制作・出演 : オーケストラ・アンサンブル金沢
形ばかりに気を取られず、多少いびつになっても、もっと人間の感情を素直に表わした音楽をしようよ、というのがそもそもの“バロック”だったとか。ならば19世紀のロマン派とどう違うのか。最近疑問に思うことしきりである。この「四季」、まさにそんな感じ。
NHKテーマ音楽がメインになっているものの、渡辺俊幸“流”のオーケストラ作品集、と捉えていい内容。「永久の愛」アリア・バージョンなど、見事な別作品として成立している。渡辺の中で温められ、考えられ、完成された、現代における“オケ”の姿がここに。
“なごみ系ヴァイオリニスト”として人気沸騰中の奥村愛の待望のセカンド・アルバム。メロディアスな名曲をしっとりと素直に歌い上げ、聴き手に安らぎのひとときをプレゼントしてくれる。なんとも言えない優しさに満ちた、ハートウォーミングな演奏が魅力的だ。
2003年3月の“ルービンシュタイン没後20年メモリアル”公演のライヴ。熱のこもった堂々たる演奏だが、そこには女流らしい優雅さやたおやかさが息づいている。その絶妙な匙加減は長年の経験による賜物だろう。中村紘子の円熟ぶりを示す濃密な一枚だ。
いわゆるオーセンティックな奏法、解釈がみごとに実を結んできている最良の証しのひとつ。タイトなサウンドと歯切れのいいリズムが曲の構造を顕わにし、管と弦のバランス(弦が少ない)と、ティンパニの躍動感から来る荒々しくも革新的な音色感。みごとな演奏だ。★
98年にニコライ・マルコ国際指揮者コンクールで優勝し、世界的に注目されている新進気鋭のマエストロ、金聖響。古楽的なアプローチを取り入れて、新鮮なベートーヴェンの交響曲2曲を披露する。
小編成による、ごくごくまっとうな演奏。学究的な面を強調されても困る時があるが、この演奏のように特に書くこともないような普通の演奏もまた困る。冒険心のない人、あるいはこの団体、指揮者を支援している人のためのディスク。録音もごく普通の出来。
外山と徳山の作品は、民族的素材を“モロ”に使ったショウ・ピース。聴いて面白いのは西村の2つの作品。二十弦箏を使った「樹海」の繊細な響き、そして西村チックでなんとも分厚く精力的な「鳥のヘテロフォニー」。オケはもう少し頑張って欲しいけど。
名誉コンマスのマイケル・ダウスが弾き振りで、2002年1月に行なわれたコンサートのライヴ。超有名な曲がズラリ。素直でスキッとしたきれいな響き。ちょっと俗っぽさがあっても……。でも、その清潔感がこの演奏の良さ。ワルツ&ポルカの入門用にピッタリだ。
室内オケをバックに弾く中村紘子のベートーヴェンは、とてもキメ細やかで軽やかなタッチが魅力。ダイナミックさや重厚さで聴かせる音楽とは別世界のような澄み切った響きが美しい。作為を感じさせない素直な表現が素敵だ。デビュー40周年の記念録音。