制作・出演 : バーミンガム市交響楽団
抜群の推進を誇った、ラトル30歳後半の快演。バルトークの独特のリズムを、このようにカッコ良くきめられる指揮者は、そうはいない。それに加えて、オーケストラの透明感あるサウンド作りも驚嘆ものだ。
フィリップスから移籍のリーラ。協奏曲は冒頭から実に魅惑的な音色で歌い、聴き手をグッと引き寄せる。リズムの切れ、カデンツァの妙技と練り込んだ表情など、また一歩前進した姿がうかがえる。オラモの伴奏も骨太で雰囲気豊かで理想的。ソナタも同等の名演。
オラモ/CBSOによるフォールズ作品集の2作目。英国内でも過小評価されている作曲家の、多彩な様式感と先進性が洗練された演奏表現で示される。ドノホーのソロを含め精緻なアンサンブルでこうした作品の美質を見事に引き出すオラモの力量には感服。
ラトルの後を受け、完全にバーミンガム市響を掌中に収めたオラモの、初のマーラー。バーミンガム市響は、オラモの手によって、ラトル時代とはまた違った輝きをみせ、卓越した演奏解釈が味わえる。
ルガンスキーは若々しいパワーを存分に発揮しつつも、単にガンガン叩いてなるものかという彼自身の厳しさもひしひしと聴き手に伝える。オラモもそれに同調し、甘さを控えめにした、大人の味を展開している。第2番も良いが、第4番がいっそう良いかもしれない。
大言壮語や誇大妄想の代表みたいな曲だけれど、ラトルの手にかかると様相が一変。もちろんこの編成ならではの迫力にも事欠かぬが、それよりこの曲にこんな繊細で美しい場面があったのかと気付かせることの方が多い。これでラトルのマーラー全集が完結。
イギリス近代の音楽というと、どこか過激先端を避けて音の肌触りを独り楽しむ風情があるのだが、20世紀初頭を生きたフォウルズの音楽は時代と角逐する鮮烈な響きの意匠があって清新。インド音楽やケルト音楽を取り込んだ作品など、今を先駆けしているようだ。