ジャンル : クラシック > 交響曲
芥川也寸志(1925〜1989)の30代前半に書かれた同作品は、宮澤賢治の原作をもとにナレーション入りの15楽章で構成されている。交響曲というには少々無理がある。むしろ描写性にすぐれた劇音楽に近い。それと映画音楽組曲「八つ墓村」と「八甲田山」も併録。芥川音楽の解明には不可欠な一点となろう。
2008年から東京都響のプリンシパル・コンダクターを務めるインバルと同オケとの2009年の東京文化会館でのライヴ録音。快適なテンポで進められる、インバルらしいキレのよい演奏。第2楽章のカンタービレをはじめとする都響の弦楽器の充実ぶりが印象的だ。
若杉の追悼盤で、買いやすくセット化したもの。日本でブルックナーの演奏というと朝比奈が有名だが、この若杉盤はオーケストラがしっかりしているため、なかなか秀逸。第9番はちょっと肩に力が入った感じだが、表情は端正で上品である。第2番はその誠実な棒が生きた解釈で、朝比奈に決して劣るものではない。一方、べートーヴェンの「英雄」は柔らかくこぢんまりとまとめたもの。ハイドンは知情意のバランスがとれた演奏で、一番出来が良いかもしれない。ブルックナーとハイドンはもっと広く聴かれても良い内容だろう。
さすがオラモだ。アクセントが明確。音を引きずることなくキビキビと音楽を進める指揮振りで、じつに新鮮なシューマンを聴かせる。やや低域を抑えたバランスで、響きもスキッとしている。「ライン」の第2、3楽章など、彼らしい個性的なテンポ設定にハッとさせられる。
発売元
日本コロムビア株式会社“2本のメイン・マイクによるピュアな高音質”を謳うHQCD。過去には“ワン・ポイント”録音を強調していたレーベルだけに、多少の矛盾を感じるのは否めない。しかし、会場の響きが、インバルのうめき声ともども、眼前にストレートに湧き上がってくるさまはオーディオ的、音楽的の両面で愉悦。
2本のマイクで収録した“ワン・ポイント”シリーズ。このような大きくない編成にこの収録方法は効果的。非常にふっくらと自然に鳴っている。むろん、演奏内容も秀逸。現代楽器で正攻法にやっており、頻出する各ソリストの妙技もたっぷりと楽しめる。
絶対に神秘的にやらないブルックナー。ミスターSにとっては、演奏する作品が何であれ、あくまでスコアをリアリスティックに鳴らすことが最重要なのだ。でも考えてみれば当たり前。音楽家は音楽家であって、似非文学者や哲学者じゃない。大きな拍手を。
バーンスタインが一度だけベルリン・フィルに客演した際の、貴重な記録。ライヴならではの乱れなど傷はあるが、それを忘れさせるほどの入魂の名演を繰り広げている。リマスタリングによって、名演が一枚に収まっているのもありがたい。
クーベリックがベルリン・フィルを振った代表的な録音で、最初のシューマン交響曲全集だ。ベルリン・フィルが持つドイツ気質をもって厳しくも筋肉質な響きを作り出し、骨太なシューマン像を形成している。
制作・出演
SWRヴォーカル・アンサンブル・シュトゥットガルト / クララ・シューマン / クリストフ・リヒター / シュトゥットガルト放送交響楽団 / デーネシュ・ヴァールヨン / ハインツ・ホリガーシューマン夫妻とブラームス。この有名な三角関係が影を落とすロベルトの作品、いや、その深層心理をもとにして作り上げたホリガーの意欲作。内面の錯乱や狂気をそのまま音にしたような凄絶とも言えるものだ。演奏者たちの反応が鋭敏で生々しい。