制作・出演 : ベートーヴェン
戦後のソ連を代表する名ヴァイオリニスト、オイストラフの代表的録音のひとつ。「春」の優美さ、「クロイツェル」のスケールの大きな堂々としたたたずまい。盟友オボーリンとの完璧なアンサンブル。
協奏曲は、シェリング、2度目の録音。厳しく律したヴァイオリンながら、この上ない美しさも持ち合わせるシェリングの、独得の格調高い音楽美が味わえる。指揮もまた一分の隙もなくヴァイオリンに添っている。
リヒテルが西側に出てきて間もない頃の録音。全曲録音からのセレクション。ロストロポーヴィチもまだ若く、その気迫のこもった演奏を、リヒテルががっちり受け止めるという、稀有なスケールを持った名演。
大病から一時的に再起したテンシュテットが残した晩年の「英雄」。スケール感はあるが、少しも威圧的ではなく、人間的な温かさと包み込むような寛容さが全編に満ちあふれている。聴いているうちに、感動がじんわりと心の奥底まで染み入ってくるような名演盤。
弦を主体に管の響きを巧みにブレンドした作り。「田園」は穏やかさに満ちた第2楽章が特に見事。第8番も小粒なイメージを払拭するもので、特に第3楽章は、スケルツォ(的なの)は第2楽章であって、こちらはメヌエットであると主張するようにどっしりと構えている。
仲道郁代のベートーヴェン・ソナタ全集の録音もこれが中間地点。徒にパワーやスケールを追求せず、過剰なドラマ性や思い入れを排除して、作品の素の姿を浮き彫りにすることに成功している。彼女独自のカラーを感じさせる、等身大の落ち着いた佳演だ。
発売元
キングレコード株式会社意外にも「皇帝」は初録音。奔放さがよく話題になるが、彼の持ち味は、その音の美しさにある。オーケストラはごく普通の出来でしかないが、随所にハイドシェックの自由な精神がきらきらと輝いている。また第5番のソナタもライヴで入っていて、これもまた美しい。★
ドイツの正統派としての評価は高まる一方だが、この真摯でストレートな演奏は彼自身の持ち味。音色には透明感もあり、切れのいいタッチには現代的な感性も感じさせる。伝統を受け継ぎながらも、彼自身の音楽を作り上げ、それを熟成させてきたのがオピッツだ。ヤノフスキ&名門オーケストラががっちりと組んで作った枠のなかで、オピッツは意外にもさまざまな束縛から開放されて自由な音楽を作り上げている。オマケなのだろうが、ベートーヴェン自身によるヴァイオリン協奏曲の編曲版は、オリジナルのピアノ協奏曲みたいで聴きもの。