制作・出演 : 日本フィルハーモニー交響楽団
外山の作品は、確かにその指揮活動ほどには知られていない。これは60〜80年代の作品。まず聴こえてくるのはオケの手慣れた扱い。次に典型的な民族的素材、音楽の手慣れた定石。ある種、職人的な作曲手腕。でも“日本の国民音楽”ってこういうの?
戦後の日本クラシック界を代表する作曲家のひとりだった芥川の中期から後期にかけての管弦楽作品集。前衛的・実験的作風から、彼自身の本質的な嗜好にも沿った都会的でスマートなリリシズムの復活への橋渡しをはたしている点にも大きく興味をひかれる。
68年発売LPの再発売。明治100年記念企画。「日本独自の美しさと力強さを表現する交響曲」冒頭、龍笛のソロでしめやかに始まり、オケが旋法的に入るとすぐに筝が参加……。ものすごいものである。第3楽章では法螺貝から戦の描写! ものすごいものだ。
日本語のナレーションによる「兵士の物語」。観世栄夫と観世寿夫のナレーションが凝っていて素晴らしい。演奏は少し淡泊だが、悪くない。今の日本の音楽界では考えられないような企画力と周到な準備による70年代の意欲的な録音といえる。
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キングレコード株式会社日本語による舞台で、これほど言葉が聞き取れることは少ない。邦訳歌劇の上演史に残る1970年の貴重なライヴである。資料的価値もさることながら、オペラを聴く醍醐味を満喫せてくれる。生き生きとした音楽を描き出す山田一雄の指揮が果たす役割も大きい。
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キングレコード株式会社映画『もののけ姫』の主題歌を歌って一躍有名になった米良美一は今や日本を代表するカウンター・テナーの一人となった。ふっくらとした美声が生かされた(6)に耳を傾けてほしい。溢れ出る感情を抑制したデリケートな歌い口に彼の真摯な姿勢が感じられる。
日フィル定期のライヴ。コバケンといえば、チェコ・フィルとの劇的な“幻想”の録音が記憶に新しいが、これまた熱気に溢れたベルリオーズ。作品の交響的な本質を見事に捉え、真に迫った表現を実現している。随所に聴かれる唸り声にも彼の気迫がうかがえる?!
コンドラシン・コンクールを経て、国際的に華々しく活躍している広上淳一の、サントリーホールでの録音。録音上のバランスや音の厚みは今一つだが、演奏そのものはコントラストが明確で優れた内容を持つ。特にクライマックスへの突進が過激といえるほど。
コバケンのチャイコフスキーが、なぜ共感を与えるのか。それは曲への熱い思い入れがなせる濃厚な表現と言えるだろうか。第1番〜3番あたりも、できるだけ整然とした演奏を心がけようとするものの、その棒の隙間からあふれ出る情熱のほとばしり。これがオハコともいえる第5番になったら……もう、ファンにはたまらないコバケンの世界。93〜95年に収録されたライヴ。貴重な個性だ。
わずかに8曲の主要作品のみを残し他界した矢代秋雄と、若くして独自の境地を開いた三善晃、2人の天才がともに「日本フィル・シリーズ」のために書いた代表作。戦後日本の音楽史という視座で聴くと、58,60年の音と個性、時代も、新鮮に響いてくる。