1997年発売
今年で創刊四十周年を迎えたSF同人誌「宇宙塵」の、既刊一九四冊の中から傑作・佳作を厳選したベストコレクション!1には、星新一の初期中篇「火星航路」をはじめ、眉村卓「歴史函数」、光瀬龍「イリ・エネルギー販売店」、石川英輔「水の魔物」など、日本SFの草創期を築いた大家たちの、珍しい単行本未収録作品を一挙に収録!渥見凡「黄昏の町」、光波耀子「聖母再現」、川島ゆぞ「副作用」、嬉野泉「三月来たる」といった新進有望作家たちの秀作と併せて、SFの醍醐味をここに結集。
幼い息子を海で亡くした監察医の安藤は、謎の死を遂げた友人・高山竜司の解剖を担当した。冠動脈から正体不明の肉腫が発見され、遺体からはみ出た新聞紙に書かれた数字は、ある言葉を暗示していた。…「リング」とは?死因を追う安藤が、ついに到達する真理。それは人類進化の扉か、破滅への階段なのか。史上かつてないストーリーと圧倒的リアリティで、今世紀最高のカルトホラーとしてセンセーションを巻き起こしたベストセラー、待望の文庫化。
N.Y.の有名出版社の若き編集者ラッセル・キャロウェイは、大学時代の親友ジェフ・ピアースをスター作家に押し上げ、自身も脚光を浴びはじめる。しかし、彗星のごとき名声の上昇が、社の重鎮ハロルド・ストーンの不評を買ってしまう。社での立場に危うさを感じたラッセルは、社主の妹と謀って自社買収へと動き出す…。
会社買収王バーニー・メルマン、M&A専門の美人銀行家トリーナ・コックスと組んだラッセルの自社買収は成功した。経営に奔走するラッセルと孤独の色を深める妻コリーン。出張先でのラッセルの不倫をきっかけにするかのように、事態は思わぬ方向へと進展する。人生の絶頂から手中のすべてを失ったラッセルを待ちうけるものは?…マキナニーが渾身の力を込めて描く若きカップルの喪失と再生。
血液学を研究する医師エリオットは、吸血鬼伝説が囁かれるインド国境で、身の毛もよだつ体験をしたあと帰英した。ロンドンで診療所を開いたが、悪夢は故国までも追ってきた。親友の一人が血を抜かれてテムズ川に浮かび、もう一人が失踪したのだ。友の行方を追うエリオットは劇場支配人ブラム・ストーカーと知りあい、二人はヴィクトリア朝ロンドンを跳梁する吸血鬼の正体をさぐっていく。注目のヴァンパイア奇譚第二弾。
謎めいた美女ガブリエラが住む家が放火された事件は、小さな村を騒然とさせた。さらに中から発見されたのは有名なクリケット選手フレミングの死体だった。しかもガブリエラは事件の直前に失踪したきりで捜査は難航する。やがて彼女はフレミングが所属するチームのスポンサーと別居中の妻である事実が判明した。二人は愛人関係だったのか?州警察の要請を受け、リンリー警部はハヴァーズ部長刑事と共に現地へ赴くが…。
放火事件には不審な点が多く、リンリーはフレミングが殺害されたと確信して捜査を続ける。彼の身辺を探るリンリーは、やがて新たな事実に突きあたった。フレミングは数年前に家族と別れ、恩師の女性とともに暮らしていたのだ。行方不明の美女、別居中の妻、彼を溺愛する元教師…リンリーは事件の鍵を握る三人の女性に焦点を当て、奥深い人間関係へと分けいる。ミステリ界の新女王が円熟の筆致で贈る、華麗なる本格大作。
ただ一人の親族である伯父が死の床についている。今を逃したら亡き父のことは二度と聞けない。ニューヨーク市警の刑事ホッカデイは、急ぎダブリンへ飛んだ。だがその時から、父と関係のあった人物が謎の死を遂げ、さらに不穏な事件が続発する。やがて、父の驚くべき過去が明らかに。
窮屈なしきたりなんて、まっぴらーわたしは女ひとり、タイピング・サーヴィス業で身を立てることにした。だがやがて、わたしの依頼人たちに次々と恐ろしい事件が!オフィスにやってきた中国人が、数日後何者かに殺され、作家志望の青年は、原稿を預けたきり消息を絶ってしまった。好奇心を抑えきれず、わたしは調査にのりだすが…ガス灯時代のサンフランシスコに勝ち気なアマチュア探偵登場。マカヴィティ賞受賞作。
夏の終わりの午後おそく、新学期の始まる日の父母会をおえてアンディ・マネットと二人の娘が外へ出ると、荒れ模様の空から雨が激しく降っていた。そのとき、学校の駐車場では赤いヴァンに乗った大男が獲物を狙って待機していた。その男ジョン・メイルは彼女たちが車に乗ろうとしたとき、背後から無理やり自分のヴァンに引きずりこみ、母娘ともども連れ去った。誘拐された女の別れた夫が大金持ちの共和党支持者、父親が民主党の実力者という複雑な背景を考慮して、この事件を担当することになったのはミネアポリス市警副本部長のルーカス・ダヴンポート。しばらくして連絡を入れてきた犯人は、どうもゲーム・マニアらしく、コンピュータ・ゲーム・メイカーでもあるダヴンポートと直接話したがる。はたしてダヴンポートは、挑戦的な犯人の居所をつきとめ、生きたまま母娘たちを救うことができるのか。
フレッチャー一家は、インディアナのヴィゴアからノースカロライナのストゥベンへと、新天地を求めて引っ越してきた。フレッチャー家の三人の子供のなかで、長男のスティーヴィはこの引っ越しにいちばんショックを受けていた。もともとひとりで遊ぶのが好きな子供だったが、その孤独癖はだんだんひどくなっていく。やがて、そんなスティーヴィに何人かの友達ができたようだ。だが、彼の話には腑に落ちないところがあった。だれそれと遊んだといって帰ってくるのだが、家の外で見かけるスティーヴィはいつもひとりだったのだ。その繊細さゆえに、学校でも友達ができず、空想の友達をつくったのか?そのころから、フレッチャー一家のまわりでは、奇妙な出来事がつぎつぎにおこりはじめた…。連続少年失踪事件にゆれる南部の小さな町を舞台に、家族の愛とは、親子の絆とは、思いやりの心とはなんなのかなどを読む者に問いかける感動の書。ファンタジイ&サイエンス・フィクション誌1989年10月号にまず短篇の形で掲載され、89年度のローカス賞を受賞。1992年に長篇化された。