2024年3月発売
店舗の屋上で野菜を育てる秋葉原さん。秋葉原さんと高齢結婚をした刺し子姫。独特な敬語を使う女子大生マーシーとその友達パティ…。30年ぶりにアメリカから帰国した大学教員の沙希が出会ったのは、ここ、うらはぐさ地区に縁のある、多様な人々だった。新しい時代の絆を描く、土地が人をむすぶ群像劇。コロナ下で紡がれる人と人とのゆるやかなつながり、町なかの四季やおいしいごはんを描く長編小説。
脈々と受け継がれてきたサラブレッドの血統とホースマンたちの熱き想い。北海道浦河町で競走馬の生産牧場を営む三上収、徹の親子は確信していた。毎年パリで開催される世界最高峰のレース「凱旋門賞」の舞台で力を発揮できるのは、ステイゴールドの血統に違いないー。目指すは、日本競馬界の悲願である凱旋門賞制覇。生産者、厩務員、調教師、馬主、ジョッキー…ホースマンたちが一頭のサラブレッドを信じ、その夢を託す。
名主の書役として暮らすお麓の閑居へ、能天気なお菅と、派手好きなお修が転がり込んできた。ふたりとも、いわば幼馴染である。お麓は歌を詠みながら安穏の余生を送ろうとしていたのだがー。ある日、お菅が空地で倒れた女と声が出せない少女を見つけてきた。厄介事である。お麓にとって悪夢のような日々が始まった。直木賞作家が描く痛快時代小説。
幕府直轄の出羽の島に、なぜ蝦夷地の赤い花が?その島では曇って海が霞んで見える日に、怪異な浮き物が沖合に現れる。幕閣が江戸から送り込んだ若き藩主たちがその正体に迫った時ー文化文政の世、幕府の威光に陰りが見え始めた世情を照らし出す、時代ミステリー。第15回日経小説大賞受賞。
天国で何不自由なく暮らしているトオルのもとに舞い込んできた、人生やり直しのチャンス。死に別れた最愛の妻に指輪を手渡すべく、GTRを賭けた「禁断のクイズ大会」に参加することにートオルは無事に元の世界へ戻ることができるのか。そして、最後に明かされる衝撃の事実とは。表題作「GTR(天使のように僕は死んだ)」ほか、ユーモアたっぷりな全4編を収録。
源氏物語に傾倒した現代の女官がつづる京都滞在の日記物語。主人公は皇族の若い女宮さま、乗り越える壁はマスコミ・バッシング。国民的議論の呼び水にもなるよう、提起と私論も織り込み。大阪の出版社による京ことばと大阪弁がたびたび顔を出す展開。
気が付くと鬱ゲームの世界のアドマト公爵家嫡子フェゼとして転生していた主人公。しかし、前世の記憶だとフェゼは死の運命を辿るキャラクターだった。そんな結末を避け、生きて元の世界に帰還するべく、異界に通じるとされる開天神代の魔法具を入手するためにダンジョン攻略に挑む。さらに資金を稼ぐためマモン商会で出会ったネイを誘ってビジネスを始めたり、やがては戦争も起こす羽目にー!!生きるためならどんな手段も厭わない主人公による、異世界攻略ファンタジー開幕!
郵便配達をしていた俺は故郷の「くに」から逃げてきた。妻のカルラと幼い息子とともに「島」で不法滞在している。買い物をした帰りに乗っていた地下鉄が故障で止まってしまい、右も左もわからない場所で降ろされてしまった一家。なんとか家にたどり着こうとあれこれ画策するが、やることなすことすべてが裏目に出てー。周囲から存在を認められず、無視され続ける移民の親子は、果たしてどうなるのか?
遙香が閉じこもる狭い部屋に、アンネ・フランクたちが突然現れる。そして強引に住み着いていく。アンネたちはここで奇跡を待つのだと言う。当惑し混乱し反発する遙香。だが、やがて遙香とアンネとのあいだに深い友情が芽生えていく。閉ざされた遙香の心が動き出す。絵本・児童文学研究センター主催、第25回児童文学ファンタジー大賞奨励賞受賞作。
戦禍に苦しむ世界の子どもたちへ、届けよう、比嘉正子の「愛」を。敗戦直後の日本で、時の権力GHQと対等の関係を築き、戦後復興と生活者のための活動をつづけた女性がいた。彼女の名は「比嘉正子」。戦後の消費者運動の生みの親でもある。一人の女性が、政府・財界と対峙して、しなやかに誇り高く闘い抜いた原動力は、すべての人への「愛」だった。2025年3月比嘉正子生誕120年を迎える。今、戦禍に苦しむ世界の子どもたちへ、届けよう、比嘉正子の「愛」を…。
2123年10月1日、九州の山奥の小さな家に1人住む、おしゃべりが大好きな「わたし」は、これまでの人生と家族について振り返るため、自己流で家族史を書き始める。それは約100年前、身体が永遠に老化しなくなる手術を受けるときに父親から提案されたことだった。かいていったらなっとくできるかな、わたしは人生をどうしようもなかったって。いやだったこと、いたかったこと、しあわせだったこと、あいしたこと、一生わすれたくないとねがったこと。老いない身体を手に入れた彼女の家族史。
これは、捨てる!あれも…捨てる?溢れかえる洋服、本、フィギュア、溜め込んだ非常食、密かに隠した写真に手紙…。他人事ではありません!身内の身の回りを“断捨離”しようとする人たちの、右往左往に大共感の連作小説。
「ワぁ、ゴッホになるッ!」1924年、画家への憧れを胸に裸一貫で青森から上京した棟方志功。しかし、絵を教えてくれる師も、画材を買うお金もない。その上、弱視のせいで遠近感をうまく表現できず、帝展に落ち続ける日々。そんな彼が辿り着いたのが木版画だった。「板画」が引き金となり、棟方は日本の、世界の版画界を劇的に変えていく。棟方と苦楽を共し、支えた妻・チヤ。無尽の愛と激動の時代を描く、待望の書き下ろしアート小説。
家族はどこで一線を越えてしまったのか。浦和医大法医学教室に餓死した遺体が運び込まれた。亡くなったのは40歳の独身女性で、死後3週間が経っていた。まだ4月だというのに埼玉で見つかった4体目のミイラ化死体だ。埼玉県警の古手川によると、女性は大学受験に失敗して以来20年以上引きこもっていたという。同居していた70代の両親は先行きを案じ、何とか更生させようと民間の自立支援団体を頼ったが、娘は激昂し食事も摂らなかったらしい。彼女はなぜ餓死を選んだのか?それとも親が嘘を?だが、解剖を行った光崎教授は、空っぽであるはずの胃から意外なものを見つけるとー。引きこもりを抱えた家族を襲う悲劇。彼らは被害者か、それともー。光崎教授が抉り出す、深い闇とは?
死体が持っていた財布に入った紙幣を狙う浮浪者の“ネズミ”。彼に不審を抱くパリ九区担当のロニョン刑事。遺失物扱いされた財布を巡り、それぞれの思惑が交叉する中、事態は思わぬ展開を見せ始める…。煌びやかな花の都パリが併せ持つ仄暗い世界を描いた“メグレ警視”シリーズ番外編!
美しすぎる女子アナとして地元テレビ局で有名な広瀬愛理。彼女の挙式目前に起こった殺人事件。捜査を担当する友永は「狂犬」と呼ばれる女性刑事だったー。難航する資産家殺人事件の真相を暴く天下無敵の女性捜査官、いざ降臨!
一九六八年一月、研修医の待遇改善に端を発する東大医学部闘争が勃発。その余波は、小暮悠太が所属する精神医学教室にも及び、悠太の研究室も全共闘の学生たちに占拠される。騒然とした状況の中、犯罪学の研究の傍ら小説を書き始めた悠太。そこへ、幼い頃から愛し続けていた千束が離婚したとの話が舞い込んでくるー。『永遠の都』に続く自伝的大河小説の第三部。毎日新聞出版文化賞企画特別賞。