音楽むすび | ジャンル : ロック・ポップス > ハードロック・ヘヴィメタル

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アンダイング・ライトアンダイング・ライト

サンフランシスコのプログレッシヴ/テクニカル・デス・マスター、ファルージャによる4枚目のアルバム『アンダイング・ライト』。 装飾を削ぎ落とし鋭く本能に訴える本作は、バンド史上最も激しくロウな快作!  ファルージャは、サンフランシスコ出身のプログレッシヴ/テクニカル・デス・メタル・バンド。07年の結成当時、メンバーはまだ高校生。 09年に『Leper Colony』というEPを自主制作でリリースし、さらにアメリカ・ツアーもこなすなど、精力的な活動を展開していく。 その結果、テクニカル・デス・メタルの総本山、ユニーク・リーダー・レコーズの目にとまり、11年にはデビュー・アルバム『The Harvest Wombs』を発表。 ちなみにユニーク・リーダー・レコーズは、カリフォルニアのテクニカル・デス・メタル界の親玉、昨年惜しくも亡くなってしまったディーズ・オブ・フレッシュの エリック・リンドマークが設立したレーベルだ。13年のEP『-Nomadic-』、続く14年のセカンド・アルバム『The Flesh Prevails』は、世界的に大きな話題となり、 バンドは現エクストリーム・メタル界最大手のニュークリア・ブラスト・レコーズとの契約を手にする。そのニュークリア・ブラストからリリースされた 16年のサード・アルバム、『ドリームレス』は、ここ日本でも大きな話題となった。  冒頭ファルージャのスタイルを「プログレッシヴ/テクニカル・デス・メタル」と書いたが、彼らのスタイルを形容するのは容易ではない。 「プログレッシヴ」で「テクニカル」な「デス・メタル」であることに疑いはないが、特に『ドリームレス』では、シンセサイザーや女性ヴォーカルなども使われ、 ディジタルでポスト・ロック的雰囲気も強く漂うなど、なかなか一言では表現しきれない要素も多かった。 だが、今回リリースとなる4枚目、『アンダイング・ライト』は、少々様相が異なる。07年から活動を共にしてきたヴォーカリスト、アレックス・ホフマンが脱け、 新たにアントニオ・パレルモを迎え製作された本作について、ギタリストでありメイン・ソングライターでもあるスコット・カーステアーズは、 "raw"であり、"new"であると表現している。噛み砕いて言えば、「前作ではクリーン・ヴォーカルやシンセサイザーなど、さまざまな楽器を導入」したが、 今回は、「もっと生々しくて正直なサウンド」を目指したということ。「『アンダイング・ライト』はまったくの別物であり、 このアルバムはファルージャというバンド、そしてその将来の姿のステートメントさ。この作品こそが、俺たちが磨きあげた本当のサウンドなんだ」という スコットの堂々とした宣言のとおり、確かに前作に比べれば、ストレートな作風へと接近しているのが感じ取れる。 もちろん、そこはあくまでファルージャ基準。彼らの音楽が、テクニカル、プログレッシヴであることに変わりはないのだが。  前作同様マーク・ルイスをエンジニアに迎えた『アンダイング・ライト』は、ファルージャ史上最も激しい作品。 テクニカルでプログレッシヴでありながら、本能的でもあるという見事なバランスが成立している本作で、 ファルージャはより幅広い層へとアピールし、さらに多くのファンを獲得することになるだろう。 【メンバー】 アントニオ・パレルモ (ヴォーカル) スコット・カーステアーズ (ギター、ヴォーカル) ロバート・モーレー (ギター) アンドリュー・ベアード (ドラムス)

ヘックスドヘックスド

極上のメロディの数々、高速ギター・ソロ、ヘヴィなグルーヴ。 アレキシ・ライホ率いるチルドレン・オブ・ボドム10枚目のアルバム『ヘックスド』には、彼らのすべてが詰まっている。 新旧ファンどちらも納得させる新たなる傑作がここに誕生した。 フィンランドが生んだギターヒーロー、アレキシ・ライホ率いるチルドレン・オブ・ボドムについて、多くの説明は必要ないだろう。 その結成は、93年にまでさかのぼる。97年にデビュー・アルバム『Something Wild』がリリースされると、世界中のメタル・ファンへが、 彼らの名を口にするようになる。強烈な速弾きギター、そして卓越したメロディ・センスという、およそデス・メタルらしからぬ武器を手にした彼らは、 エクストリーム・メタルに革命をもたらしたと言っても過言ではない。『Hatebreeder』(99年)、『Follow the Reaper』(00年)、 そしてDeath 'n' roll 路線も見据えた03年の『Hate Crew Deathroll』といったアルバムを、メロディック・デス・メタルというジャンルの 頂点とみなす人も少なくないだろう。そしてこの度、前作『I Worship Chaos』から約3年ぶり、10枚目となるニュー・アルバム、『ヘックスド』が 発売となる。「前よりもキャッチーになってるって言われるんだ。確かにパっと聴いた感じはとっつきやすいかもしれないけど、 よく聴くとクレイジーなパートもあるよ」とアレキシが語るとおり、キラーチューンであふれる本作は、聴きやすさと音楽的クオリティを両立させた 傑作に仕上がっている。つまりはいつも通りのチルボド、彼らのファンならば、ガッカリすることなどありえない作品ということだ。 アレキシのギター、そしてヤンネのキーボードが紡ぎ出す極上のメロディの数々、高速ギター・ソロ、そして21世紀以降の彼らが果敢に取り入れてきた グルーヴ。チルドレン・オブ・ボドムのすべてが、このアルバムに詰まっている。冒頭の「ディス・ロード」こそ、 彼らのオープニング・ナンバーとしては少々異色だが、それ以降はいつものチルドレン・オブ・ボドム節全開。 「70年代のプログレと80年代のポップ・メタルの要素をあわせ持つ」という「アンダー・グラス・アンド・クローヴァー」。 ゴシック的な不気味な要素も持ちながらも、「サビは80年代のオジー・オズボーンの曲」みたいな「ヘカテズ・ナイトメア」。 「もっと注目を浴びてしかるべき曲」として、04年のEP『Trashed, Lost and Strungout』収録の「ナックルダスター」が再録されているのも興味深い。 音楽的に高度でありながら、聴き手を拒絶することがないハイクオリティなナンバーの数々には、アレキシのザ・ローカル・バンド (80年代ハードロックのカバー・バンドで)における活動も影響していることだろう。 全体的に、ヤンネのキーボードのアレンジメントに変化が見られる点もポイントだ。 また本作は、セカンド・ギタリスト、ダニエル・フレイベルグの初参加作品でもある。  ミックスを手掛けたのは、お馴染みミッコ・カーミラ。98年のシングル『Downfall』から20年に渡り、チルボド作品を手掛けてきたミッコであるから、 バンドとは以心伝心。当然最高の音質に仕上がっていることは言うまでもない。 「メロデス・ロックンロール・ランページ」という形容がピッタリの『ヘックスド』。チルドレン・オブ・ボドム、待望の新作は、 往年のチルボド・ファン、新しいファン、どちらも納得させる強力な作品である。 【メンバー】 アレキシ・ライホ (ヴォーカル、ギター) ヤンネ・ウィルマン (キーボード) ヘンカ・ブラックスミス (ベース) ヤスカ・ラーチカイネン (ドラムス) ダニエル・フレイベルグ (ギター)

アンテイムドアンテイムド

フィンランドから登場したハード・ロックン・ロール・バンド、テンプル・ボールズが待望の2ndアルバム『アンテイムド』をリリース! ドライヴ感に溢れたメロディックなハード・ロック・チューンは驚くほどのスケール・アップを実現。ブレイク必至の超強盤がここに完成! テンプル・ボールズは2009年にフィンランドのオウルで、イリ(ギター)、サンテリ(ギター)、イミ(ベース)、アンティ(ドラム)らによって、 平均年齢14歳のバンドとしてスタートしている。放課後に集まってロックのカヴァーをプレイしながら、オリジナルも作るようになった彼らは、演奏技術がアップするにつれ、音楽性もハード・ロックにシフト。一時はクラッシュ・ダイエットに影響を受けて、髪を逆立てて、 メイクを施したグラム風のファッションでポップ・メタル系の音楽をプレイしていたこともあったという。  そんな彼らが2011年にフィンランドのバンド・コンテストに出場した時、GUILD OF PASSIONというバンドと出会うこととなる。 その後も両バンドは対バンなどを通じて親交を深めると、2013年にテンプル・ボールズのヴォーカルが脱退した際、 GUILD OF PASSIONのヴォーカルだったアルデが加入。スター性に溢れたルックスと圧倒的な歌唱力の持ち主であるアルデを迎えたバンドは 一気にパワー・アップを図り、オリジナル曲が揃ったところで、アルバム制作に乗り出すことを決める。 2016年5月にプロデューサーのトビアス・リンデル(ヨーロッパ、H.E.A.T他)がタイに所有する『Karma Sound Studio』に向かったバンドは 約2週間のレコーディングを実施。完成したアルバム『トレーディッド・ドリームス』は2017年2月(日本盤は12月)にリリースされている。  80年代のフィールのある躍動感に溢れたハードなロックン・ロール・ナンバーは収録したこの作品はキャッチーなヴォーカル・メロディも 魅力になっており、新人とは思えないスケールの大きさも話題になったものだった。バンドはアルバム・リリース後、サンテリが脱退したため、 かつてアルデとGUILD OF PASSIONで一緒にプレイしていたニコ(ギター)を迎えると、日本盤発売に先駆けて、 2017年11月10日に渋谷duo MUSIC EXCHANGEで行なわれた“LOUD & METAL MANIA 2017”に出演し、熱いパフォーマンスを披露。 2018年には東ヨーロッパでのツアーや夏のフェスティヴァルへの出演を果たした後、次作の制作に乗り出したバンドは、 11月にシングルの「キル・ザ・ヴォイス」を発表。そして、今回、2ndアルバムの『アンテイムド』が完成したわけである。  プロデューサーにH.E.A.Tのヨナ・ティー、エンジニアにソナタ・アークティカのパシ・カウッピネンを迎えて制作されたこの『アンテイムド』は、 前作同様にロックン・ロールをベースにした活きのいいハード・ロック・チューンが並んでおり、グルーヴが心地よい演奏とキャッチーなヴォーカル・メロディが 実に印象的。分厚いヴォーカル・ハーモニー、ビッグなドラム・サウンドなど、サウンド面でもパワー・アップを図っており、メロディ、アレンジなど、 すべてにおいて圧倒的なクオリティを誇っている。アルデの存在感抜群のヴォーカルなど、バンドの魅力を満載した作品を通じて、テンプル・ボールズが さらに大きな飛躍を遂げることは間違いないだろう。 【メンバー】 アルデ(ヴォーカル) イミ(ベース) イリ(ギター) ニコ(ギター) アンッティ(ドラムス)

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