制作・出演 : ダニエル・バレンボイム
ワーグナー:ニーベルングの指環〜管弦楽曲集ワーグナー:ニーベルングの指環〜管弦楽曲集
バレンボイムはシカゴ交響楽団から実に彫りの深い充実した響きを引き出し、舞台を彷佛させる劇的起伏に富んだ演奏を繰り広げる。バイロイトでの経験に裏付けられた自信のなせる業だろうか、巨匠的輝きに満ちた名演は終曲に至り、圧倒的感動を呼び起こす。
リスト:ファウスト交響曲リスト:ファウスト交響曲
ゲーテのファウストを題材にしたこの曲は1時間を超え声楽も加わる大作。難渋なイメージがつきまとうが、この演奏は明快。バレンボイム、ベルリン・フィル、ドミンゴという豪華な組み合わせでリストの雄大なオーケストレーションの渦に身を置くのもよい。
ブラームス:ヴァイオリン協奏曲&ヴァイオリン・ソナタ第3番ブラームス:ヴァイオリン協奏曲&ヴァイオリン・ソナタ第3番
協奏曲では自作のカデンツァを弾くなど、意欲満々。その切れ込みの鋭さや堂々とした風格はさすがである。ただし、音の弱い部分になると何となく生彩がないというか、味が薄くなりがち。録音のせいなのか。ソナタもいい場面はあるのだが。
楽劇「ラインの黄金」楽劇「ラインの黄金」
今や「オペラ」がその活動の重要な場となったバレンボイムの現状を確認するのに格好のCD。その巧みな指揮がこの作品をいっそうおもしろいオペラにしている。歌手たちに(歌での)芝居をタップリさせて、休みなしの2時間半を一気に聴かせてくれる。
ワーグナー:楽劇「神々の黄昏」ワーグナー:楽劇「神々の黄昏」
バレンボイムは88年以来バイロイト音楽祭で「指環」の指揮をとっており、この「神々の黄昏」が91,92年の上演による全曲録音の完結編となる。“ワーグナー指揮者”としてのバレンボイムの最近の充実ぶりを伝える、幅と深さをもった演奏である。
ブルックナー:交響曲第2番ブルックナー:交響曲第2番
ズシっと分厚くダイナミックなオケの響き、みごとに統制されたバランス、輝かしいブラスの鳴り、安定の極みをいくテンポ感。バレンボイム2度目の全集はベルリン・フィルのサポートを受け、この2番のライヴで完結。すばらしい完成度に仕上がった。