ジャンル : クラシック > 現代音楽
発売元
ユニバーサルミュージック遙遙かな感慨を切々と歌わせるヴァイオリンの響き、オーケストラの透明で耳触りのよい響き、そして時に応じて挟み込まれるジャズやラテンといった都会の巷の響き。それら実にわかりやすいプロットで人をヒューマンな気分に誘う。心地いい。でも何か臭うぞ。
ロッシーニ晩年の過去の栄光を追慕する老人の儚い夢、羅の複雑なミニマリズム、現実の別れともオーバーラップしてしまった「別れのために」、武満の追悼としての意味深長なタイトルとなった「閉じた眼」、そして秋山邦晴への追悼のサティ。佳曲ばかりだ。
高橋悠冶は相変わらず“やり方”の面白さを見せ続けるが、これはピアノ一台。大きな物語とは無縁に見える妙に個人的に書かれたように聴こえる曲を妙に個人的に選び、独特の妙な演奏で聴かせる。ほめるかけなすか信じるか疑うか語るか黙るか。あなたは?
作曲と演奏、人と音の関わりのあり方にこだわり続ける高橋悠治が新たに結成したグループ“糸”の旗揚げ公演のライヴ。高橋自身の曲に加え、非アカデミックな領域で活動する作曲家たちの作品が演奏されている。仕掛けを追いかけて遊ぶ耳の働きが新鮮だ。
一柳は時を見るに敏な作曲家である。時代の空気を巧みに捕まえたスタイルで曲を書く。それが聴く者にどこか颯爽と鮮やかな現代性を感じさせる。60年代は尖鋭な実験と問題提起の時代だった。90年代はどうやら保守回帰と“物語”の時代。その音妙に苦い。
武満の60年代〜90年代、広い選曲。最近、武満作品を非常に甘く演奏して魅力よりも弱点を浮き立たせる演奏家が多くそれを喜ぶ批評家も多いが、ここではむしろセッコに演奏されていて気持ちがいい。繊細さ不足の指摘もあろうが武満作品食傷人に。
制作・出演
ゴードン・ジョーンズ / ザ・ギャヴィン・ブライアーズ・アンサンブル / ザ・ヒリヤード・アンサンブル / ジョン・ポーター / デイヴィッド・ジェイムズ / フレットワーク / ブライアーズ / ロジャーズ・カヴィ=クランプ / ヴァルダイン・アンダーソン発売元
ユニバーサルミュージックピアニスト岩崎叔は、自らが主宰するコンサート・シリーズで81年から毎年日本人作曲家に新作を委嘱し音楽の現代に積極的に関わり続けてきている。これはその80年代の集大成。一色に偏らぬ多様なスタイルの音楽が並ぶ。実に得難くも興味深い敬服の軌跡。
97年に亡くなった黛敏郎の作品集。唯一50年代の(3)はまさにヴァレーズの影響が、他の60年代の作品からもストラヴィンスキーをはじめ、さまざまな音楽の影響がリアリティをもって聴こえてくる。それらを扱う手付きは常に鮮やかで直線的。明快で明るい。
ヴィオラとアコーディオン。意外な組み合わせのようだが、音色といい、ちょっとインティートな音の佇まいといい、しん、とウェットにカラダに染み込むシブい響きが生まれる。細川、高橋、ユンの書く濃密な音が難解にオチず、耳を“深み”に誘い込む。