ジャンル : クラシック > 管弦楽曲
ウィーン・フィルのニューイヤーのアルバムは、どれもが楽しいが、荒っぽい演奏の時もなきにしもあらず。でも、今回のマゼールのはリラックスしていながら、演奏も上等な絹のようになめらか。普段は取り上げられない作品でも懐かしささえ感じさせてくれる。
制作・出演
ウィリー・ボスコフスキー / ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 / クラウディオ・アバド / ニコラウス・アーノンクール / ヘルベルト・フォン・カラヤン / ヨハン・シュトラウス2世 / リッカルド・ムーティ / ロリン・マゼール古楽器を使用することで作品のオリジナルな味わいが蘇った好企画の完結編。12歳のロッシーニが作曲したソナタを中心に、その少年時代を回顧するような晩年の作「ひとつぶの涙」で締め括る心憎い選曲。爽やかにして奥行きのある演奏は名手揃いの賜物。★
およそ半世紀も前の録音なのにこのリアリティは何だろう! ミュンシュ全盛期の気迫と情熱がグサグサと聴き手を突き刺してくるようなサウンドと演奏に終始圧倒される。特にオルガンが入る第2、4楽章など新たな発見と再認識を余儀なくされる楽しみがある。
指揮のロタは、まだ日本ではあまり知名度がないが、これからが期待できそう。多少のツメの甘さはあるけれど、ゴチャゴチャになりやすいスコアをかなり明快・克明に鳴らしている。揺れ動くフレーズへの柔軟な対処も巧い。オケも熱のこもった演奏ぶり。
イギリス近代の音楽というと、どこか過激先端を避けて音の肌触りを独り楽しむ風情があるのだが、20世紀初頭を生きたフォウルズの音楽は時代と角逐する鮮烈な響きの意匠があって清新。インド音楽やケルト音楽を取り込んだ作品など、今を先駆けしているようだ。
いわゆるチェロ軍団とはオモムキが違う。コンバスも加えた曰くチェロ・コン軍団。芳醇な低音に特化せず、響きを縦横に仕掛けて積極果敢。思わず耳が立つ。わけても無理スジと思しき「展覧会の絵」がキメの定番をハズしてときめきの出来。そのセンスごきげん。★
しばしば日本へも来日し、現代のフランスを代表する指揮者のひとりとして評価されているフルネ。今回はイベール、ドビュッシー、デュリュフレといった作曲家の交響的作品が集められている。