制作・出演 : アンドレ・プレヴィン
ムローヴァが古楽奏法などに目を向け変貌を遂げる前の、80年代の彼女の代表的なアルバムだ。幾分冷たい完璧な技巧が、この2曲に見事にはまって、彼女の欠点が大いなる長所となって聴き手を圧倒する。
若きブラームスのメランコリックなロマンティシズムが充満している第1番と、ピアノ紗重層の世界を広げたベートーヴェンの「大公」の組み合わせ。豪華メンバー3人による極上のひと時を味わえる1枚だ。
ヴァイオリンのチョン・キョン=ファ、チェロのトルトゥリエは、ともにプレヴィンの指揮の下、ソリストとしてもオーケストラとしても共演している。息の合った3人の心の交流が随所に感じられる室内音楽が収められている。
ムターのメンデルスゾーン・アルバム。協奏曲ではムターらしい表現の幅の広い独創的な演奏が聴ける。ピアノ三重奏曲第1番では、個性的なムター、ロマンティックなハレル、優美なプレヴィンの組み合わせが面白い。ソナタはプレヴィンとの親密なデュオ。
制作・出演
アンドレ・プレヴィン / アーサー・オールダム / オードリー・クリフォード / シーラ・アームストロング / ジェラルド・イングリッシュ / ロンドン交響楽団 / ロンドン交響楽団合唱団 / 聖クレメント・デインズ小学校合唱団プレヴィンの2種ある「カルミナ・ブラーナ」の最初の録音。この曲が持つあふれんばかりの生命力がプレヴィンの指揮で沸き立ち、見事なバランスを保っている。ロンドンso.&cho.による演奏と合唱も明瞭で秀逸。
63年の録音。プレヴィンが初めてクラシックの管弦楽曲を振った記念すべきアルバムである。組曲「赤い子馬」はコープランドの映画音楽の組曲版で、覇気に満ちた溌剌とした演奏がいかにもプレヴィンらしい。ブリテンの「鎮魂交響曲」も感情移入と表現が凄まじいばかりだ。
プレヴィンがクラシックの世界へ本格的進出を果たした時期を飾る、記念すべき一枚。旧CBSと契約、同レーベルの名ピアニストたちとの競合を避けつつ演奏家としての真価を発揮できる企画は、20世紀生まれの活きの良い作品群だった。抜群の演奏が当時の米CBS臭がいっぱいの音質で聴ける。
プレヴィンが残したモンド系の一枚。当時のポピュラー・ヒットをハープシコードも用いて演奏する姿が興味深い。しかもソロはご機嫌この上ない。コマーシャルな作品を思わせる作りだが、聴くひとが聴けばこの面白さは格別だ。世界初CD化である。
ミュージカル最高傑作のひとつ『マイ・フェア・レディ』楽曲を、その映画用編曲を担当したアンドレ・プレヴィンのリーダー・カルテットによるジャズ版で聴く。そんな贅沢な一枚はなんとも小粋で華麗、そして大胆さに充ち満ちた、この64年録音アルバム初の日本CD化だ。
60〜62年にかけてコロムビアに録音した『シンキング・オブ・ユー』など3枚のアルバムから10曲を選曲した作品。タイトル曲をはじめ「ホワッツ・ニュー」「虹の彼方に」など曲はスタンダードばかり。洒落たアレンジのストリングス入り作品で最高にエレガント。