制作・出演 : ブラームス
チョン・キョンファが初めてブラームスを取り上げたとして、非常に話題となった録音。それまでのキョンファと違い、禁欲的ともいうべき演奏で、ブラームスと一体となり、深奥に分け入った名演となっている。
編成の小ささゆえに声部の見通しがよく、対向配置も一層の効果をあげている。その上、音が痩せてしまうことがほとんどないのは秀逸。ただし、終楽章に向かって調子を上げてゆくものの、特に前半二つの楽章で指揮とオケが煮え切らず噛み合わない瞬間が少なくないのは残念だ。
バレンボイムと結婚した頃のデュ・プレ全盛期の録音。確固とした造形と、情熱的でロマンティックな躍動感あふれる音楽とが、完全に一体となった見事な演奏だ。バレンボイムのピアノもピタリと寄り添って瑞々しい。
特にブラームスはリハーサルで徹底的に鍛えた跡が十分にうかがえる。とにかく細部がこれだけきちんと聴き取れる演奏は珍しい。しかも、そうした細部をこれみよがしに強調していないところが老練の技だろう。メシアンもきりりと引き締まっている。
ブラームス48歳時の充実期の傑作で、第1番よりはるかに洗練度が増している。ポリーニとアバドは、さらに洗練させ、澄明で透明感あふれるブラームスを創出。隅々にまで光を当てた明るいブラームスが堪能できる。
ブラームスは、ムター18歳の時の録音。ゆったりと落ち着いたテンポに乗せて、ムターは伸び伸びと、その持てる力を十分に出している。若き俊才が集った、溌剌(はつらつ)としたベートーヴェンも秀逸。
ブラームスの最初の大作でもある作品で、ピアノ付交響曲といった趣のある一曲。ポリーニとアバドのコンビは、必要以上に重厚にならず、青春の息吹に富んだ清涼感あるブラームス像を作り上げている。
旧東ドイツのオルガニスト、アルブレヒトによる、意外にも珍しいブラームスのオルガン曲全集。遺作となった「11のコラール前奏曲」など、ブラームス晩年の澄みきった美しさに満ちている。一聴の価値大いにあり。
ウラッハの温かさ、柔らかさ、気品のある歌い回しなど、ウラッハの魅力が心ゆくまで堪能できる一枚。デムスとの絶妙な語り合いもまた魅力を倍加している。ホルン三重奏曲の香り豊かな演奏も素晴らしい。
制作・出演
アントン・カンパー / イェルク・デームス / ウィーン・コンツェルトハウス四重奏団 / エーリッヒ・ヴァイス / カール・マリア・ティッツェ / ギュンター・ヴァイス / フェルディナント・シュタングラー / フランツ・クヴァルダ / ブラームスデムスとバリリSQとが作り上げた燻し銀のようなブラームス。若きブラームスの青春の息吹と、厚みがあるサウンドがもたらす暗さがブレンドされたブラームス独特の世界が、瑞々しく繰り広げられている。
ベートーヴェンを意識しすぎ、20年も構想を温めて発表された最初の交響曲。ビューローにベートーヴェンの第10交響曲と言わしめた、ベートーヴェン的な高揚感とブラームスならではの響きに満ちている。
第1番完成の翌年、わずか3ヵ月ほどで書き上げた作品。“ブラームスの「田園交響曲」”とも呼ばれているが自然描写はなく、温かく伸びやかな雰囲気で、彼の4曲の交響曲の中で最も親しみやすい作品となっている。
ブラームスの特徴の一つである渋くて厚みのある響きで覆われているが、メロディ自体は大変に美しく、第3楽章は映画『さよならをもう一度』で使われて有名になった。重厚で泣かせる「悲劇的序曲」とのカップリングで楽しめる。