制作・出演 : ダニエル・バレンボイム
晩年のショパンが渡英前に出演、結果としてパリでの最後のコンサートとなった一夜を再現。当時の社会情勢を詳説、曖昧な資料から当日の曲目を推定していく22ページのノーツは読みごたえ十分(これだけで購入価値あり)。音源は新旧あるが視点は一貫しており、秀逸な選曲だ。
ワーナー・クラシカルが擁する名指揮者たちによるマーラーのベスト・アルバム。交響曲の第1番から第9番までの聴きどころの楽章に加えて、連作歌曲集「亡き子をしのぶ歌」と「さすらう若人の歌」から各1曲収録している。
一枚のCDをこれほど慈しんで聴き通したことがあっただろうか。ネトレプコの情感あふれる歌唱は聴く者の心に沁みわたり、繊細かつダイナミックに寄り添うバレンボイムのピアノが胸に響く。祖国の作曲家に寄せるソプラノの深い共感が育んだ感動のライヴである。★
NHKの大河ドラマ『龍馬伝』にあやかった企画もの。龍馬と同時代の作曲家の作品と、『米欧回覧実記』に登場する曲でまとめられている。あまりにストレートな選曲で、ひねりがないのは面白くないが、選ばれた演奏は優れたもので、難しいこと言わずに、ひとつの名曲集として楽しめばいい。
デュ・プレがバレンボイム、ズーカーマンと組んだ、1972年のテル・アヴィヴでのライヴの放送用録音。モノラル録音で最良の録音状態ではないが、若き3人の熱気がストレートに伝わる、スケールの大きな白熱した演奏が素晴らしい。一聴の価値大だ。
細部まで玲瓏克明にピアノを響かせることに終生こだわりぬいたミケランジェリ。老齢に至り、肉体が及ばぬ際には時に音楽のノリをそぐことも厭わず透徹する。その孤高の音の姿を捉えた80年代未発表録音。シューマンはまさにぎりぎり、ドビュッシーは無二の絶品だ。
メータにザイフェルトにバレンボイムにベルリン・フィルハーモニー。何とまあ豪華キャストの2枚組だろう。難しいこと言いっこなし。それぞれの名手たちが繰り広げる、豪華絢爛・高カロリー・超絶技巧の一大エンタテインメントの数々を、とくとお楽しみあれ。
20代後半から病のため一線から退かざるを得なくなった、デュ・プレの20代前半の情熱的ではつらつとした演奏を収めた作品。彼女の生気あふれる演奏は、強烈に聴く者を惹きつける魅力に満ちている。
世界遺産を使っての大イベント。大きくない編成のウィーン・フィルが大観衆に負けじと頑張っている姿が目に浮かぶ。熱気に煽られたせいか荒っぽいところもあるけれど、それもライヴの醍醐味。テーマの“夜”は熱く盛り上がったようだ。珍しい版での「はげ山〜」が新鮮。
パールマンの2度目の録音となるブラームス。一点の曇りもない明瞭なヴァイオリンと堂々としたバレンボイムの指揮とが相まって、スケールが大きく明朗なブラームス像が浮かび上がっている。多くが楽しめる演奏だ。
ガーシュウィンとバーンスタインは97年の録音だが初リリース。バレンボイムのドラマティックな指揮とシカゴ響のにぎやかなノリのコンビネーションが楽しい。後半に彼らのお得意の「ダフニス」や「トリスタン」(ともに90年代前半の録音)も収める。
バレンボイムの弾き振りによる全集からの抜粋盤。当時、弾き振りの全集としては画期的なもので、まだ30代のバレンボイムの、ロマンティックではつらつとした演奏が、この幸喜の作品にピタリと合っている。
バレンボイムは弾き振りで2度モーツァルトのピアノ協奏曲全集を完成させているが、これは最初の時のもの。はつらつとした若さあふれる指揮とピアノは、時代を経ても新鮮に響いてくる。一聴に価する一枚。
“ニューイヤー”は、バレンボイムは意外にも初めてだそうだ。それにハイドンの没後200年を記念して「告別交響曲」の第4楽章が初めて取り上げられた。ほかにも初登場の曲が2曲入って、初ものづくしでおめでたい。演奏も決めのポーズが決まっていて、とにかく格好いい。
バレンボイムの弾き振りで聴くベートーヴェンのピアノ協奏曲全集。過去、ピアニストとして1度、指揮者として1度録音しているが、今回は両方を兼ねての3度目の録音。BPOとの絶妙な共演は、聴きごたえ十分だ。