出版社 : 主婦の友社
公式に魔法が認められて、魔道師が存在する世界。戦争に傾く世界情勢の中、新たな軍事技術である魔法を持つ魔道師は法で裁かれることなく、強大な力を持っていた。そんな中、「辺境魔法学校」と呼ばれる魔法学校が存在する。年齢・学歴・犯罪歴不問。入学金及び授業料無料で、通常は修得に十年かかる魔法を、たった三か月で教えてくれるという。魔道師に憧れる神宮寺誠は置き手紙だけ残して家を飛び出し、死亡率八割といわれる入学試験を受けに向かう。だが、夢見た世界とは違い、そこでは厳しい現実が神宮寺を襲う。魔道師になれるか、死ぬかー。生き残りをかけた学校生活が今、幕を開ける。
アウラはかねてから検討していた「宰相」と「元帥」の役職を置き、宰相にレガラド子爵フィデルを、そして元帥にプジョルを任命した。アウラの国務の負担が減ることは喜ばしくもあったが、それは同時に、望まない方向に国が進みかねない危険性も孕んでいた。さらに、双王国の対応から北大陸への懸念を抱いたアウラは、フレア姫に同行する形で、ウップサーラ王国を訪問して欲しいと善治郎に告げる。しかし、木造帆船で数ヶ月にも及ぶ危険な航海に出ることは、善治郎にとって受け入れがたい話。そこでアウラは、少しでも安全な航海にするために、なんと『瞬間移動』の魔道具を作ってもらおうと提案するのだった。
ヴィレムは宿敵アスターを打ち破り、長きにわたる因縁に幕を下ろした。しかし、聖域を巡る争いはまだ終わってはいない。北からは異民族が、南からはオーレムが率いるオーデン王国の兵たちが迫ってきており、魔術師団は挟み撃ちに合っていた。連戦により消耗した魔術師団は、オーレムの大規模魔術に苦戦を強いられてしまう。それでも夢と仲間のために倒れるわけにはいかないヴィレムは、機転を利かせて異民族とオーレムの兵をぶつけることに成功し、西へ一時撤退して態勢を整え直す。そしてヴィレムたちは改めて思いを一つにして、最後の決戦に向け、立ち上がるのだった。
ミーナが戻ってきたことで、ハクトールのパーティは元通りになった。溶岩が流れる灼熱のフロアや、強力なボスがいる部屋に苦戦しつつも、ハクトールの鑑定による機転と、シャルたちの強力な攻撃によりなんとかダンジョン攻略を進めていた。レベルも上がり、ハクトールが新しい依頼を探して掲示板を眺めていると、ちょうどギルドが緊急依頼を出すところに居合わせる。リングランドの町にスライムが大量発生して、連絡が取れなくなっているので、原因の調査と、スライム討伐をしてほしいとのことだった。報酬が高額ということもあり、依頼に参加することにしたハクトールたちは、さっそくリングランドの町へ出発するのだがー。
リーデルシュタイン帝国は隣国との戦争に勝利し、戦勝の式典のために慌ただしい時を過ごしていた。そんな中、第六皇女のヴィクトリアは父である皇帝より、先の戦争で武勲を挙げた第七師団長のアレクシスー通称「黒騎士」に降嫁させると告げられる。ドラゴンすら屠ると言われる剣の腕に加え、その鍛え抜かれた大きな体躯と厳つい風貌は、令嬢なら顔を見ただけで泣いて逃げ出すと恐れられている黒騎士。対するヴィクトリアは16歳という実年齢なのに、10歳程度の子供にしか見えないほどに、幼くあどけない少女だった。政略結婚にしても可哀想だと周囲は結婚に反対するのだが、当のヴィクトリアはなぜかアレクシスとの結婚に前向きなようでー。
辺り一面真っ白な空間で目を覚ました青年は、黒髪の美しい少女に自らの死を告げられた。「特別に異世界に行かないか」という提案を受けることにし、異世界生活のために世話を焼いてくれた少女との感動の別れーも束の間、創造神の思いつきにより、少女もろとも強制的に転移させられてしまう。気がついたときには青年は洞窟の中にいた。そこは異世界に転移する前の試練の場である「選定の迷宮」だった。青年は、同じように飛ばされたはずの少女と合流しようと決める。が、少女は何故か本になっていた。『理の教本』たる少女と契約し、晴れて相棒になった二人は、青年はギンと、少女は恭香と名を改め、迷宮攻略を開始する。いずれ最強へと至る青年の物語が、今始まろうとしていたー。
結界の崩壊で王国全土が混乱に陥っていた。だが、ルビーフォルン領では、今まで行っていた領地政策やタゴサクが広めていたウ・ヨーリの教えが浸透していたことで、魔物の被害を最小限に抑えることができていた。ルビーフォルン領内の混乱が落ち着いてきたのを見計らって、アレクから託された『神殺しの剣』を持ってバッシュのもとに戻ることにしたリョウ。魔物の対策としてマッチが有効であると実感したリョウは、改めて白カラス商会を使って他領地にマッチを送り届ける手配を進める。白カラス商会の人員を増やし、道を整え、マッチ等の配給が他領地にも行きわたり王国を揺るがす魔物の災害が落ち着き始めた頃、王都からとある商人がやってくるーー。
長谷川雫は、いわゆる歴女であること以外は、どこにでもいる普通の女子高生として過ごしていた。雫にとって、才色兼備で誰にも媚びない孤高の存在、藤堂朱と放課後に交わす一時の逢瀬だけが唯一の楽しみ。しかし、藤堂は意味深な言葉を残して、何の前触れもなく消えてしまう。突然消えた藤堂に憤っていると、自宅への帰り道で不思議な声に呼びかけられた。雫はその声が藤堂の迎えだと感じ、「理想郷」への旅立ちを受け入れる。時は流れ、異世界に導かれた雫は、田舎の村で異邦人としてこき使われる屈辱に耐え、逃走のチャンスを窺っていた。そんなある日、村は大勢の兵士に襲われ、火を放たれてしまう。火事場泥棒のチャンスだと、雫は惨状の中を飛び出していくのだがー。
冒険者になったアルベルタは、金貨目当てで絡んでくる不良冒険者をあしらいながら、サティの母親を捜す生活を続けていた。魔物を引き寄せる呪符や、ライジン伯爵の不審な動きなど不穏な空気が漂う中、サティの母親らしきエルフが街に入ったという情報を手に入れる。すぐにでも救出に向かいたいが、相手は力を持つ伯爵。剣豪と呼ばれる猛者も雇われていると聞き、慎重に情報を集めていく。しかし、グリューゼル侯爵との交渉が決裂したライジン伯爵は、時を待たずに戦争を仕掛けだす。平和だった街を襲う、大量の兵士と魔物たち。アルたちも街を守るために行動するのだがーー。
異世界に召喚され、「再現」の能力の使い手になった平太は、周囲の手助けもあり徐々に異世界での生活に慣れ始める。ロナも希望する仕事に就き、それぞれが平和な日常を取り戻していた。平太は角族に襲われた恐怖からまだ街の外に出たくはなかったが、いつまでも引きこもっているわけにはいかないと、王都への輸送依頼を引き受ける。王都で一泊することになった平太が外をぶらついていると、路地裏で誘拐現場に遭遇してしまう。なんとか誘拐犯を追い払い、話を聞くと、襲われていた美女はファイナンダ商店という大商店の長女だった。お礼をしたいと言う女性・パーシェに連れられて商会に赴くのだがー。
魔術や魔王といった言葉自体が生まれて間もなかった太古の時代に、名も知られぬ人が、名も知られぬ魔に立ち向かった、不明の戦記があった。歴史が途絶えた魔の島にあるという『不死の水』の伝説は、古代文明の遺産として人々の欲望をかきたて、数多くの探索者達を魔の島へ送り込んでいた。処刑人の男・サビトガもまた、仕える王家のために魔の島に上陸する。過去の探索者達の記録を辿り、島を彷徨っていたサビトガは、野生の獣との交戦中に、一人の少女と遭遇する。なんとか獣を撃退し、意識を取り戻したときには少女は消えていた。代わりにシュトロと名乗る男と出会い、共に魔の島の謎を解き明かすことになるのだがー。
王級精霊クシャトリアとの契約を果たし、無事ダンジョンから脱出できたアスラ。探しているレオナルドの情報が集まるかもしれないという言葉を頼りに、アスラはエアスリル魔法学園入学を目指す。入学するには、三国間で行われる魔法学園対抗戦に出場し、トーナメントを勝ち進んで入賞する必要があった。クシャトリアとともに対抗戦の開催地であるエアスリルに向かうアスラ。道中、ダンジョンで抑圧された「自由」から解放され、楽しそうに過ごすクシャトリア。しかし、彼女の秘められた過去、謎の数々にアスラは一抹の不安を抱いていたのだった。
精霊の暴走を止め、過去の因縁を断ち切った太一たち。これで一件落着かと思いきや、仲間となった四人のエルフは、太一たちをエルフの里へ招待したいと申し出た。その理由は、ミューラが、エルフの巫女の後継者であるという。こじれることが多い後継者問題を先延ばしにしたくないミューラは、その要請を受けることにした。大海のど真ん中にある、陸地から隔離された島。世界樹が見下ろすエルフの里は、太一と凛にとっては物語の中に入ったよう。久々に師匠とも再会し、二重の感動も束の間、ミューラの母親に「巫女を継がなくてもいい」と言われる。巫女を継ぐべきと主張する伝統主義派、巫女を継がなくてもいいとする革新派の争い。人知れず静かにうごめく影。世界樹の思惑。ミューラは巫女を継ぐのか。
小麦縞萎縮病。シエナ村に襲った不作は、村人たちの食糧問題を強く意識させ、恐怖に陥れた。村の住民たちは二つに割れてしまう。新しい技術を歓迎する若者たちと、不作の原因をエイジの新技術に求める年寄り衆。村人たちは対立を深め、お互いの主張を譲らない。その中でも一人の年寄り、ロッシはエイジを激しく糾弾した。覚えのない罪をおとなしく受け入れるいわれはない。エイジは自身の無実を晴らし、騒動を収めるために立ち上がることを決める。そんなエイジに対し、村長のボーナが3つの問題をあげるのだがーー。
ムドラを仲間に加え入れ、四人パーティとなったリルドール一行は縦ロールと魔法を駆使して怒涛の勢いで迷宮を攻略していた。だが、次の目標を確認していたリルドールは、今の迷宮では五十階層の試練には挑戦出来ないことを知る。五十階層主の討伐に失敗すると、とあるデメリットがあり、国が挑戦させてくれないのだという。実力も上がり、既に上級者となっていたリルドール達は、今探索している東の迷宮から、既に五十階層以下が解放されている南の迷宮へ、探索の場所を移すことを決める。次の迷宮に向けて準備をしていたリルドール達は、小さい頃にコロネルの世話をしていたという男・クルクルと遭遇する。コロネルは偶然の再会に喜びはしゃぐのだが、リルドールは、妹分が自分よりも懐いている男をやっかむ。そして、四十九階層を見てから新天地へ旅立とうと、最後に東の迷宮へ向かうのだがーー。
昆虫の魔王を討伐し、獣人たちの自治区を救ったフォンシエたちは、カヤラ領に戻ってきて束の間の平和を享受していた。そんな折、東で魔物が増えてきたという噂を耳にし、応援のため一行は辺境の都市に赴く。到着した彼らは兵たちから話を聞くと、ぱったりと魔物が現れなくなっているという。いったい、なにが起きているのか。異変の原因を知るべく魔物たちの領域へと偵察に赴くも、なんの気配も感じられない時間が続く。なおも進んでいくと、猛烈な勢いで迫ってくる魔物に遭遇する。交戦は避けられず、フォンシエたちは剣を抜き、打ち倒していく。うして倒した魔物には、何者かと争った形跡があった。その相手は、想像を絶すものだったーー。
ノールズ王国とデュフォー帝国を巡る戦争が勃発する中、長年、暗躍し続けてきた敵がいよいよ姿を現した。宿敵、アスター・デュフォーによる宣戦布告を受ける形になったヴィレムは、対抗すべく兵を挙げることになる。ヴィレムは魔術師団の仲間とともに、聖域を背後に布陣するアスターの兵と対峙する。聖域が未来になにをもたらすのか、戦いの行く末にかかっていた。小競り合いや互いに牽制し合う焦れったい状況が続き、誰もが慎重になり迂闊に動けなくなっていく。そんな中、ヴィレムはとある作戦を計画し始めるのだがー。
オリトルの国の戦に呼ばれたシュリたちは、魔剣騎士団と呼ばれる軍隊を目にする。魔力で身体能力を強化し、戦場を縦横無尽に駆け巡り敵を屠る一騎当千の猛者たち。幼い頃から魔剣騎士団の武勇に憧れていたクウガは彼らの活躍を目にすることで、さらに敵愾心を募らせていく。折しも時期は、オリトルの国の祭りの前だった。戦が終わったあと、休息を取っていたシュリは、テグとオルトロスから誘いを受ける。傭兵団もオリトルの菓子屋台祭りに参加するから、是非とも商品となる菓子を作って欲しいと。果たしてシュリはどんな菓子を作るのかー。
ティフィーはコスタスとソフィの娘、初等部6年生。彼女にはユキとカスミという親友がいた。ユキは互いの両親が中等部時代からの友人同志、カスミは初等部の低学年からの同級生。三人は変わり者の友達同士、和気あいあいと学校生活を過ごしていた。そしてティフィーにはライバルがいた。同じピアノ教室に通うトゥーリという少女。彼女は数々のピアノコンクールで優勝している天才で努力家、ピアノ教室の優等生であった。2人は切磋琢磨し合う、よきライバル関係であった。しかしある日、ティフィーは祖母からピアノを辞めるように言われてしまう……。
交通事故で命を落としたヒカルは、天界で魂の裁きを受ける列に並んでいた。ほとんどが上の空という行列だったが、意識を取り戻したヒカルは列から外れてしまう。そこで見つけたのは死者が死者をいたぶるといういじめ。腹が立ったヒカルは、いじめられていた青年と目が合い、反撃の一手を与えることに成功する。青年と別れたヒカルは、その機転と、行動力を認められ、明らかにこの場にそぐわない「貴族」ふうの少年に声をかけられる。その少年、ローランドが言うには、「ある頼み事」を聞いてくれれば異世界にあるローランドの肉体に転生させてくれるというのだがーーー。