音楽むすび | 制作・出演 : ジョナサン・リッチマン

情けない中年男の悲しみをシンプルなサウンドにのせて歌うジョナサン。不幸ではないけれど、決して幸せではない、といった世界はアメリカのポスト・モダン小説を読んでいるようだ。ひとり言を呟いているようなヴォーカルが、琴線を優しく刺激する一枚。

ビザークレー時代の5枚のアルバムから選出した初期にジョナサンのベスト盤的CD。ヴェルヴェットが全世界で道にまよってボーとしてしまったような甘く若々しい曲がたんまりつまっていて飽きさせない。脱力と緊張が同時にやってくる快曲ぞろい。

ニール・ヤングが作ったという新レーベルから登場した97年リリースのアルバム。といっても間抜けそうな海賊に扮したジャケットからしてマイペースの作風は不変。さまざまな音楽性を取り込みながらも、決して才気走っては見えないとぼけたパーソナリティがこの人の最大の魅力。