出版社 : 主婦の友社
迷宮三十三階層。本来、冒険者の試練となる六本首の魔物ヒュドラーは、謎の男によって人知れず蹂躙されていた。最後に斬り飛ばされた首は人間の少女の形を取り、やがて少女ームドラは目を覚ます。ムドラはわずかに残された記憶を頼りに、迷宮を彷徨い始める。一方リルドールは、コロネル、ヒィーコとともに順調に迷宮を攻略していた。縦ロールを動かす魔法を使いこなして敵を薙ぎ倒していくうち、道中でムドラと出会う。服はボロボロ、そしてコロネルに抱きつくように駆け寄ってきたムドラを見て、悪漢に襲われたに違いないと、三人は正義感に燃えるのだがー。
列車は空を飛び、車は魔法で動く。そこは科学と魔法が融合した世界。一人の大学生が、一人の少女を救おうとあがいていた。大学生の名は植木信。「魔装具」を作る職人だ。信はその魔装具を使って寝たきりの友人を救おうとしていた。ただ、子供の頃から何年も研究を続けているが、成果は出ない。植物状態の友人は、どんどん容態が悪化していく。このままだと、何もできずに死なせてしまう。病院で新型の魔装具を試すが、うまくいかない日々だ。今日もだめかとため息をついて、アルバイトを終えて家に帰る時、信はダンボールが捨てられているのを見つける。その中に入っていたのは緑色のスライムだったー。
アーニャは成績はトップクラスで学校中の注目の的であり、将来有望な少女である。しかし彼女にはどうしても敵わないライバルがいた。幼馴染のジーク。彼とアーニャは7歳のときの学習塾からの付き合いだった。冬の寒い日に入塾してきたジークをアーニャは冷たくあしらうが、テストで自分より良い点数を取られ、懐しがって大声をあげる。それからというもの、アーニャはジークに何度も勝負を挑むようになる。待ち伏せをしたり、追い回したり、睨んだり、からかったり、宣戦布告したり。そうやって彼女と彼は長い時間を一緒に過ごすようになるのだが…。
アステリアとマリウスの結婚。それはホルディア王国の慶事であり、マリウス達にとっても一つの区切りだった。新婚旅行の提案が出るが、そこで意外な事実が判明する。アステリアは遊興に疎かったのだ。せっかくの機会だし、アステリアに民の暮らしを見せ、人々の楽しみについて教えようと思いつく。マリウス達が行く先で見たのは、彼が守った人々の日常、アステリアがこれから守っていくべきものだった。人々のささやかな日常こそ、得がたき宝なのだと彼らは改めて認識する。
ロクサーヌに因縁をつけてきた女性とその親族を決闘で返り討ちにしたミチオたち。その決闘がハルツ公爵領騎士団長のゴスター立ち会いの下で行われたため、ミチオはハルツ公爵に正体を知られてしまうのを恐れることになる。一方で、決闘に敗れ有力な戦士を失った親族一家から流出した装備品を手に入れるなど、ミチオたちはパーティーの装備を拡充していった。寝室用のエプロンも作らせたが、手持ちの金は減ってしまい、ミチオは近づくオークションに向けて迷宮探索を金策重視に振り替える。そして、万全の態勢でオークションに臨んだミチオは、新たな性奴隷を落札するー。
魔王ダストの最後の魔術が発動した。光と共に最後の攻撃を敢行するコフィン軍、セパルカ軍、あまたの亡者達生者達に、魔王ラヤケルスの遺物。世界を燃やした暴虐の神が、勇者ヒルノアが遺した最悪の巨竜が、やがてその姿を崩され、地に倒れかけた時ー。マリエラの体内から、一抹の災いの種、呪いが、音もなく芽吹いた。魔の力の反動、魔術に手を染めた者に必ず訪れる『報い』が、終局に近づいた戦場に新たな禍々しい色を添える。一変する戦況、敵と味方が入れ替わり、世界により絶対的な脅威が君臨する。持てる戦力を限界まで振りしぼってきた人類の前に立ちはだかる、最後の敵とは一体…。
ルーデンス領の領主となったヴィレム・シャレットは、領内のみならず、諸外国との対応を迫られていた。暗躍し続けてきた敵の魔術師は、直接的に攻撃してくるだけでなく、隣国デュフォー帝国との関係でも影を見せるようになってきている。一方で、黒幕は一向に姿を見せなかった。なかなか尻尾を掴ませない相手に翻弄されるヴィレム。そんなある時、帝国と交戦中である南方の土地に、敵の魔術師の姿が見られたという連絡が入る。翻弄される一方のヴィレムにとって先手を打つことができる好機。今度こそ尻尾を掴んでみせるとヴィレムは密偵を送り出すのだがー。
前世の友人であり、ダイチの父親でもある魔王とも邂逅を果たしたユリス。魔王からこの世界の理と自分の前世に関わる過去の因縁を聞いたユリスは、魔王を求められるまま倒すべきであるのかどうかを迷っていた。だが、魔王打倒を求める神子や神殿の者は次々とやってくる。その中にはルルリアもいた。仲間であるはずのルルリアが神殿の者と一緒に来た本意は?神殿の求める勇者とは?本当に倒すべき相手は魔王?真実を解明するために、魔力の使えない魔術師は、仲間たちとともに、世界を救う最後の決戦に挑むー。
野望の少女フランチェスカ=フランシール。貴族派の筆頭として王族派と対立する影の実力者が、その野望と野心を剥き出しにする時がやってきた。太陽祭を一ヶ月後に控え、賑やかさを増す王都の裏側でひっそりと謀略が侵食していく。強力な魔術兵装『久遠院』を使用して、水晶宮を破壊し国家神である水神リューリカが眠る寝所へ足を踏み入れようと企むフランチェスカ。しかし、それを阻止せんとエンフィール王国騎士団最強にして美しき戦乙女、英雄シリウス=M=アーレンが立ち上がるのだった。
少女たちが待ちに待っていたバカンスがやって来た!初めての海、初めての水着、初めての別荘。たくさんの初めてに胸をどきどきさせるフェリス。魔法学校での鍛練の日々から離れ、陽光きらめくリゾートの休暇を満喫する。ジャネットからの水泳コーチだって、魔石鉱山時代の経験を活かした砂遊びだって、甘酸っぱいいちご狩りだって、フェリスはいつでも全身全霊。灼けた砂を踏みしめ、無邪気な水着姿を踊らせる。フェリスに夢中なジャネット、見守るアリシア、マイペースなテテル。そんな彼女たちが楽しむ海に、またしても事件が起きてしまう。
生贄として召喚された異世界で、最強の水属性魔導士となったソーマ。アリスのあたたかさとアイザンの贖罪に救われ、水の大精霊として生きることを決意する。「戦争をなくし、不幸な子供たちを救いたい」。そんなアリスの夢を知ったソーマはアリスを愛し、世界を制することでその夢を叶えることを約束する。それは、「この世界から召喚魔法を消し去る」というソーマの目的を達成するためでもあった。アリスもソーマの冷たさの中にあるあたたかさと、そして強さの中の危うさに気がつく。ソーマの哀しさを救いたい…。互いに愛し合い、誓い合うソーマとアリスは、その夢のために新たなる人生を歩み出すのだがー。
おじいちゃんの石窯の向こうはブーランジェリー松尾のオーブンの中だった。鬼の操る暗闇の獣から逃れ、サトコは母、そしてマーロウと再会する。皆の安否が気になって仕方ないサトコを母はそっとたしなめる。だからといって、このままになんかできやしない。サトコが向かった先は竜巻山。そこにいたのは石窯ではぐれたコズサ姫と、大魔法使いハーロウだった。マーロウの実兄であり、姫を子どもに変えた“悪の魔法使い”だ。見守るサトコの前で『あの日あの夜』の出来事が語られる。ハーロウが姫に魔法をかけたその理由、それを解くための鍵。敵か味方か判然としない魔法使いに、コズサ姫は要求をつきつけるのだがー。
ルオン達はジイルダイン王国の戦いを勝利で終えた。これで魔王軍幹部である五大魔族のうち三体を撃破し、神霊である水王アズアの協力を得ることもできた。『エルダーズ・ソード』のゲームシナリオとの歪みは生じているが、魔王の暴険を止めるための準備が整い始めた。そうした中、神霊ー不死鳥フェウスから依頼が舞い込んだ。内容は自身の眷属が保有していたアーティファクトが人間に奪われ、それを取り返すが破壊してほしいというもの。奪った人物はナテリーア王国の第二王子ゼクエス。彼はルオンの仲間であるソフィアとリーゼの友人であり、またジイルダイン王国の騒動における関係者だった。
ニュービストでの騒動を終わらせたシュリたちガングレイブ傭兵団は、来たる冬へ向け、別の町で春まで過ごすことにした。到着した町で休息を取る傭兵団の元に、地元領主が訪れて戦の依頼をする。ガングレイブは気乗りしなかったものの、戦の規模と報奨金の額を提示され、冬越えに支障はないと依頼を受けた。しかし、これが後に大きな後悔となる。条件になかった領主の息子の指揮、提案の無視、罵倒、デタラメな戦略で戦況は悪化し、ついには敵の得意な山中へおびき寄せられる。相手の絶え間ない奇襲と強襲。しかも領主の息子が勝手に戦線を離脱。ガングレイブ傭兵団は戦場に取り残されてしまうのだった。
異世界の穏やかな午後。踏鞴家給地での日々を重ねる康太を訪ね、懐かしい客がやって来た。超先進国へカトンケイルの貿易商人ミリシア・ネイデル、超鞴家給地にやって来て数十分の康太にクレーム対応を迫った女性である。彼女に連れられて来たのは、『ピーダーとネイデル、クエリアの会社』の代表人を名乗る少女、ピスフィ・ピーダー嬢だった。商売のためこの地にやって来たのだと語るピスフィとミリシアは、榛美の家に転がり込んだ。ややこしいことになりそうだと予感する康太だが、案の定、ピスフィはたちまち踏鞴家給地のひとびとに疎んじられてしまうのだった。
アルベルタは冒険者としての仕事をしながらハーフエルフの少女・サティエラの母親の手掛かりを探していた。そんな中、レーベンの街は不穏な空気に包まれていた。街の経済の低迷、不良冒険者の怪しい動き。そしてアルベルタを狙う不良冒険者達。アルベルタは持ち前の規格外の力で、悪の手から逃れる。だが、その力の強大さを危懼する者達により、アルベルタの父親の真実を聞かされることになるのだった。父親の本当の姿とは?そして、サティエラの母親の行方は?
ユキの群れ探しが一旦解決した春澄達はメランジュ王国へと戻って来ていた。やがて、春澄達はバルジからの依頼を受ける事に。バルジの古い友人が治める地に沼があり、そこに正体不明の魔物が居るというのだ。何人もの人間が犠牲になっており、手に負える者が居ないため、魔物を倒すよう頼まれたのだった。その沼がある辺境へと向かった春澄達は、領主の館で以前出会ったサティウスとフィルス兄弟に偶然再会する。どうやら今回の依頼は兄、サティウスの方にも少なからず因縁のある依頼内容だったようだ。春澄達は依頼を達成するため、サティウスはトラウマを克服するため、共に沼へと出発する事になったのだが…。
テルミア空軍所属の結城文洋は、三都同盟との交戦中に、戦場には不釣合いな少女と邂逅する。その場は撤退し、日を改めて再び三都同盟と相見えたとき、伝説の青竜フルメンの裁きにより戦場は崩壊。戦争は星誕祭が終わるまで一時休戦となる。近くの領地に堕ちた文洋が自宅に戻ると、待っていたのは戦場で出会った少女レオナだった。飛行船から投げ出されたところを、アパートメントの大家ローラが保護したのだという。レオナは実家を取り潰さんとする貴族の策略で戦場に駆り出されていた。実家に残された弟を救出したいと願うレオナに、文洋とローラは協力することに決めるのだがー。
意外な一面を見せたカトリーヌ。あれほど意地悪ばかりしていた少女は、本当はノエルのことを…。だがカトリーヌの人生は、闇の覇王となって君臨する父親によって大きく狂わされていく。この世界で幸せを掴む唯一の方法は悪しかない。そう教え込まれていく。一方ノエルは母親に認められるために試練の旅を始める。彼女が手にするのはひのきの棒。それは攻撃力たった1の、世間でいうところの無いよりマシなガラクタ。されどノエルは、その小さな手にひのきの棒を握りしめ、強大な試練へと挑むのだったー。