制作・出演 : デイヴィッド・ジンマン
最高の音で楽しむために!
最高の音で楽しむために!
ジンマン&チューリヒ・トーンハレ管が番号順に録音してきたマーラー交響曲全集が第10番に到達。ただし、よく演奏されるクック版ではなく、編曲者の自由度が比較的高いカーペンター版(83年初演)が用いられている。非常に明晰で洗練された演奏が繰り広げられている。
30歳の頃(1900年前後)から晩年(1940年)にわたって書きためられた“ジャングル・ブック”シリーズの世界初録音音源に、映画に関連した作品を加えての再発。この作曲家の語法と描写力の多彩さを知るに最適な一枚。オケは作品95第3曲のような複雑をきわめた箇所ではやや苦しいが、よく健闘している。★
オーケストラのしなやかで美しい響きを駆使し、求心的に、真摯に音楽を進めるジンマン。バーンスタインのような荒れ狂った灼熱はないが、その分細部の濃密さが光る。ふっくらと豊かに響く録音もうまく味方につけて、新時代のマーラー像を描いている。
マーラーの言を借りるならば、ジンマンはこの作品に至るために7作品の番号順収録を重ねてきた。広がり・奥行きともに申し分のないバランスが繊細に保たれた80数分の音の洪水。「千人」がこけおどしでなく、必然のスケールであることを納得させてくれる。マルチ録音が“4ch”なのも実に見識。★
この曲が難解? ジンマンの指揮で聴くと、そうは感じない。音のバランスや強弱が正確無比で、マーラーが意図したであろう楽器の配置による効果や空間性までハッキリと聴きとれる。その明晰さを支える録音の良さ。SA-CDマルチ再生でこそ真価を発揮する。
マーラーは混沌でも肥大化した主観的な感情表現でもない。複雑なオーケストレーションを冷徹に見つめ、マーラーの意図を克明に描く。恣意的な表現をまったく感じさせない自然な音楽……だからこそ見えてくる透明感あふれる色彩の美しさ。ジンマンの真骨頂だ。
ボルティモア出身の17才(当時)の天才ヴァイオリニスト、ヒラリー・ハーン待望の第2弾。衝撃のデビューを飾ったバッハ・アルバムは全世界で高い評価を得たが、今回は「ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲」と「バーンスタイン:セレナード」の組み合わせよる21世紀へ向けて新たな可能性を追求するコンチェルト・アルバム。ジンマン指揮するボルティモア響のサポートを得て、ヒラリーのヴァイオリンは堂々と美しい調べを奏で上げる。
ジンマン&チューリヒ・トーンハレ管によるマーラー・シリーズ第5弾。各楽器が明晰に聴き取れる新鮮な演奏&名録音。さまざまな楽器が絡み合いながら、すべての声部に歌が感じられるところが素晴らしい。ジンマンの指揮には円熟と洗練が感じられる。★
他パートとズレる冒頭のフルートから、終楽章のソプラノの裏で鳴るコントラバス・ソロの扱いまで、また各所でのポルタメントや第2楽章のソロ・ヴァイオリンの開放弦での漸強加減など、スコアの緻密な細部描写は単なる刺激に終わらず、濃密なタペストリーを形成する。★
ジンマンの、ベートーヴェン・シリーズ、交響曲、序曲に続く第3期となった協奏曲をまとめたBOX。鮮烈なブロンフマンとのピアノ協奏曲をはじめ、聴きごたえのあるセットになっている。七重奏曲にも注目。
ツィクルスも第3弾であること、そして内容が自然賛歌であることもあってか、今作はジンマンらしい良さが十分に発揮されていると思う。特に後半部分の清潔で見通しの良い響きはたいへんに心地よい。特にマルチで再生するとその効果が倍加されるかも。
ジンマンの新プロジェクトがスタートした。レーベルもメインのRCAに移り、旧デッカ・チームの音質も生きるSA-CDハイブリッド盤でのリリース。オケの楽器配置から微細なフレージングまでが克明に聴き取れていて、憂愁の音楽の流れを阻害することがない。