制作・出演 : 須川展也
そもそもサックス・カルテットは多くないけれど、トルヴェールは世界トップのアンサンブルだと言い切っていいんじゃないかと、今回のアルバムを聴いてつくづく思った。作品ノートをなぞるようだが、名優は悲劇も喜劇もこなす。彼らがまさにそう。今回はラブ・コメディってところだ。
どんなに音楽自身が高潮しようとしても、情緒を濃くしようとしても、不思議なことに加古隆の音楽は、少し醒めた叙情性を失わない。どの曲もメロディを紡いでいくだけのかなり平明な作りながら、それも特有の透明感を醸し出すことに貢献している。
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ユニバーサルミュージック日本のサックス・カルテットが一人のピアニストとともに、ヴィヴァルディ&ピアソラの「四季」を演奏。前者は「春がきた」なども交えたジャジィな編曲、後者はハード・エッジなオリジナルのムードを再現。サックスだけとは思えない豊かな音色が楽しい。
クラシカル・サキソフォンの響きの圧巻博覧。楽器の印象が鮮烈な名曲を全曲ソロで、という意趣の面白さに始まり、近代フランスの柔らかなデリカシー、そして大戦後の新しい耳が創り出す自在なイマジネーションまで、須川の艶やかな音が実に生彩に楽しませる。
NHK連続テレビ小説『さくら』の演奏で、お茶の間を優しい調べで満たして人気急上昇のサックス奏者のベスト。サックスと言っても、ジャズではなくクラシック・サックス。その端正な音色と演奏はどんなジャンルの名曲にも絶妙にマッチ。なごみの一枚。
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ユニバーサルミュージックサクソフォンの祖とうたわれた“マルセル・ミュール”の生誕100年を記念した1枚。彼のために書かれた四重奏曲をメインに、これまで入手困難だった楽曲ばかりを集めたファン待望の録音だ。
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ユニバーサルミュージック岩井&東京佼成ウィンドオーケストラのニューサウンズと、サックスのスーパースター須川展也が合体。サックスの魅力を最大限に活かせるレパートリーで、須川の本領がここに見える。
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ユニバーサルミュージック心からウマイっと思わせてくれるのは、いつもと同じ。ラヴェルの名曲が、サックスのオリジナルのように生まれ変わるのは、この妙技ゆえ。デザングロや吉松隆も、作品、演奏とも充実。タイトル曲(オリジナル)は、遊び心が楽しいが、ちとやり過ぎたか。
すべて須川のために書かれた邦人作品の録音。ジャンルを超える幅広く柔軟な音楽性を持つスーパー・サックス奏者だけに、作曲家をいろなんところを刺激されるのだろう。いわゆる現代音楽だが、どれも個性的で楽しい。のびやかな須川もすごくいい。★
JTのピース・スーパーライトのCMの効果は絶大。でも、これだけの才能なら、もっと一般の人にも知ってほしい。ベスト・アルバムなのだが、セミクラシックのアルバムとしても充実した1枚になった。音色の美しさ、絶妙のフレージングが素晴らしい。★
須川のサックスに接すると、音楽家にとってのセンスの必要性を痛感させられる。それは“聴かせ方”や“語り口”の領域。音楽ジャンルは関係ない。稀有な才能である。ちょっとマジメが入ってるけど山下(この2人、同い年だとか)の柔軟なサポートも極上。
ポスト武満と筆者が勝手に決めつけている吉松隆の傑作コンチェルトを、名手須川展也がものの見事に演奏している。ほかの3曲もいいし、バックも満点で、ぜひお勧めしたい1枚。“サクソフォン?”などと敬遠する人は、ひどく損をすることとなるだろう。★