ジャンル : J-POP > フォーク・ニューミュージック
日常性へ埋没しきり“忙しさ”によって充足されている人々には、相当にうっとうしい歌だろう。ヴォーカリストとしては稚拙だが、だからこそ説得力を持つフォーク・ソングの伝統を再現している。
人呼んで女タモリ。ひたむきなぶんだけタモリよりも上である。躁的女性の代表格(楠田枝里子、幸田シャーミン、黒柳徹子etc.)と鬱的女性の代表格(戸川純、吉田日出子、桃井かおりetc.)を組んずほぐれつさせる所が彼女の醍醐味。毒気もなかなか。
80年の『ごはんができたよ』から87年の『グラノーラ』までの6枚のアルバムからピックアップした13曲に、シングルとしてのみ発表された(9)をプラスしたベスト。各曲のクオリティーについては文句なし。でも、ベスト盤向きの人ではないということを痛感。
手がたいメロディ・メーカーぶりが充実している日英またにかけた力作。1作ごとの成長のたまもの。タイトで力のこもった英録音もいいけど、日本の仲よしでやった(8)がなかなか味わい深い。元気が売りのひとつだったころの皮がこのころではすっかりむけた。
1988年のフリースタイル・ツアーからのライヴ。健康美ばっかりのイメージから、恋もすれば泣きもするアダルトな歌のおねえさんに。余裕の部分と必死の部分の歌に差があるのがちょっと気になるが、内容はとても濃い清潔な作品だと思います。
ロンドンでのレコーディングを続けていた時期の作品で、本作もロンドンで完成されている。ソウルっぽいリズム処理が、肉体の躍動感と精神の高揚感とを、バランスよく一体化させている。新しいキャリアに足を踏み出した実感を伝えるアルバム。
今どき“清貧の思想”などとさも何かありそうに言われるとケッてな気になる。70年前後の東京・中央線周辺は清貧だらけだったではありませんか。そればかりか75年になっても清貧の歌をマジでうたってた人もいた。でも当時の清貧が何を生んだかといえば…。
ドラマ「外科医・有森冴子2」の主題歌(1)も収録。何度聴いても「生きてるって素晴らしい!」と思わずにおれない名曲です。ヴォーカルはさすがに説得力があって、聴いていると気持ちいい高みへと引き上げてくれる感じ。タイトル通り“盛りだくさん”の1枚。