小説むすび | 2025年10月23日発売

2025年10月23日発売

私労働小説 負債の重力にあらがって私労働小説 負債の重力にあらがって

Don‘t Blame Yourself! セクハラ、パワハラ、カスハラ、人種差別に事なかれ主義やポジティブ教の上司まで。 ジョブには最低なものとの戦い(ワーク)がつきまとう。 ホールスタッフ、激安量販店の店員、屋敷の掃除人にローンの督促人etc. 「底辺託児所」の保育士となるまでに経た数々のシット・ジョブを軸に描く、自伝的小説にして魂の階級闘争。 「あたしたちは負債の重力に引きずられて生きている。」 だが、負債を返済するために生き続けたら人間は正気を失ってしまう。シット・ジョブ(くそみたいに報われない仕事)。 店員やケアワーカーなどの「当事者」が自分たちの仕事を自虐的に指す言葉だ。 他者のケアを担う者ほど低く扱われ、「自己肯定感を持とう」と責任転嫁までされる社会。自らを罰する必要などないのに。 働き、相手に触れ、繋がる。その掌から知恵は芽吹き、人は生まれ直し、灰色の世界は色づく。 数多のシット・ジョブを経た著者が自分を発見し、取り戻していった「私労働」の日々を時に熱く、時に切なく綴る連作短編集。 みんな誰かに負債を返すために生きている。それこそが、闇だ ■面倒を避け続ける職場では、いいことは悪いことになり、悪いことがいいことになる。 ■上から目線の人々は、あまりに視線の位置が高すぎて、その位置から下の人間の姿が見えてない。だけど、なんとなく下のほうに人がいる気配がするので、とりあえず声はかけておくが、相手の姿は見えないし声も聞こえないのだ。 ■嫌と言えない理由があるから貸すのであり、返さなくてもいいという暗黙の了解もあるのだ。こういう特殊な取り決めが成り立つ関係を、家族と呼ぶのだろうか。 第一話 ママの呪縛 第二話 失われたセキュリティを求めて  第三話 アジアン・レストランの舞台裏 第四話 ある見習い掃除人の手引書 第五話 店長はサクセスお化け 第六話 ある督促ガールの手記 あとがき

月光の仕事月光の仕事

発売日

2025年10月23日 発売

われ知らず、異世界へーー 二度の芥川賞候補から出発し、さらなる問題作の地平を開く、初期作から最近作まで文学的軌跡のベストセレクション。 解説・柴田元幸 「冗談関係のメモリアル」(文學界新人賞)、「ドッグ・ウォーカー」「森への招待」(芥川賞候補作)ほか、全30作品収録。 絡まる人間関係や血縁の綾を志向し、ふと地軸がゆがみ磁場が狂うように異界へと滑り込む初期作品群。また、私小説的な味わいがいつのまにか幻想譚に、ユーモアを湛えてときにグレン・グールドや漱石、さらにはひとならぬ青虫までもが語りだす短篇群。発想の自在さに加え、綿密な観察からくる巧みなディテール表現と該博なる引用を真骨頂とし、なにより映像的な余韻が心に沁みいる。初期作から最近作までを網羅したベスト自選集。 今ここに魅力をあますことなく味わう一冊、豪華函入り愛蔵版。 「中村邦生の小説世界は「陽」「昼」から「月」「夜」への移行を基本としている」 「この作品集が、独自の小説倫理と美学と魅力を有するこの書き手の正当な評価に向かう大きな一歩となることを願う」 (柴田元幸「解説」より) 【目次】 1 月光の仕事 残景 泣き塾 夜はめぐる 月の川を渡る 穴に落ちるーー〈土龍庵〉にて作家Nが語る 2 冗談関係のメモリアル 夜に誘われて 黄昏の果て もののけ、ようこそ そうと知れば、音楽会へ行くべきかーー夏目金之助が語る ナツメさん、お席を用意しておきますーーグレン・グールドが語る 3 ドッグ・ウォーカー 森への招待 ホワイト・ブック 午睡の部屋 もっと音を大きくしてください 亀とカマキリとーーNが語る あの少年のことなら、よく覚えているーーカマキリが語る 4 チェーホフの夜 ネヴァ川からどこへ なつかしい場所など、訪ねてはいけない シマウマ模様のような ABCビスケットーー石ころが語る ビョンスおじいちゃんと犬の話 かーやんは、こんな人だった 虫めづる姫君よ、助けをこうーー青虫が語る ソンザ、イノコドクって、どういう意味?--不二家の店頭人形ペコちゃんが語る 悪霊封じ、ひーふーみー、よいむなやー バス停にて      ✺ 〈ブラック・ノート〉より ブラック・ノートについて/「心中の声」に耳をすます/はやり正月/アヒルの味わい/幽景/赤信号を渡る/ロンドン・バークリー・スクウェア事件/古文書を発掘した      ✺ 解説 柴田元幸

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