2023年6月発売
ハイセルク帝国の滅亡ー。戦友も、故郷も、祖国である帝国すらも失った転生者・ウォルムは失意に沈んでいた。夜となく昼となく酒場に入り浸り、ただただ酒気と紫煙に溺れる日々。無為な時を過ごす一方で、大鬼王の魔眼を移植した拒否反応によりウォルムの身体は着実に蝕まれていた。闘争の末に濁った瞳は遠くない未来に光を失う。当座の治療費を獲得するため、ウォルムは忌み嫌う戦争に傭兵として参加することを決意する。そこで隣国の争いに再起を図る帝国の残滓も参戦するという噂を掴む。ウォルムは出陣前の軍事演習を経て、ふたりの少年兵と行動を共にする。彼らにかつての分隊員の影を重ね、時に振り回されながら感情を取り戻していく。どうしようもない郷愁と後悔を抱えながら。そして、訪れる開戦の時ー。若き戦友たちと故国の同胞の危機を前に、ウォルムは焼け付く眼の痛みに耐えながら、封印していた“鬼火”の力を解放する。亡国の転生者の物語、いま新たな展開へー。「小説になろう」が誇る戦記譚、第3集。
感染症研究者の岸辺弘は、鳥インフルエンザウイルスの変異実験が成功したというニュースを目にする。時を同じくして飛び込んできた、新型ウイルスによる死亡例の報告。自然発生か、はたまた人の手によるものか。起こりうる未来へ警鐘を鳴らす、社会派医療小説。
かつて革命の英雄であった主人公ルバショウは、絶対的な権力者「ナンバー・ワン」による粛清の標的にされ、でっち上げられた容疑で逮捕・投獄される。隣の独房の囚人と壁を叩いた音によって会話を交わし、これまでの半生を追想するうちに、革命家としての自分の行動の正当性に対する確信が揺らぎ始める。取り場べを受ける中でルバショウは、でっち上げられたグロテスクな罪を自らの意思で自白していく。
友人、恋人、家族もいない孤独なサラリーマン山岸遥(43)。感情を表に出すことが苦手で、人と付き合うことを避ける内に、枯れたおじさんになっていた。しかし、ある日目を覚ますとそこは異世界。さらに、美しいダークエルフの女性になっていた!? 内気な性格のハルカは、鋼の肉体、圧倒的な魔法力を持ちながらもウジウジウジウジ。 そんな彼女(彼)だったが、二回り以上歳の離れた同期冒険者たちとパーティを組み、徐々に異世界に順応し始める── 人間関係を諦めたおじさんが、新しい自分として異世界で心を成長させていく、歪だけど王道な冒険の物語が幕を開ける!
1学期の期末試験を終え、黎星学園は夏休みへ突入。ゆったり過ごす間もなく、1、2年生が参加するオリエンテーリングの責任者として奮闘する陽斗。そして8月には辛い生活を送っていた時、味方になってくれた人たちへ感謝を伝えたいと食事会をセッティング。恩人たちとの再会に、陽斗は胸を熱くする。イベント盛りだくさんの一方、急遽帰国した皇重斗の妹、桜子の登場で陽斗の甘やかされ生活が、さらに加速することになる!?
語り手は、十九世紀半ばの大飢饉に陥ったアイルランドで家族を失い、命からがらアメリカ大陸に渡ってきたトマス・マクナルティ。頼るもののない広大な国でトマスを孤独から救ったのは、同じ年頃の宿無しの少年ジョン・コールだった。美しい顔立ちに幼さの残る二人は、ミズーリ州の鉱山町にある酒場で、女装をして鉱夫たちのダンスの相手をする仕事を見つける。初めてドレスに身を包んだとき、トマスは生まれ変わったような不思議な解放感を覚える。やがて体つきが男っぽくなると、二人は食いっぱぐれのない軍隊に入り、先住民との戦いや南北戦争をともに戦っていくーー。 西部劇を彷彿とさせる銃撃戦、先住民の少女と育む絆、はらはらする脱走劇、胸に迫る埋葬場面などが、勇敢な兵士でありながら女としてのアイデンティティーに目覚めたトマスによって、生き生きと語られる。 カズオ・イシグロは、「一言一句にいたるまでこれほど魅力的な一人称の語りには数年来出会ったことがない」と、本書に賛辞を寄せている。個性的な〈声〉の力強さと詩的な響きに満ちた、「西部小説」再興を示す傑作長篇。
高校生の悠真は、学校帰りに幼なじみの澪と歩いていたら突然足下が光り、気づけば異世界にいた。聖女として召喚された澪に巻き込まれて!しかも澪はチート能力を得たのに、悠真は魔力皆無で平凡男子のままだった。そんな悠真の後見人になったのは、魔道騎士のアルフレッド。彼の保護下での生活はいたれり尽くせりでーどうなることかと思った異世界だけれど、居心地は案外悪くもない?チート騎士×おまけの平凡男子の異世界溺愛BL、書き下ろし番外編も収録して待望の書籍化!!
学園祭の準備もいち段落し、ヒロインであるフォリアが故郷に戻ったところでスタンピードが発生!害獣の群れが教会に押し寄せる。ラゼは急ぎ駆けつけるが、フォリアは回復魔法を覚醒させて窮地を脱していた!彼女の“覚醒”は友人カーナの破滅条件であり、それはすなわちラゼの潜入任務失敗のフラグでもあったのに…。自分の失態をカバーするために、バトルフェスタではミッション完遂に挑むラゼ。そして迎えた学園祭では、帝国の“先読みの巫女”と謳われる転生者が「あなた、シナリオの邪魔なのよね!」と接触してきてー!前世知識と軍人としての技能をフル活用したら、これらのミッションを乗り越えられますか?軍人ラゼの異世界転生ラブコメディ第4弾♪
【大人気シリーズ待望の2巻!】 「愛妾が懐妊した、離婚してくれ」--魔道具開発者として能力を搾取されてきたロザリア。初夜もないまま結婚6年目を迎えるが、名ばかりの妃生活はあっけなく終了する。しかし、ようやく自由を手にしたロザリアの心は羽のように軽かった!--執事のアレスとともに竜人国でのセカンドライフをスタートさせると、アレスは実は竜人国の王太子であることが判明! 今までの時間を埋めるように溺愛猛攻が始まって…!? 愛される幸せを知り、平和な暮らしを楽しむロザリア。素材採取も兼ね、アレスと旅行に行くことになり…。
「敵国と通じるような悪女は追放する!」--家のため、幼い頃から魔法も学問も完璧にこなし王子の婚約者となったメリルリア。しかし義妹にハメられ、国を裏切った女として追放されてしまう。すべてを失ったメリルリアは、敵国で思うままに暮らすことを決意してーー。その類まれなる知識量と新たに生み出した魔法を用いて次々と敵国の内政改革を行っていくメリルリア。その才媛っぷりに、当初メリルリアを警戒していた敵国の王太子も興味を示しだす。一方で、彼女を裏切った元婚約者と義妹は追い詰められていき…。
従姉だけが可愛がられ、家族に虐げられて育った令嬢・ローズ。聖女として規格外の力を持ちながらも、揉めごとを避けるためひっそり暮らしていた。そんなある日、おさがりのドレスで参加したパーティーで、その能力を隣国の王子・ジェイクに見抜かれてしまい…!? 「迎えに来た、俺の花嫁よ」--強引にジェイクの婚約者候補として迎えられたローズは、最初は戸惑うも能力を存分に発揮! 精霊たちに愛されながら、第二の人生を謳歌する。一方、ローズを失い力がなくなった祖国は危機に瀕しているようで…。
元アラサーOLのアイリスは乙女ゲームの悪役令嬢に転生してしまう。現在王太子と婚約中のアイリスだが、シナリオだと子爵令嬢と浮気した王太子から婚約破棄を突きつけられる運命ーー。それなら魔獣研究所の仕事に精を出そうと思っていたけれど、最近いつも親切にしてくれる同僚・ラースの様子がどうもおかしい。そんなある晩、アクシデントでラースの部屋に行くとアイリスはとんでもないものを目撃…!?さらにラースは身分を隠した王子であることが判明して…!? 「アイリスが愛おしくて仕方ないんです」 その晩をきっかけに、ラースの態度は急変!執着愛をぶつけられ、初心なアイリスはタジタジになるばかりで…。【紳士なフリした執愛王子×婚約破棄された悪役令嬢】遠慮なしの溺愛に拒否権はない!?こじらせ甘々ラブファンタジー、開幕!
魔力が少なく、聖女候補になれなかった令嬢・アルテミラ。おまけに伯爵子息から婚約破棄までされ、「崖っぷち令嬢」の称号を背負い田舎に帰ろうとするがーー「俺と一緒に宮殿に来い、お前でなければダメだ」なぜか腹黒王太子・ヴァレンスが訪ねてきて…!? 聖女嫌いのヴァレンスは、能力がないアルテミラを聖女に据えたいのだという。強制的に召し上げられ、王宮でヴァレンスのお抱えとなったアルテミラ。ポンコツな自分のことを利用するだけだと思っていたのに、ヴァレンスの様子がなんだかおかしくて…!? 「俺のものに手を出すな」 「ずっとこうして触れてみたかった」 独占愛を隠すことなく、日に日に加速していく求愛猛攻! 最初は戸惑うアルテミラだったが、甘すぎる溺愛に抗えなくなり…!? 巻き込まれ体質の崖っぷち令嬢×独占欲強めな王太子の焦れ甘ラブファンタジー!
新感覚! 名著×ホラーミステリ! カバーイラストは人気絵師・ろるあさん! 小説紹介クリエーター・けんごさんの作品解説付き! 教科書に載る誰もが知る あの名作が現在に舞台を遷し、 奇怪な物語として蘇る! 国民的ベストセラーが持つDNAを 次世代の小説家がさらに 進化させた第一級のホラーミステリ。 謎解き、考察…。どんでん返し! 読書に馴染みのない方も ぐいぐい一気に引き込まれる! 1話10分で読めるから 朝読やスキマ時間におすすめ! 原作名著も併せて読むと2倍楽しめます! <名著が奇変! 本書の収録作品> ●「SNSの中の手紙」 柊サナカ Feat.葉山嘉樹『セメント樽の中の手紙』 ●「影喰い」 奥野じゅん Feat.谷崎潤一郎『陰翳礼賛』 ●「Under the Cherry Tree」 相川英輔 Feat. 梶井基次郎『櫻の樹の下には』 ●「カムパネルラの復讐」 明良悠生 Feat. 宮沢賢治『銀河鉄道の夜』 ●「せりなを書け」 大林利江子 Feat. 太宰治『走れメロス』 ●「山月奇譚」 山口優 Feat.中島敦『山月記』
日本の文学表現に漢文学が果たした役割とは。 「院政期から鎌倉時代にかけて、日本漢詩を特徴づけるのは、句題詩と無題詩という二つの詠法であるーー」という一文ではじまる、日本中世漢文学研究における名著の補訂版。 そのときどきに中国文学の新たな潮流を受け止めた日本の漢文学は、それらを血肉として、より広いジャンルへその栄養を供給していく。その営為こそが、それぞれの時代の日本文学の「全き姿」である。本書は、日本の文学表現の源流を丁寧に掘り起こしていくものである。 本書は2006年に若草書房より刊行された『詩のかたち・詩のこころー中世日本漢文学研究ー』の補訂版です。 【句題詩に代表される平安漢文学の成果が、中世文学の豊かな表現の一源泉となったように、禅林の文学もまた、次代の文学、仮名草子・俳諧に始まる近世文学の中に入り込んでいく。これには、中世にはなかった要素、すなわち商業出版の発達も大きく貢献している(本書第一八章・第一九章参照)。 このようにそのときどきに中国文学の新たな潮流を受け止めた日本の漢文学は、それをよく咀嚼し(初学書を中心とした読解・注釈)、自分たちの血肉として(詩文の創作)、より広いジャンルへとその栄養を供給していった。それらの営為を含めた文学活動の総体こそが、それぞれの時代の日本文学の全き姿なのである(本書第一五章・第一九章参照)。】……「総説」より 総説 中世漢文学概観ーー詩を中心にーー 一 句題詩をめぐって 二 鎌倉時代の漢文学 三 禅林の文学 (一)鎌倉から室町へ (二)日本化の時代 (三)文化の広がり (四)二つの視点からーーその一、『三体詩』をめぐって (五)二つの視点からーーその二、一休という問題 (六)禅林という場 四 漢文学の役割 第一部 院政期・鎌倉時代 第一章 句題詩の詠法と場 第二章 『本朝無題詩』試論ーー句題詩との対比からーー 第三章 『元久詩歌合』についてーー「詩」の側からーー 第四章 新古今時代の漢文学ーー真名序を中心にーー 第五章 『真俗擲金記』小論 第六章 詩懐紙通観 第二部 南北朝・室町時代 第七章 瀟湘八景詩について 第八章 足利直義ーー政治・信仰・文学ーー 第九章 「等持院屏風賛」について 第一〇章 「大慈八景詩歌」について 第一一章 絶海中津小論 第一二章 『狂雲集』小論 第一三章 『自戒集』試論ーー詩と説話のあいだーー 第一四章 『三体詩』注釈の世界 第一五章 『新選集』『新編集』『錦繍段』 第一六章 中世禅林における白居易の受容 第一七章 『倒痾集』試論 第一八章 こぼれ咲きの花々--禅林ゆかりの小作品群ーー 第一九章 中世から近世へーー漢籍・漢詩文をめぐってーー 再刊に際しての補足(初版訂正およびその後の研究状況について) あとがき 補訂版あとがき 初出一覧 索引
文化五年の冬、永代橋のたもとに次々と水死体があがっていた。その原因は前年の落橋事故の犠牲者による呪いなのか、あるいは……。祓い手である夜次と祈り手の永月、二人の呪祓師がその謎を解明するために動き出す。 「永代の落橋」「八幡山の破れ障子」「仙台堀血染めの下駄」ほか「深川七不思議」にまつわる七つの怪事件と、呪祓師たちをめぐる数奇な運命が交錯する、時代ファンタジー小説の新境地。 不思議の一 永代の落橋 不思議の二 八幡山の破れ障子 不思議の三 仙台堀血染めの下駄 不思議の四 高橋の息杖 不思議の五、六 閻魔堂橋恨みの縄/木場の錆槍 不思議の七 六万坪の怪火
死の運命を回避するため、聖人を目指すセリム。善行でレベルを上げると、野生動物に懐かれ、街の人々から拝まれるように。やりなおしの原因である悪魔の侵攻が本格化し、魔人による被害が国中で拡大。セリムは仲間たちと悪魔の力の温床を浄化していく。だが悪魔の魔の手は、王女ラファエラに迫っていたー。聖人が世界の闇を浄化する第2巻!