2023年7月3日発売
夜の街を流離う青年。あてもなく。何かを求めるように。朧げな電燈に照らされたそこで、哀しき殺人者の姿を見た。ナイフが彼の心臓をとらえ、僕の目の前で彼は死んだ。人が死ぬという瞬間を初めて見た。深淵に滴る朱殷にどうしようもなく惹きつけられた。その美しさに夢を見たような気がした。霞んでいた星が初めて輝いて見えたような気がした。生命の螺旋が解けるとき、僕はとろけるほどの快楽に満たされる。生きること。生きていること。たったそれだけのことが。たったそれだけのことなのに。たまらなく苦しいと感じてしまうのはなぜだろうか?これは、純粋な悪に陶酔した青年の物語。
あなたの知らない日本漢詩の世界が見えてくる!日本の古典和歌の世界は『万葉集』や『古今集』以下の歌集によって広く知られているが、漢詩の世界、ことに古代・中世のそれについてはほとんど一般には知られていない。だが、実はその時代は漢詩が重んじられ詠み継がれていたのだった。天皇・貴族・僧侶・武士といったそれぞれの階層に在った、苦悩する孤独な詩人たちの運命とその作品を物語る一冊。『詩人たちの歳月ー漢詩エッセイー』の続篇、いまここに!
「ときが来たら必ず迎えに来る。それまで僕を待っていて」事故で亡くなったヴァルタルが、ついに迎えに来てくれた夜。天の国で彼と幸せになれると、甘美な愛撫に身を委ねてレーナは幸せだった。しかし、ヴァルタルが本当は生きていて、実は王弟なのだと知らされた!ヴァルタルはレーナを絶え間なく溺愛し、求婚の手を緩めない。一緒にいられるのは嬉しいけれど、王弟殿下との結婚を受け入れるわけにはいかなくて!?
ごくごく普通の主婦として暮らす和葉はある日突然「勇者召喚」され、異世界へ。45歳のおばちゃんじゃ戦えないし、と思いきや、14歳の姿(しかもジャージ)に若返っていた!?しかもカズハが武器として顕現させたのは「あのハンマー」だったが、持ち上げることすらできぬ始末。他メンバーが訓練で実力を上げていく中、食堂で働くことに居場所を見出そうとしてしまう。しかし、魔族の襲撃がきっかけで戦闘の才能を開花。オムライスやプリン、から揚げを作りながら勇者として成長していくおばちゃんから目が離せない!
「お前には『呪われ辺境伯』との婚姻を命ずる!」ありもしない罪によって婚約破棄を告げられた侯爵令嬢ルシル。気を失った彼女が見たのは、自らが大罪人として処刑される未来の予知夢だった。しかし、同時に前世ー世界一の愛され猫リリーベルの記憶を取り戻したルシルは、心を閉ざした呪われ辺境伯フェリクスとの婚約生活をひとまず満喫することに。「予知夢によるとフェリクス様に運命のヒロインが現れる?ふふん、それってとっても素敵なことじゃない?」持ち前の超ポジティブな性格と、前世の飼い主ー大魔女、世紀の錬金術師、勇者などから引き継いだ能力で、いつしか周囲の人々を救っていく。やがて明らかになる前世の飼い主たちの秘密。そしてフェリクスが抱える呪いの正体とはー?読めばきっとあなたも前向きになる。元悪女が婚約ライフ(仮)を駆け抜ける、ハートフルラブコメディ。
毎朝3分の『ラブラブ奥さん』を演じる必要がなくなったノイシャは、聖女の力を使い【うさちゃん仮面】として、新たに下水道の管理をすることになった。教会で過ごしていた頃とは違い、労働時間はこれまで同様に3分だけー誰かの役に立ち、ぐーたら生活を続けられてやっほい!!と幸せな日々を送るノイシャ。そんなある日、水路の点検中に行き倒れている男の人を拾ってしまう。彼の名はアスラン=ジョゼ=アルノード。アルノード王国の次期国王であり、リュナンの従兄だと判明する。その後、屋敷に滞在するアスラン殿下をもてなすことになったノイシャは、一緒にお散歩して、お昼寝して、おやつを食べて、お風呂に入ろうとして…!?一方、アスラン殿下は世間知らずな聖女を嫁に迎える算段を立てておりー
アムステルダム運河で謎の死を遂げた考古学者。その死に疑問を抱く青年は真実を求め、紺碧のティレニア海を渡って南イタリアへ向かう。様々な思惑が入り乱れるカプリ島に嵐警報発令!第一回クロスド・レッド・ヘリング賞受賞作。