発売元 : 株式会社アブソードミュージックジャパン
76年3月18日、ラスベガス・ジャズ・ソサエティにおけるステージを収録。スロー・テンポの三拍子にのせて流麗なソロをとる「エミリー」、歌心もスウィング感も申し分ない「4月の思い出」など、テナー奏者としての持ち味と円熟ぶりを発揮。ソプラノを吹くオリジナル曲ではソロの全編に美しいフレーズをちりばめる。
ヴィー・ジェイにリーダー作があるシカゴの隠れた名手ハロルド・ハリス。日本制作による95年のピアノ・トリオ作に未発表の3曲を追加した。ライヴ活動を続けていたので、ブランクを感じさせない。ブルースを基調としたファンキーな熟練のピアニズムで楽しませる。
H.ホーズは1952年からの軍務で日本にも駐留しているが、このアルバムはその直前1951年の初リーダー作。初とはいえ、ここでの彼のプレイはダイナミックそのもの。そのアドリブはピアノ版パーカーと想起させるほどの迫力だ。一曲だけだがA.ペッパーが参加していることもアルバムの価値を上げている。
マンハッタンの52丁目がジャズで華やかな頃、盛んに演奏されていた楽曲を取り上げた96年の録音。当時をイメージするとかなりハードな演奏かと思うが、実は全体的にはおしゃれな雰囲気。軽くて親しみやすい作品だ。ラストのタイトル曲のみ彼のオリジナル、アルバムの気分はこれが代表している。
80年ドイツでの録音。同じトリスターノ派のピアニスト、サル・モスカのほか、エディ・ゴメスとケニー・クラークが参加したクァルテット作品。タイトル曲は「オール・オブ・ミー」のコード進行を借用したオリジナル。今回はリハーサル・テイク2曲を追加しての発売。
ライナーに“新たなウエストコースト・スタイルを構築した……”とあるが、少し自分には難しい。聴き終えて、オーソドックスだが質が高く本格的かつ立派なジャズ演奏だと感じた。意欲的なプレイの力作であり、グループの一体感とジャズらしい都会的なムードが印象に残る後味の良い作品である。
ウエストコーストの隠れた名ピアニスト、バド・ラヴィンによるヒット映画音楽のジャズ化。カクテル・ピアノに近いスタイルながら瀟洒なタッチが好ましいジャズ・フィーリングを感じさせる。軽やかなソロはこうした題材にぴったりで、寛げる内容となった。
クロード・ウィリアムソン流のラテン・ジャズが聴ける点で異色のアルバム。ビ・バッパーでありながら穏やかな演奏に持ち味を示す。その特色を活かしつつのラテン・ジャズ・アルバム。派手なところはないものの、これはこれで胸に染み入る心地のよさがある。
H.ホーズは駐留していたこともあり、日本で人気が高いピアニストの一人。この作品は71年のもの。この後エレクトリックへと向かうことになるのだが、ここではライヴのアグレッシヴなプレイが聴きどころ。長尺だが「ジス・ガイズ・イン・ラブ・ウィズ・ユー」をじっくり聴いてみると、力強いタッチとブルージィな雰囲気に魅力を感じた。
ロウルズの初リーダー作は1954年のノクターン盤ということになっているが、実はそれに先立つ1953年のライヴ録音がある。それが本作。一度LP発売されたことがあるが、もちろん今回初CD化。ビ・バップの時代ながら、そのピアノはスウィング色濃厚。タイトル曲はブギウギ調。
極端にレコーディングの数が少ないサル・モスカによる貴重なリーダー作。レニー・トリスターノの流れを汲むクールなタッチがソロ・ピアノを通して淡々と綴られていく。真摯に自分の音楽を見つめ、そこに一点の妥協も許さない。そんな険しい演奏集である。
長年、米国ハリウッドで活躍していたピアノの名手率いるピアノ・トリオ作(78年録音)。アップ・テンポでは軽快にスウィングして演奏したり、スロー・バラードでは歌心たっぷりの演奏で魅了したり、全編、リラックスした空気感が醸し出される中、ジャズの愉楽が満ちている。鮮やかなピアノ・タッチが印象的。
80年代にバップランド・レーベルからリリースされたアルバムで、とりわけ日本人によく知られるスタンダードを多く含む佳作。確かな白人らしさを保ちつつ、バップを十分に消化した演奏は万人向けの味。
NY生まれのピアニスト、ディトスティは隠れた名手のひとり。その彼がお馴染みのスタンダードを中心にソロで実力を遺憾なく発揮する。スタイルはオーソドックスでやや古い。しかしそれだけに、ジャズ・ピアノの面白さや魅力がストレートに伝わってくる。
西海岸の鬼才ホレス・タプスコットが残した未発表ソロ・ピアノ作。同じく83年録音の未発表作で、先行発売された『フェイス』の翌日に録音された。全曲、タプスコットのオリジナル。ポスト・バップとアヴァンギャルドがミックスされたアグレッシヴかつ個性的な演奏集。
元々は日本のインタープレイ・レーベルが制作した作品。若い頃からモダンなサックス・プレイで定評のあったマーシュのサウンドが、ピアノとのデュオというフォーマットでより情感豊かに表現されている貴重録音。
ウエスト・コースト・ジャズの一端を担い、息の長い活躍が目立つ二人の共演を収めたアルバム。ベテランといっていい時期のデュオで、お互いを知りつくしたような親密なインタープレイが心地よい。選曲はなかなか玄人好みだ。
日本のインタープレイから発表されたスウェーデンとオランドのプレイヤーのデュオ作。ロルフは米国での活動歴も長くストレートな演奏もできるが、本作ではトランペットとピアノだけの自由度の高いプレイが聴ける。
90年に西海岸のハリウッドで録音されたが、本国では一度もリリースされることなく、日本で20年ぶりに再発された作品である。スタンダードを中心とした全9曲、非常にスウィンギィで寛いだ雰囲気の演奏を楽しむ。彼のプレイではスローでもアップ・テンポでもリラクゼーションを満喫できるのがとても良い。