2025年7月29日発売
左手を失った帰還兵バルタザールと不思議な力を持つブリムンダの愛の物語。 国王の修道院建立、飛行機の発明、天才音楽家などが紡ぐ驚きの空想物語。 ノーベル賞作家の最高傑作、新訳決定版。 ・ ・ ひときわ記憶に残る愛の物語。 重厚なオーケストラでフルートが残す余韻のように。 ーーニューヨーク・タイムズ ・ 予測不可能な要素に満ちた大胆な歴史ファンタジー。 ーーアーシュラ・K・ル=グウィン ・ ・ 【「訳者あとがき」より】 『修道院覚書』は、ジョゼ・サラマーゴにとっては四作目の長篇であり、十八世紀に建立された巨大なマフラ宮殿と修道院にまつわる史実を背景にした壮大な歴史ファンタジーである。歴史物語であると同時に、世界初の飛行船創作をめぐるマジカルな冒険譚でもあり、そして何よりも、深く愛し合う一組の男女の大恋愛の物語でもある。サラマーゴらしさがふんだんに盛り込まれているうえに、とにかくストーリーが抜群に面白い。数あるサラマーゴの傑作の中でも、本作は代表作の筆頭とされる一作である。 二〇一〇年にサラマーゴが亡くなった際、弔問に訪れたポルトガルの高名な思想家、エドゥアルド・ロウレンソは、彼の傍らに置いてほしいと一冊の本をサラマーゴの妻、ピラールに手渡した。[中略]ピラールは言う。「ジョゼ・サラマーゴは『修道院覚書』とともに火葬されたのです」と。 ・ ・ 【内容】 切望する世継ぎを得るために、修道院建立を誓願したジョアン五世とその王妃マリア・アナ。奇跡に事欠かない18世紀ポルトガルを舞台に繰り広げられる、壮大な歴史ファンタジー。スペイン継承戦争で左手首から先を失った元兵士バルタザール、不思議な瞳と透視能力をもつその妻ブリムンダ、空飛ぶ機械を製作するバルトロメウ・ロウレンソ神父、天才イタリア人作曲家のドメニコ・スカルラッティ……。王室と宗教、権力と異端、蔓延する疫病、富と貧困など、社会の諸相を描く壮大な物語から、魅力的な恋人たちが現れる。 ・ ・ 【著者略歴】 ジョゼ・サラマーゴ 1922年ポルトガル生まれ。現代ヨーロッパを代表する作家。82年、本書がヨーロッパ各国で高い評価を得る。95年、突然の失明が人々を襲う衝撃的な長篇『白の闇』が世界的ベストセラー。ほかに、『複製された男』(2002)、『見ること』(04)、『象の旅』(08)など。1998年ノーベル文学賞受賞。2010年没。
終わらない宿世を、終わらせる 生×死 平安×現代 宿命×意志 冥界と現世が重なる京都の地に、“人の死が見える力”をもつ少女がいた。 千年前からの因果が交錯し絡み合う、ファンタジー小説。 夢子 冥界 初仕事
罪の果てには断絶の痛みが待っていた 歪んだ観念から金貸しの老婆を殺したラスコーリニコフは、底知れない孤独と疎外感に襲われる。自ら犯罪を正当化していたにもかかわらず、なぜ苦しまなければならなかったのか。ドストエフスキーの名作『罪と罰』に新たな解釈を試みた意欲作。 序 第一章 問題の所在 第二章 様々な解釈 第三章 仮説 第四章 断ち割る者 第五章 糸杉と銅の十字架 第六章 ギリシャの神々 第七章 ソーニャの直観 第八章 アリョーシャの絶望と再生 第九章 ラスコーリニコフと神 第十章 リザヴェータはなぜ殺されたのか? 第十一章 エピローグ 終章 終わらない「問い」
アルコール、性的虐待、経済的困窮ーー。 女たちは壊れてなお、生きつづける 何日もお風呂に入らないし着替えもしない。ビールもちっとも美味しくない。味などわからないのだ。 だが、飲まずにはいられない。うす汚れたかっこうでコンビニに行き、ビールを四、五本抱えて帰ってくる。 布団の中に入って、それをちびちび飲む、時々、トイレで吐く。 この連鎖をどうにか断ち切ってほしいと願うようになった。(本文より) 第18回民主文学新人賞受賞作家による、書き下ろし・発表作を4編収録。 人生を失い、それでも女は這い上がれるか ほどけない、けど結ばれない デリヘル嬢になれますか? シャツブラウス
民話を口頭採録し編纂した当時のヨーロッパを代表する知性・グリム兄弟と、児童文学という分野の創始者・完成者だったアンデルセンの生涯をたどり、主要作品を解説しながら、近代児童文学の成立過程を明らかにした意欲作。
カバーイラスト:安彦良和 戦後の混乱期、北の地の「悪所」で、女たちの革命が起きていた。 1952年冬、北辺の街・帯広で、色街の女たちの反乱が起こる。自らを縛る不法な借金と、そのために身を売る女たち。この不条理に抗って彼女たちは自由のための旗を振った。時は朝鮮戦争のさなか、この女たちの反乱に、様々な立場の男たちの陰謀が絡みつく。「帯広革命都市」宣言。侵攻する北朝鮮特殊部隊を阻止するため、地元の復員兵だった男たちは再び雪原で銃をとる。反乱の末に辿り着いた女たちが見たものはーー。 帯広出身の著者が満を持して活写する、「かつてありえたかもしれない」戦後昭和秘史。 ※この作品はフィクションです
クレオーメ帝国に嫁いでから半年。初めは冷たい態度だったラウレンツとも打ち解けてきて、自分らしく振る舞える暮らしに幸せを感じるクラリッサ。ところが、そんな平穏な日々も束の間に、故郷アベリア王国の王妃でもある母が、帝国に容姿端麗な男女の双子の間諜を送り込んできた。狡猾な双子の兄・イグナーツは、社交界の令嬢達に近づき、甘い言葉で帝国の軍事情報を引き出そうと動き始め、一方で妹・フリーダは、ラウレンツに色仕掛けで急接近してきてーー!? 国の平和も最愛の夫も、元悪女の底力で、私が守ってみせます!
後宮入りして妃嬪となるはずが、町娘と間違われ攫われた挙げ句、後宮の宮女として売られてしまった詩月。途方にくれるが、呪いを仕込まれた蛇に襲われる皇帝の側近・天佑を助けたことで、なぜか二人揃って時間をループするはめに!? しかし呪術の名門出身の詩月は蛇も呪いもお手の物。嬉々として張りきる姿に彼は呆れ顔。世間知らずだけど破天荒な姫と、彼女に振り回される訳ありな天佑。呪いの謎を追ううちに、お互いに淡い思いが芽生え!?
真実なんて一体どこにあるっていうの? この世界は狂っている。 私が狂っているんじゃない。 この世界が狂わせる。 こんな世界で狂わない人間こそが狂っている。 人はどこから来て、どこに向かっているのか? 人生という闇の世界を抜けたあと、みえてくる世界とは ベストセラー『250万光年から宇宙を旅した少女』の原版となったノンフィクション小説