小説むすび | 2023年6月発売

2023年6月発売

濁る瞳で何を願う3 ハイセルク戦記濁る瞳で何を願う3 ハイセルク戦記

出版社

講談社

発売日

2023年6月2日 発売

ハイセルク帝国の滅亡ー。戦友も、故郷も、祖国である帝国すらも失った転生者・ウォルムは失意に沈んでいた。夜となく昼となく酒場に入り浸り、ただただ酒気と紫煙に溺れる日々。無為な時を過ごす一方で、大鬼王の魔眼を移植した拒否反応によりウォルムの身体は着実に蝕まれていた。闘争の末に濁った瞳は遠くない未来に光を失う。当座の治療費を獲得するため、ウォルムは忌み嫌う戦争に傭兵として参加することを決意する。そこで隣国の争いに再起を図る帝国の残滓も参戦するという噂を掴む。ウォルムは出陣前の軍事演習を経て、ふたりの少年兵と行動を共にする。彼らにかつての分隊員の影を重ね、時に振り回されながら感情を取り戻していく。どうしようもない郷愁と後悔を抱えながら。そして、訪れる開戦の時ー。若き戦友たちと故国の同胞の危機を前に、ウォルムは焼け付く眼の痛みに耐えながら、封印していた“鬼火”の力を解放する。亡国の転生者の物語、いま新たな展開へー。「小説になろう」が誇る戦記譚、第3集。

終わりのない日々終わりのない日々

語り手は、十九世紀半ばの大飢饉に陥ったアイルランドで家族を失い、命からがらアメリカ大陸に渡ってきたトマス・マクナルティ。頼るもののない広大な国でトマスを孤独から救ったのは、同じ年頃の宿無しの少年ジョン・コールだった。美しい顔立ちに幼さの残る二人は、ミズーリ州の鉱山町にある酒場で、女装をして鉱夫たちのダンスの相手をする仕事を見つける。初めてドレスに身を包んだとき、トマスは生まれ変わったような不思議な解放感を覚える。やがて体つきが男っぽくなると、二人は食いっぱぐれのない軍隊に入り、先住民との戦いや南北戦争をともに戦っていくーー。 西部劇を彷彿とさせる銃撃戦、先住民の少女と育む絆、はらはらする脱走劇、胸に迫る埋葬場面などが、勇敢な兵士でありながら女としてのアイデンティティーに目覚めたトマスによって、生き生きと語られる。 カズオ・イシグロは、「一言一句にいたるまでこれほど魅力的な一人称の語りには数年来出会ったことがない」と、本書に賛辞を寄せている。個性的な〈声〉の力強さと詩的な響きに満ちた、「西部小説」再興を示す傑作長篇。

名著奇変名著奇変

新感覚! 名著×ホラーミステリ! カバーイラストは人気絵師・ろるあさん! 小説紹介クリエーター・けんごさんの作品解説付き! 教科書に載る誰もが知る あの名作が現在に舞台を遷し、 奇怪な物語として蘇る!  国民的ベストセラーが持つDNAを 次世代の小説家がさらに 進化させた第一級のホラーミステリ。 謎解き、考察…。どんでん返し!  読書に馴染みのない方も ぐいぐい一気に引き込まれる! 1話10分で読めるから 朝読やスキマ時間におすすめ! 原作名著も併せて読むと2倍楽しめます! <名著が奇変! 本書の収録作品> ●「SNSの中の手紙」  柊サナカ      Feat.葉山嘉樹『セメント樽の中の手紙』 ●「影喰い」  奥野じゅん   Feat.谷崎潤一郎『陰翳礼賛』 ●「Under the Cherry Tree」  相川英輔   Feat. 梶井基次郎『櫻の樹の下には』 ●「カムパネルラの復讐」  明良悠生     Feat. 宮沢賢治『銀河鉄道の夜』 ●「せりなを書け」  大林利江子      Feat. 太宰治『走れメロス』 ●「山月奇譚」  山口優    Feat.中島敦『山月記』

詩のかたち・詩のこころ詩のかたち・詩のこころ

出版社

文学通信

発売日

2023年6月2日 発売

ジャンル

日本の文学表現に漢文学が果たした役割とは。 「院政期から鎌倉時代にかけて、日本漢詩を特徴づけるのは、句題詩と無題詩という二つの詠法であるーー」という一文ではじまる、日本中世漢文学研究における名著の補訂版。 そのときどきに中国文学の新たな潮流を受け止めた日本の漢文学は、それらを血肉として、より広いジャンルへその栄養を供給していく。その営為こそが、それぞれの時代の日本文学の「全き姿」である。本書は、日本の文学表現の源流を丁寧に掘り起こしていくものである。 本書は2006年に若草書房より刊行された『詩のかたち・詩のこころー中世日本漢文学研究ー』の補訂版です。 【句題詩に代表される平安漢文学の成果が、中世文学の豊かな表現の一源泉となったように、禅林の文学もまた、次代の文学、仮名草子・俳諧に始まる近世文学の中に入り込んでいく。これには、中世にはなかった要素、すなわち商業出版の発達も大きく貢献している(本書第一八章・第一九章参照)。  このようにそのときどきに中国文学の新たな潮流を受け止めた日本の漢文学は、それをよく咀嚼し(初学書を中心とした読解・注釈)、自分たちの血肉として(詩文の創作)、より広いジャンルへとその栄養を供給していった。それらの営為を含めた文学活動の総体こそが、それぞれの時代の日本文学の全き姿なのである(本書第一五章・第一九章参照)。】……「総説」より 総説 中世漢文学概観ーー詩を中心にーー 一 句題詩をめぐって 二 鎌倉時代の漢文学 三 禅林の文学 (一)鎌倉から室町へ (二)日本化の時代 (三)文化の広がり (四)二つの視点からーーその一、『三体詩』をめぐって (五)二つの視点からーーその二、一休という問題 (六)禅林という場 四 漢文学の役割 第一部 院政期・鎌倉時代 第一章 句題詩の詠法と場 第二章 『本朝無題詩』試論ーー句題詩との対比からーー 第三章 『元久詩歌合』についてーー「詩」の側からーー 第四章 新古今時代の漢文学ーー真名序を中心にーー 第五章 『真俗擲金記』小論 第六章 詩懐紙通観 第二部 南北朝・室町時代 第七章 瀟湘八景詩について 第八章 足利直義ーー政治・信仰・文学ーー 第九章 「等持院屏風賛」について 第一〇章 「大慈八景詩歌」について 第一一章 絶海中津小論 第一二章 『狂雲集』小論 第一三章 『自戒集』試論ーー詩と説話のあいだーー 第一四章 『三体詩』注釈の世界 第一五章 『新選集』『新編集』『錦繍段』 第一六章 中世禅林における白居易の受容 第一七章 『倒痾集』試論 第一八章 こぼれ咲きの花々--禅林ゆかりの小作品群ーー 第一九章 中世から近世へーー漢籍・漢詩文をめぐってーー 再刊に際しての補足(初版訂正およびその後の研究状況について) あとがき 補訂版あとがき 初出一覧 索引

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