2024年7月23日発売
母に教わった「バーの味」、夫婦で訪れた憧れの上高地……。 全国3か所の帝国ホテルを舞台に織りなす、めくるめく部屋の物語。 帝国ホテル発行の会報誌「IMPERIAL」で11年間にわたって連載した、42編のショートショートを一冊にまとめました。 幻想的な夢の世界を描くものもあれば、現実の夫婦を描いたものもあり、また過去と現在を行き来して語るものも。42編すべて趣向の違う、角田光代さんの幅の広さを思い知る短編集です。 1話5ページで読める短い文章量ながら、じんわりと心が温まり、時には泣け、時には笑えるストーリーが詰まっています。 (収録作) クロークに預けたままの、亡夫の荷物。夫の秘密がそこにあるのかーー開いた鍵の先に、妻が見たものは(秘密を解く鍵) 半年に一度しか会えない小学校6年生の娘。連れだってブフェに行くも、娘はなかなかマスクを外さない(父と娘の小旅行) 窓から射しこむ朝の光、錆びた流し台にしたたる水滴の音ーーホテルで眠る夜、どこかで出会った部屋たちの夢をみる(表題作・あなたを待ついくつもの部屋) 他、全42編
行方不明の幼馴染を探すために、少女たちはアナーキーなオンラインゲームの世界へ飛び立った。舞台は世界的大ヒットゲーム「ランドクラフト」。世界中で売れた本数は3億本。プレイヤーが多いことからゲームの中ではRMT(リアル・マネー・トレード)と言われる現金のやりとりも行われている。最近「ランドクラフト」内で10億円相当の宝が眠っているという噂が流れ、世界中のプレイヤーがその宝を探している。中学2年生の巧己と祥一は、夏休みをいいことに「ランドクラフト」に没頭し、あわよくば10億円をゲットしようと連日ログインしていた。が、ある日祥一が行方不明になってしまう(ゲームの中でも現実でも)。祥一が何かトラブルに巻き込まれたに違いないと思った巧己は、幼馴染の千香に助けを求めるが…。
20世紀初頭の南アフリカ。異人種間の結婚や性交が禁じられていた時代。白人と褐色の肌の人々が生きる隔絶された空間で事態は推移する。石と太陽で造られた屋敷の仄暗い廊下では、昼も夜も時計が時を刻む。孤独で不美人な未婚の娘マグダ、農場を支配する厳格な父、使用人ヘンドリックと美しく幼い花嫁、不在の兄。肩の上に一気に手斧が振りあげられ、ライフル銃の薬莢が足元で音を立てる。やがて屋敷の秩序は失われ、暴力と欲望が結びつく…。ノーベル賞作家が、検閲の網をかいくぐり、植民地社会の歴史と制度への批判をこめて織りあげた幻視的長篇。新訳決定版!!!
あなたの日常に、きらめきと楽しさを。誰にでも親しみやすい視点で選び抜いた国宝の魅力と、それを通じて得られる感動を届ける博学篤志の1冊。これで国宝の新たな一面を発見する旅へ、いざー。
遠い宇宙のかなたにあるソンブレロ銀河。そこでは「As Game」と呼ばれるバーチャル空間での決闘が星の未来を決めていた。惑星ソブリンの3兄弟ゼブリン・グラント・ボールドとホライズン一族は長きにわたり、互いに反目し合う関係だった。ある日、長男・ゼブリンは「黄金星」を賭けたホライズンとの戦いに挑んで…。壮大な宇宙バトルが幕を開ける!
リオ五輪女子体操ヘッドコーチ初の小説登場!「この作品は、私が体操コーチとして経験した事を基にフィクションとして書きました。倉本コーチが私で、神代茜は体操の寺本明日香さんです。」
終戦から4年、戦争の爪痕残る東京に生まれた冬華蕗子(とうが・ふきこ)は、何不自由ない環境に育ちながらも、社会や家庭への漠然とした息苦しさを感じていた。「この社会は本当に正しいのか」はっきりした目的を持てず進学した彼女が、ある日行き当たったのは白いペンキで「マル研」とドアに書かれた部屋だった。「探していたのはこの文字だったのか」と直感的にドアを押した先にいたのはー。ひたむきに力強く、彼女は不条理な世界を歩む。高度経済成長、ベトナム戦争、学生運動、バブル崩壊…混沌とした時代と一人の女性の軌跡を描いた、著者渾身の一大長編!