制作・出演 : 角松敏生
ひさかたぶりのシティ・ポップ路線の復活だが、この男にかぎって言えば形を変えながらも常に意識してきた70年代の日本のロックへの憧憬が、ようようたくましさをつけてきた、と解釈したい。クレジットに相変わらず居並ぶ女の名前にはまいるけど…。
デビューから1987年までの作品から20曲を選び、2枚のディスクに収めた。といっても単なるベスト盤ではなく、モノによっては手を加え、お色直しがされている。プロデューサー角松が、過去の作品を新たに蘇らせたといった趣のアルバム。
メロディックな楽曲からダンス・チューンまで軽くこなしちゃうサウンド・メーカーの5曲入りアルバム。スロー〜ミディアムのバラードを中心に、それなりに凝ったアレンジなのに、メロディーと歌詞とが聴き手に迫ってくる。ヤンチャな小僧も大人になった。
70年代フォークのような暗いジャケット。本当に角松のアルバムかと一瞬我目を疑った。タイトルも随分今までとイメージが違うじゃないか、何があったんだ角松? 辛い恋でもしているのだろうか。一つ一つのフレーズが冷たいシャーベットみたい。しみる。
角松敏生のバラード集。角松というと、サウンド志向のアーティストというイメージが強く、それも彼の一面だが、バラード・シンガーとしても人気が高い。こうしてバラードばかり集めるとその楽曲のトーンの似ていることに、改めて気づく。
87年のギター・インスト盤『SEA IS A LADY』に続いて、ギター奏者としての角松敏生をフィーチュアした90年のアルバム。前作よりも陽気に歌いまくっている饒舌なギター・ワークが如何にも彼らしい。女性を口説く時の多彩な手練手管を音楽化したようなインスト集だ。
89年8月26日、日比谷野音でのコンサートを収録したライヴ盤。はっぴいえんどの(1)、鈴木茂の(2)(5)(6)、小坂忠の(4)等、日本のロックの70年代の名曲を鈴木茂、今剛、村上秀一、斎藤ノブらによるスーパー・セッション楽団と共に熱演する。(8)(9)はスタジオ録音。