ウォルムは出陣前の軍事演習を経て、ふたりの少年兵と行動を共にする。彼らにかつての分隊員の影を重ね、時に振り回されながら感情を取り戻していく。どうしようもない郷愁と後悔を抱えながら。そして、訪れる開戦の時ー。若き戦友たちと故国の同胞の危機を前に、ウォルムは焼け付く眼の痛みに耐えながら、封印していた“鬼火”の力を解放する。亡国の転生者の物語、いま新たな展開へー。「小説になろう」が誇る戦記譚、第3集。

日蝕日蝕

ジョージ・オーウェルが「傑出した小説」と絶賛した。75年ぶりに発見されたドイツ語原本からの初翻訳。 かつて革命の英雄であった主人公ルバショウは、絶対的な権力者「ナンバー・ワン」による粛清の標的にされ、でっち上げられた容疑で逮捕・投獄される。隣の独房の囚人と壁を叩いた音によって会話し、これまでの半生を追想するうちに、革命家としての自分の行動の正当性に対する確信が揺らぎ始める。取り調べを受ける中でルバショウは、犯してもいないグロテスクな罪を自白していく。 アンチ・ユートピア小説であり、ザミャーチンの『われら』、ハクスレーの『うるわしき新世界』、オーウェルの『一九八四年』、そしてブラッドベリの『華氏四五一度』と比較し得る。残念なことに、これらはいずれも、今日に至るまでその現実性を少しも失っていない二十世紀からの警告の声である。(ドイツ語版序文、マイケル・スキャメル) スターリン専制下のソビエト連邦で一九三〇年代後半に行われたモスクワ裁判の犠牲者をモデルとした政治小説である。それと同時に、ドストエフスキーの『罪と罰』や『悪霊』や『カラマーゾフの兄弟』の系譜を受け継ぎ、政治と倫理の問題をめぐる議論の交わされる観念小説でもある。さらには、全体主義的な体制下の監獄で、一人で戦わねばならなかった孤独な人間の心の動きを丹念に追ったサスペンスタッチの心理小説でもある。(「訳者あとがき」より)

終わりのない日々終わりのない日々

語り手は、十九世紀半ばの大飢饉に陥ったアイルランドで家族を失い、命からがらアメリカ大陸に渡ってきたトマス・マクナルティ。頼るもののない広大な国でトマスを孤独から救ったのは、同じ年頃の宿無しの少年ジョン・コールだった。美しい顔立ちに幼さの残る二人は、ミズーリ州の鉱山町にある酒場で、女装をして鉱夫たちのダンスの相手をする仕事を見つける。初めてドレスに身を包んだとき、トマスは生まれ変わったような不思議な解放感を覚える。やがて体つきが男っぽくなると、二人は食いっぱぐれのない軍隊に入り、先住民との戦いや南北戦争をともに戦っていくーー。 西部劇を彷彿とさせる銃撃戦、先住民の少女と育む絆、はらはらする脱走劇、胸に迫る埋葬場面などが、勇敢な兵士でありながら女としてのアイデンティティーに目覚めたトマスによって、生き生きと語られる。 カズオ・イシグロは、「一言一句にいたるまでこれほど魅力的な一人称の語りには数年来出会ったことがない」と、本書に賛辞を寄せている。個性的な〈声〉の力強さと詩的な響きに満ちた、「西部小説」再興を示す傑作長篇。

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