小説むすび | 2025年10月発売

2025年10月発売

ばらとシャンペンばらとシャンペン

内気で控えめな日陰の姉を、 日向へ連れ出してくれたのは……。 両親の死後、ずっと自分のことを後回しにしてきたカトリーナ。 ある日、美人で甘やかされた妹が、地元の名士ルシアスにふられたと 泣きついてきたので、妹のためにカトリーナは彼の仕打ちを責めた。 これまで何かと助けてくれた友人でもあるルシアスと 仲違いしてしまうことを、心密かに悲しく思いながら……。 ところが、そんな姉の気持ちも知らず、何を思ったか妹が今度は、 ルシアスを姉に奪われたと誰彼かまわず吹聴し始めた! うろたえるカトリーナに、ルシアスが思いがけない提案をするーー 「僕らは婚約して、結婚に必要なものを君が揃えたら結婚するんだ」 私がルシアスと婚約? ふりをするということ? きっとそうよね……。 ロンドンでも女性にもてるルシアスにまさか本気で求婚されるはずがないと思い込んでいるカトリーナは、見せかけの恋人ごっこを始めるものと解釈。けれども彼は、今よりもっと君がすてきになるようにと、ばら色のドレスを買ってくれたり、しまいには指輪も……。

永き清流永き清流

出版社

風詠社

発売日

2025年10月10日 発売

幼い頃に父を失い、母に育てられた佐藤藤佐(さとう・とうすけ)は、母親が工面した資金で江戸に旅立つ。江戸で旗本の柳生但馬守邸で奉公を勤める傍ら家計財務を担った。その後、豪農の養子となり、妻を得た藤佐は子宝にも恵まれた。その子泰然(たいぜん)は、蘭学医を目指し高野長英の門下に入った。泰然の末子となる林董(はやし・ただす)は英語に長け、工部省に入省。官吏となって17年余りの経験を経て、彼の行政手腕は地方の首長が務まるまでに磨き上げられていた。明治33年2月、林董は正式に駐英公使の辞令を受けた。その後、満洲問題では、外相となっていた林董の外交方針と関東都督府との対立があり、満洲の日本陸軍が強硬な姿勢を取り続けた。それは清国の反発を招き、紛争が継続していたが、政府は外交努力を続け、日仏協約や日露協約を締結し国際協調を進める一方、大韓帝国への圧力を強めた。林董は外務省を去った後、晩年は病に苦しみ、1913年に静かに生涯を閉じた。その人生は波乱に満ちており、多くの困難に直面しながらも、外交官としての使命を果たそうとした。佐藤藤佐、泰然、林董ら佐藤家の人々を中心に幕末から明治に至る激動の時代を背景に彼らの人生と当時の傑物たちを描いた歴史大河小説。 永き清流

日本詩紀日本詩紀

奈良・平安時代の漢詩3700余りを市河寛斎が編纂、天明年間に刊行した漢詩集。約420名の作が収められ、古代日本漢詩を一覧するための恰好の書である。明治時代刊行の国書刊行会本に、新たな解説と補訂を加え復刊。 日本詩紀(巻之一 首集第一〜巻之五十 丁集第十六〈文武天皇三首/嵯峨天皇五十三首/淳和天皇十五首/大友皇太子二首/葛野王二首/長屋王四首/良峯安世十三首/小野岑守四十首/滋野貞主卅四首/朝野鹿取六首/小野篁九首句十二/大伴氏一首以下閏秀/清原真友一首/島田忠臣七十七首/菅原道真八十首/大蔵善行首/三統理平七首句一/大江朝綱四十四首句九/橘在列十九首句八/菅原雅規八首句四/藤原実頼句二/慶滋保胤廿八首句二十八/藤原道長七首/大江以言五十九首句卅三句一聯句一/源俊賢二首/大江匡衡七十一首/紀斎名廿九首句十八/藤原義忠二首句一/藤原廣業三首句一/中原長國句三/失名氏五首句十九/他 通計作者四百二十八人 詩 三千二百零四首句五百二十七〉)/日本詩紀外集(菅家万葉集一百二十九首)/日本詩紀別集(懐風藻序/他)/日本詩紀作者系譜

拗年季のおわり拗年季のおわり

著者

常松康

出版社

松柏社

発売日

2025年10月10日 発売

これは、 世間を知らぬまま 肥大した自尊心と 妄想に淫した魂の 彷徨の物語である。 幼少期を育んでくれた「愛人」のような乳母とは?…常に気丈な母親が一度だけ涙を見せた事件とは?…小学時代の初恋成就の先にあったものは?…中学で出会ったクセツヨな教師たち、奇妙な友、そして「神々」とは?…愛しい猫との出逢いと悔いの残る悲しい別れとは?…高校の講演会で某高名作家が残した衝撃とは?…大学時代、合宿先の城下町で出逢った本当の怪異譚とは?…青春の挫折から新天地への旅立ちまで、儚く愛おしい時代を背景に描く、時に随筆(風)、時に青春小説(風)の自伝的「私小説」20篇。愚かでひたむきで少し切ない成長物語。 【目次】より 飛魚の羽を透かして万華鏡 未だ知らぬ罪を浄めて菖蒲の湯 カエサルの母の涙に潜る夏 満願の果てに墜ちたる蟲喰い栗 春の夢生死の狭間に怯四郎 爪研ぎし無花果の根にネコタは抱かれ 稲ハデに兄の威を借る三十郎 赤山に神舞い降りて秋の暮 リビドーを募らせ柘榴は割れており 旧校舎遠い廊下のシクラメン 冬銀河震えて響けベートーヴェン 「新世界」夢見て揺蕩う海の家 血の滲みた竹刀に憩えり塩蜻蛉 “夏の陣”暁に踴るカブト虫 金風の南四局に鶏は啼く 鬼六の河のほとりに彼岸花 蝉時雨奏でて嗤うおしづさん 薫風に冥闇貫くオートバイ 狼になりたしこうべを垂れる夏 拗年を葬り無明の春に勃つ 飛魚の羽を透かして万華鏡 未だ知らぬ罪を浄めて菖蒲の湯 カエサルの母の涙に潜る夏 満願の果てに墜ちたる蟲喰い栗 春の夢生死の狭間に怯四郎 爪研ぎし無花果の根にネコタは抱かれ 稲ハデに兄の威を借る三十郎 赤山に神舞い降りて秋の暮 リビドーを募らせ柘榴は割れており 旧校舎遠い廊下のシクラメン 冬銀河震えて響けベートーヴェン 「新世界」夢見て揺蕩う海の家 血の滲みた竹刀に憩えり塩蜻蛉 “夏の陣”暁に踴るカブト虫 金風の南四局に鶏は啼く 鬼六の河のほとりに彼岸花 蝉時雨奏でて嗤うおしづさん 薫風に冥闇貫くオートバイ 狼になりたしこうべを垂れる夏 拗年を葬り無明の春に勃つ

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